2019.09.29 15:00 | ||||
オリックス・バファローズ | 5 | 終了 | 1 | 福岡ソフトバンクホークス |
京セラD大阪 |
オリックス・山本由伸が滑り込みで初タイトル
9月29日、ソフトバンク戦に先発した山本由伸(オリックス)が6回1失点と好投。今季の投球回が規定ぴったりの143回に達し、防御率1.95で最優秀防御率のタイトルを獲得した。昨季の中継ぎから先発に再転向後、いきなりのタイトル獲得である。
山本といえば、好投を続けながらもなかなか勝ち星がつかないことが今季途中から話題となっていた。今季、山本の先発試合で自身に勝敗がつかなかったケースは6試合あるが、5試合は7回以上を投げて1失点以内に抑えており、そのうち3試合は自責点ゼロ。ちなみに、敗戦を喫した6試合のうち、2試合は6回以上3失点以内のクオリティ・スタート(QS)を達成している。いかに打線の援護に恵まれていなかったか、ということがよくわかる。
結果、山本の勝ち星は8勝(6敗)止まり。投球回が規定ギリギリということに表れているように、登板試合数が「20」と少なかったことも、その要因のひとつではあるが、やはりこれだけ優秀な防御率を残して二桁勝利に届かないということには違和感がある。
事実、山本のようなケースは非常に稀だ。しかし、過去に例がなかったわけではない。2リーグ制となった1950年以降、防御率2.00未満で『最優秀防御率』のタイトルを獲得しながら勝利数が二桁に届かなかった投手は、山本を含め5人いる。下記が「報われない」彼らのシーズン成績になる。
・権藤正利(阪神/1967年) 防御率1.40/40試合(135回) 9勝6敗
・佐藤道郎(南海/1974年) 防御率1.91/68試合(131回2/3) 7勝8敗13S
・高橋里志(日本ハム/1982年) 防御率1.84/29試合(132回) 8勝5敗
・チェン(中日/2009年) 防御率1.54/24試合(164回) 8勝4敗
・山本由伸(オリックス/2019年)防御率1.95/20試合(143回) 8勝6敗
山本ケースは09年のチェン(中日)のみ
直近では2009年のチェン(中日)が該当する。この年のチェンは、先発した23試合のうちQSを19試合で記録しながら、そのうち11試合で勝ち星がついていない。しかも、両リーグ最多タイの4完封を記録しながら8勝に終わっている。今季の山本と負けず劣らず、打線の援護に恵まれなかったというわけだ。
一方、チェン以前の3投手がここに名前が挙がっていることには、ひとつの理由がある。それは、いまのように明確な投手分業制が確立する以前だったということ。
権藤正利(阪神)、佐藤道郎(南海)、高橋里志(日本ハム)が上記のシーズンに先発したのは、それぞれ「11試合」、「0試合」、「13試合」。彼らの起用は基本的に中継ぎが中心であり、勝ち星がなかなか増えないのも当然である。むしろ、中継ぎ起用中心ながら規定投球回に到達していることが、いまなら逆に考えられないことだろう。
そう考えると、今季の山本と同じようなケースだったのは、長いプロ野球の歴史の中でチェンだけだったともいえる。しかし、そんなレアケースは、当の投手としては何度も繰り返したいものではないはずだ。ファンの誰もが思っていることだろうが、来季こそオリックス打線には山本の投球に見合った援護を期待したい。
▼ 山本由伸の今季登板試合
-:ソ 9回0失点
○:ロ 8回1失点
●:日 6回4失点
-:ソ 8回0失点
-:ロ 8回1失点
○:日 7回1失点
●:ロ 5.2回6失点(自責2)
○:ソ 7回0失点
●:De 6回3失点
-:中 7回1失点
-:巨 6回3失点
○:西 9回0失点
●:ソ 7回4失点
-:西 7回1失点(自責0)
○:ソ 8.2回3失点
○:西 8.1回1失点
●:日 6回1失点(自責0)
○:楽 7回1失点
●:ソ 6.1回5失点
○:ソ 6回1失点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)