史上最年長の首位打者獲得も!?
今年は8月に入ってもセ・パともに抜け出すチームはなく、特にセ・リーグは首位から3位までが2ゲーム差という混戦模様となっている。そんな中、ファンにとっては各選手の個人成績やタイトル争いも気になりはじめる頃ではないだろうか。なかでも注目したいのが、セ・リーグの首位打者争いだ。
8月4日現在、セ・リーグの首位打者は打率.326の鈴木誠也(広島)。その鈴木を追いかけるかたちで、高橋周平(中日)、坂本勇人(巨人)、丸佳浩(巨人)らが続いているが、注目したいのは6位の青木宣親(ヤクルト)と8位の糸井嘉男(阪神)、そして9位の亀井善行(巨人)だ。
現在24歳の鈴木誠也を筆頭に、多くの選手が20代~30代前半というなかで、この3選手は37歳を超え、プロ入り15年以上が経過したベテラン選手たち。仮に、この3選手の誰かが首位打者を獲得するようなことがあれば、ミヤーン(1979年)、クロマティ(1989年)、リック(2008年)の36歳を抜き、史上最年長での首位打者獲得となる。
果たしてこの3選手に首位打者獲得の可能性はあるのだろうか。
▼ セ・リーグ打率トップ10
【1】打率.326:鈴木誠也(広島)
【2】打率.319:高橋周平(中日)
【3】打率.315:坂本勇人(巨人)
【4】打率.313:丸 佳浩(巨人)
【5】打率.310:ビシエド(中日)
【6】打率.310:青木宣親(ヤクルト)
【7】打率.307:大島洋平(中日)
【8】打率.307:糸井嘉男(阪神)
【9】打率.300:亀井善行(巨人)
【10】打率.297:阿部寿樹(中日)
スタミナ切れが懸念される亀井
まずは、3選手の過去2年の8月成績を見てみよう。
▼ 青木宣親の8月成績
2018年:打率.361(97-35)1本塁打 12打点 (シーズン打率.327)
2017年:打率.281(32-9)3本塁打 8打点 (シーズン打率.284)
※2017年はメジャーでの成績
▼ 糸井嘉男の8月成績
2018年:打率.387(72-29)3本塁打 15打点 (シーズン打率.308)
2017年:打率.353(51-18)4本塁打 8打点 (シーズン打率.290)
▼ 亀井善行の8月成績
2018年:打率.156(77-12)3本塁打 8打点 (シーズン打率.254)
2017年:打率.268(71-19)3本塁打 14打点 (シーズン打率.251)
2年連続で打率.350を超えた糸井嘉男、そして昨季は8月に打率.361と打ちまくった青木宣親らは、8月から調子を上げる傾向があり、逆転首位打者の可能性もありそうだ。
一方で亀井は、2017年こそ、シーズン打率よりも8月の打率で好成績を残したが、昨季は打率1割台と不振に陥った。実際、今季も首位攻防戦となった8月2日~4日の対DeNA戦では13打数2安打と打てていない。
糸井嘉男は対ヤクルト戦の成績がカギ!?
続いて、各チーム別の成績を見てみたい。
▼ 青木宣親
対広島 打率.388(67-26)2本 9打点(残8試合)
対巨人 打率.327(55-18)4本 12打点(残8試合)
対DeNA 打率.307(75-23)2本 6打点(残7試合)
対中日 打率.259(58-15)4本 6打点(残7試合)
対阪神 打率.306(49-15)0本 3打点(残11試合)
▼ 糸井嘉男
対広島 打率.302(63-19)0本 6打点(残7試合)
対ヤクルト 打率.260(50-13)1本 4打点(残11試合)
対巨人 打率.293(58-17)1本 4打点(残9試合)
対DeNA 打率.265(68-18)2本 9打点(残7試合)
対中日 打率.344(61-21)0本 7打点(残8試合)
▼ 亀井善行
対広島 :打率.389(54-21)1本 5打点(残8試合)
対ヤクルト:打率.291(55-16)4本 14打点(残8試合)
対DeNA :打率.214(56-12)1本 7打点(残9試合)
対中日 :打率.345(29-10)1本 7打点(残11試合)
対阪神 :打率.367(49-18)1本 4打点(残9試合)
各チームから満遍なく打ち、かつ苦手としている中日戦の残り試合数がもっとも少ない青木が優勢に見えるが、残り試合数を見ると、亀井は得意としている中日、阪神との対戦を多く残している。そして糸井は、苦手としているヤクルト戦がまだ11戦も残っていることを考えると苦戦しそうだ。
こうして見ると、青木がもっとも逆転首位打者の可能性が高く、糸井はヤクルト戦での成績、そして亀井は8月以降の成績の向上がカギになるといえそうだ。プロ野球史上に残る新たな記録が誕生する可能性があるだけに、3選手たちの今後にも 期待したい。
※成績は8月4日終了時点
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)