離脱していた主力が続々と復帰!
ソフトバンクに追い風が吹きはじめた。8月10日、国際大会出場のためにチームを離れていたグラシアルとモイネロが一軍に合流。加えて、故障で離脱中だった中村晃と福田秀平、川島慶三もそろって一軍に復帰を果たした。
10日の日本ハム戦でスタメンに名を連ねた中村、福田、グラシアルはそれぞれ安打を記録。その活躍もあって、4点ビハインドの試合を終盤にひっくり返すと、翌11日の同カードでも3人は再び安打をマーク。日本ハムとの首位攻防戦に連勝し、その差を5.5ゲームに広げた。
また、左ひざ裏の肉離れで戦線離脱している柳田悠岐も、8月8日のファーム・広島戦で約4カ月ぶりに実戦復帰を果たしている。柳田の一軍昇格にはもう少し時間がかかるかもしれないが、ここまで離脱者が続出していたソフトバンクとしては、シーズン終盤にきて主力が続々と復帰していることはこれ以上なく心強いことだろう。
一方、首位・ソフトバンクを追うチームはどうかというと、いい風が吹いているとはいえないようだ。7月に驚異的な追い上げを見せていた日本ハムは8月に入って1勝8敗と急失速。11日のソフトバンク戦における敗戦で2位から3位に転落した。失速の要因は絶不調に陥っている打線だ。8月のチーム打率は2割を切っており、とくに主砲・中田翔は8月に入って23打数1安打と完全に沈黙している。
鷹の“天敵”?鷲と鴎が鍵を握る
また、日本ハムに代わって2位に浮上した西武も、やはり投手陣が大きなネック。昨季もリーグワーストのチーム防御率4.24の投手陣を強力打線でカバーしてペナントレースを制したが、今季のチーム防御率は昨季よりさらに悪化。現在は4.40に落ち込んでいる。
しかも、8月は全9試合で初回に失点するという異常事態。先頭打者からはじまる初回はもともと得失点が多いイニングではある。しかし、これだけあたりまえのように初回から失点していては、自らゲームの流れを相手に渡しているようなもの。負けが込むのも当然だろう。
チームは8月に入って4勝5敗。その敗戦の得点を見てみれば、「10」・「8」・「1」・「0」・「7」である。1得点以下に終わった2試合はともかく、残りの3試合は投手陣さえ踏ん張れていれば勝てていたと見ることもできる。もちろん、野手が投手に助けられるという試合もあるが、西武の場合はやはり投手陣、とくに先発陣の奮起が必要だ。
こうして見ると、ソフトバンクにとってはシーズン終盤に向けての好材料がある一方で、日本ハムと西武には不安材料があるといえそうだ。とはいえ、今季のソフトバンクは盤石とはいえない部分もある。
ソフトバンクがリーグ優勝を果たした直近のシーズンである2017年と2015年は、同一リーグ内の全球団に勝ち越していたが、今季のソフトバンクはここまで楽天とロッテに負け越しているのだ。
とくにロッテには6勝12敗と大きく負け越しており、足をすくわれる可能性もある。また、楽天も日本ハムと並んで3位タイという位置につけており、まだ十分にリーグ優勝を狙えるところにいる。
そして、ソフトバンクはその楽天と8月13日から敵地で相まみえる。主力が帰ってきて徐々に体勢が整いつつあるなか、これまで苦戦してきた相手にどんな戦い方を見せるのか。ペナントレースの行方を占う意味で、重要な3連戦となりそうだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)