コラム 2019.08.19. 14:00

山田哲人の後押しで村上宗隆が新人王? 個人タイトルが左右するセ新人王

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近本は最多盗塁のタイトルが必須条件?


 シーズンが終盤に差し掛かるにつれ、ファンの関心はペナントの行方と共に個人成績にも向かっている。そのなかで、ファンの注目を集めているのがセ・リーグの新人王争いだ。

 現時点の候補としては、一般的に有利とされる投手なら床田寛樹(広島)と上茶谷大河(DeNA)が挙げられる。しかし、今季のセ・リーグ新人王は、村上宗隆(ヤクルト)と近本光司(阪神)の争いと見るのが無難だろう。投手のふたりは勝利数を2桁に乗せればチャンスがあるかもしれないが、やはり村上と近本のインパクトには及ばない。

 現時点では、ふたりのうち村上のほうがやや有利とみるファンの声が多いように思う。なんといっても村上はまだ高卒2年目の19歳。一方の近本は、紛れもないプロ1年目のルーキーだが、社会人出身の24歳だ。野手としてのタイプはまったくちがうふたりだが、仮に同じ成績を残したとすれば、やはり若い村上が有利になるだろう。

 そうなると、新人王争いの鍵を握るのは個人タイトルかもしれない。近本が新人王に輝く条件を挙げるなら、一時の不調期を脱したいまの好調を維持し、3割近い打率を残したうえで、盗塁王のタイトルを取ることではないか。近本の盗塁数は現時点で「25」。トップの大島洋平(中日)の27盗塁を十分に射程圏内にとらえており、新人ながら盗塁王のタイトルを獲得する可能性も決して低くない。


山田が村上を後押しする?


 一方の村上の場合、本塁打を量産しているというインパクトは絶大だ。打率は高くないが、30本塁打の大台も目前に迫る28本塁打を放っており、本塁打王争いでリーグ4位につけている。しかも、打点王争いでは83打点で堂々のリーグトップに立つ。

 どのチームも喉から手が出るほど欲しい若き和製大砲であり、村上の場合、たとえ個人タイトルを獲得できなくとも、そしてどれだけ低打率(.238)で失策(15)が多くても、本塁打と打点の多さがそれらのマイナスを十分にカバーするだろう。

 もし、村上の新人王獲得を確実なものにするものがあるとしたら、それもやはり個人タイトルだ。そして、そのキーマンがチームの先輩・山田哲人ではないだろうか。山田は近本を上回る26盗塁を記録しており、盗塁王争いで2位に位置する。もし山田が盗塁王になれば、必然的に近本は盗塁王にはなれない。それだけ、後輩の村上が新人王争いで有利になる。

 また、ヤクルト打線は流動的とはいえ、現時点では山田は3番、村上は6番に起用される試合が続いている。山田が盗塁をして得点圏に進めば、村上の前の打者が凡退した場合には打点を稼ぐチャンスが村上に巡ってくる。山田の盗塁王獲得が、村上の打点王、そして新人王獲得を後押しすることにもなるはずだ。
※成績は8月18日終了時点

▼ 村上宗隆(ヤクルト)
打率.238 28本塁打 83打点 3盗塁

▼ 近本光司(阪神)
打率.275 9本塁打 36打点 25盗塁


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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