コラム 2019.10.02. 18:00

福田秀平、十亀剣らの動向は? 歴代FA「Cランク」選手の成績を振り返る

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コスパ抜群のCランク選手が勢ぞろい


 今季のペナントレースも全試合が終了し、来季に向けたストーブリーグもはじまりつつある。なかでも注目されるのは、FA(フリーエージェント)権を取得した選手たちの動向だろう。

 昨オフのFA戦線といえば、丸佳浩選手(広島 ⇒ 巨人)や浅村栄斗選手(西武 ⇒ 楽天)など、大物選手の移籍が相次いだ。一方、今季のFA権取得選手を見ると、所属球団での年俸が11位以下になるCランクの選手たちに注目が集まっている。

 2008年のオフからFAのルールが変わり、FA権を行使した選手が前所属球団の旧年俸の上位3位に入っていた場合はAランク、4位から10位ならBランク、11位以下はCランクというようにランク分けされるようになった。そして、A、Bランクの選手をFA移籍で獲得した球団は、前所属球団へ人的、もしくは金銭の“補償”が必要となるが、Cランクの選手には、そうした補償の必要がない。

 今季、FA権を取得したCランクの選手には、福田秀平(ソフトバンク)や伊藤光(DeNA)、そして荻野貴司(ロッテ)など、年俸はトップ10に入らないが、実績のある選手が多く名を連ねており、なかでも福田には複数の球団が調査しているという報道もある。仮にFA権を行使すれば、争奪戦になることも予想される。

 人的補償や金銭の補償を必要としないだけに、ある意味では「コスパ抜群」に映るCランク選手だが、その選手たちは移籍後にどんな数字を残しているのだろうか。


野手は前年より下降傾向?


 比較したのは、FA制度が現行のものになった2008年オフから昨オフまでのCランク選手の移籍前年度と、移籍初年度の成績。まずは、2008年オフから2012年オフに移籍した選手たちを見てみたい。

▼ 08年オフ
・中村紀洋(内野手/中日⇒楽天)
前年度:140試合 打率.274 24本塁打 72打点
初年度: 77試合 打率.221  2本塁打 26打点

・野口寿浩(捕手/阪神⇒横浜)
前年度:55試合 打率.191 1本塁打 9打点
初年度:17試合 打率.211 0本塁打 3打点


▼ 09年オフ
・藤本敦士(内野手/阪神⇒ヤクルト)
前年度:47試合 打率.219 0本塁打  1打点
初年度:65試合 打率.230 2本塁打 18打点

・橋本 将(捕手/ロッテ⇒横浜)
前年度:94試合 打率.234 2本塁打 27打点
初年度:43試合 打率.246 2本塁打 13打点

・藤井秀悟(投手/日本ハム⇒巨人)
前年度:22登板 7勝5敗 防御率3.53
初年度:23登板 7勝3敗 防御率3.76


▼ 10年オフ
・藤井彰人(捕手/楽天⇒阪神)
前年度: 8試合 打率.222 0本塁打  2打点
初年度:99試合 打率.223 2本塁打 15打点


▼ 11年オフ
・鶴岡一成(捕手/巨人⇒DeNA)
前年度: 34試合 打率.218 0本塁打  1打点
初年度:102試合 打率.189 1本塁打 15打点

・許銘傑(投手/西武⇒オリックス)
前年度:49試合登板 6勝2敗1セーブ22ホールド 防御率1.98
初年度:37試合登板 0勝3敗1セーブ10ホールド 防御率5.29

・小池正晃(外野手/中日⇒DeNA)
前年度:73試合 打率.268 5本塁打 21打点
初年度:88試合 打率.192 3本塁打 19打点


▼ 12年オフ
・日高剛(捕手/オリックス⇒阪神)
前年度:52試合 打率.239 1本塁打 8打点
初年度:44試合 打率.289 2本塁打 7打点

 移籍した選手の数は多いが、肝心の成績は移籍前年よりも成績が下がった選手が多く、よくても藤井秀悟のように移籍前年とほぼ同じ成績を残すのが精いっぱい。経験を積むことが難しい「捕手」が、10選手中5選手というのも面白い。

 また、中村紀洋をはじめ、FA移籍から3年以内で退団・引退している選手が多いのも目立つ。どの選手もFA移籍時点の年齢が30歳を超えていたこともあるが、そんなに早くチームを去ってしまうと、人的・金銭補償がなくとも、大きな戦力にはならなかった印象だ。


環境を変えて活躍するCランクの投手たち


 続いて、2013年オフから昨オフに移籍した選手を見ていく。

▼ 13年オフ
・小笠原道大(内野手/巨人⇒中日)
前年度:22試合 打率.250 1本塁打  8打点
初年度:81試合 打率.301 1本塁打 18打点

・山崎勝己(捕手/ソフトバンク⇒オリックス)
前年度:91試合 打率.252 1本塁打 20打点
初年度:60試合 打率.108 0本塁打  4打点

・中田賢一(投手/中日⇒ソフトバンク)
前年度:40登板  4勝6敗15ホールド 防御率3.40
初年度:25登板 11勝7敗 防御率4.34


▼ 14年オフ
・小谷野栄一(内野手/日本ハム⇒オリックス)
前年度:84試合 打率.296 4本塁打 29打点
初年度:56試合 打率.295 4本塁打 22打点

・金城龍彦(外野手/DeNA⇒巨人)
前年度:90試合 打率.200 0本塁打 11打点
初年度:36試合 打率.233 1本塁打 10打点


▼ 15年オフ
・高橋聡文(投手/中日⇒阪神)
前年度:35登板 3勝3敗 6ホールド 防御率3.51
初年度:54登板 3勝1敗20ホールド 防御率3.76

・脇谷亮太(内野手/西武⇒巨人)
移籍前年成績:118試合 打率.294 3本塁打 22打点
移籍初年度成績:54試合 打率.157 1本塁打 7打点

・木村昇吾(内野手/広島⇒西武)
移籍前年成績:72試合 打率.269 0本塁打 8打点
移籍初年度成績:38試合 打率.221 0本塁打 5打点


▼ 16年オフ
・森福允彦(投手/ソフトバンク⇒巨人)
前年度:50登板 2勝1敗16ホールド 防御率2.00
初年度:30登板 1勝3敗 6ホールド 防御率3.05


▼ 17年オフ
・鶴岡慎也(捕手/ソフトバンク⇒日本ハム)
前年度: 29試合 打率.321 3本塁打  5打点
初年度:101試合 打率.243 2本塁打 22打点

※2018年オフは該当者なし

 野手のほうは以前までと同じような感じだが、投手はFA移籍後も活躍するケースが増加。中田賢一や高橋聡文は、移籍初年度からチームに大きく貢献している。

 ちなみに、今年のFA権取得選手で、Cランクの選手は以下のとおり。まだFA権の行使を表明していないが、仮にFA権を行使した場合、各球団が動く可能性のある好選手がそろっている。

▼ 今季FA権を取得した主なCランク選手たち
<投手>
・岩田稔(阪神/35歳)
14登板 3勝4敗 防御率4.52

・藤岡好明(DeNA/34歳)
32登板 1勝0敗1ホールド 防御率1.86

・十亀剣(西武/31歳)
19登板 5勝6敗 防御率4.50


<捕手>
・伊藤光(DeNA/30歳)
84試合 打率.254 8本塁打 27打点


<外野手>
・福田秀平(ソフトバンク/30歳)
80試合 打率.259 9本塁打 26打点

・荻野貴司(ロッテ/33歳)
125試合 打率.315 10本塁打 46打点

・上田剛史(ヤクルト/31歳)
56試合 打率.235 0本塁打 4打点


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

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