生涯一度のタイトルを巡る戦い
2019年も折り返し地点を過ぎ、あっという間に7月戦線に突入。メジャーリーグは現地時間7日に前半戦の全日程が終了した。
シーズンの前・後半を分けるオールスターゲームは、現地時間9日にクリーブランド・インディアンスの本拠地であるプログレッシブ・フィールドで行われる。今回はその分岐点を前に、今季登場した“新星”たちに注目。ここまでの段階で新人王争いに名乗りをあげている若手選手たちを紹介したい。
抜けた存在は不在か
ロウは昨季メジャーデビューを果たした25歳の二塁手。外野も守ることができる器用な左打ちの選手だ。ここまで76試合に出場し、打率.276をマーク。16本塁打・49打点はともにチームトップである。現在は故障者リスト入りしているが、オールスター明けには復帰する見込み。レイズの選手が新人王に輝けば、2013年のウィル・マイヤーズ以来、6年ぶり4人目となる。
23歳のマイケル・チャビス(レッドソックス)は、5月の月間新人賞を獲得した内野手。主に一塁と二塁を守るが、ロウに比べると守備には難を抱える。それでも、打撃面では打率.263で15本塁打、48打点とロウとほぼ変わらない活躍ぶり。レッドソックスで最後に新人王を獲得したのは、2007年のダスティン・ペドロイアまでさかのぼる。
ア・リーグの新人野手というと、ウラジーミル・ゲレロJr.(ブルージェイズ)に注目が集まるが、まだメジャー投手への対応に苦しんでいる印象。後半戦によほど本塁打を量産しない限り苦しそうだ。他には、ヨルダン・アルバレス(アストロズ)が近年まれに見る衝撃的なデビューを飾ったが、デビューが6月と遅かった分、打席数がネックとなりそうだ。
菊池雄星は難しい…?
投手では、26歳の左腕ジョン・ミーンズ(オリオールズ)に可能性がある。
前半戦はチーム全体で27勝に終わったオリオールズだが、その中でミーンズは7勝(4敗)を挙げた。規定投球回数には6イニングほど足りていないが、防御率2.50はア・リーグ2位相当。ア・リーグの新人投手では唯一オールスターにも選出されている。オリオールズの先発投手が球宴に選出されるのは、1999年のマイク・ムシーナ以来、実に20年ぶりのことだ。
2人目の投手は、ミーンズと同じ26歳のスペンサー・ターンブル(タイガース)。今季成績は3勝8敗と大きく負け越しているが、防御率は3.31と上々の数字を残している。勝利数が伸びない要因は味方打線の援護の少なさだろう。9イニング当たりの援護点3.01はあまりにも少なすぎる。過去に負け越した投手が新人王に輝いた例はないが、果たしてどうだろうか。
また、開幕前は新人王候補にも名前が挙がっていた菊池雄星(マリナーズ)だが、9イニング当たり5.86という援護点をもらいながら前半戦は4勝6敗に終わった。防御率も4.94と高く、すでに新人王は絶望的だろう。
生涯で一度しかチャンスがない新人王。名前を挙げた選手の中から受賞者が出るのか、はたまた後半戦に驚異的な成績を残して追い込みを決める選手が現れるのか。後半戦も目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)