継投策が裏目に出た巨人が連敗スタート
日本シリーズ第2戦は、3年連続での日本一を目指すソフトバンクがゲーム終盤の一発攻勢で巨人を下した。6回までは相手先発・メルセデスの「打たせてて取る」ピッチングの前に内野ゴロの山を築き、1安打に抑えられていたソフトバンク打線。だが、7回、巨人の積極継投によりメルセデスがわずか76球で降板すると風向きが変わった。以降3人の中継ぎ陣からそれぞれ本塁打を放って6点を奪い、一気に勝負を決めた。
これで、2011年の日本シリーズ第7戦からソフトバンクは本拠地で日本シリーズ14連勝。2011年からの8年間で出場した5度の日本シリーズをすべて制しているソフトバンクだが、大舞台での驚異的な勝率の裏には、本拠地での無類の強さがあるようだ。
一方、7年ぶりの日本一を目指す巨人からすると、継投策が裏目に出て痛い連敗スタートとなった。巨人とソフトバンク(前身ダイエー)が日本シリーズで対戦するのは2000年以来19年ぶりのこと。長嶋茂雄、王貞治の両指揮官の対決が大きな注目を集めた同シリーズも、巨人の連敗からはじまっている。しかし、日本一となったのは第3戦から4連勝を飾った巨人であった。その逆転劇の再現は果たしてあるのか。
2連敗から逆転日本一となる確率は24%
短期決戦については、誰もが「初戦が重要」だと語る。逆にいえば、「初戦を落とすと厳しい」ということ。まして連敗スタートとなると、そこからの逆転はそう簡単ではない。事実、数字のうえでは圧倒的に不利である。
過去69回の日本シリーズのうち、第1戦から連敗したチームは延べ「34」。その劣勢から逆転日本一となったのは、先述した2000年の巨人を含めて8例だ。
▼ 2連敗から逆転日本一を果たしたチーム
1958年:西鉄(vs.巨人) ●●●○○○○
1962年:東映(vs.阪神) ●●△○○○○
1979年:広島(vs.近鉄) ●●○○○●○
1980年:広島(vs.近鉄) ●●○○●○○
1989年:巨人(vs.近鉄) ●●●○○○○
2000年:巨人(vs.ダイエー) ●●○○○○
2011年:ソフトバンク(vs.中日) ●●○○○●○
2016年:日本ハム(vs.広島) ●●○○○○
これを確率にすれば「24%」。たしかに延べ34球団のうち26球団は破れているのだから、巨人のこれからの戦いも厳しいものになると言わざるを得ない。だが、24%という数字は「意外と大きい」と感じる人もいるのではないだろうか。
直近ではわずか3年前の2016年に日本ハムが広島を逆転で破っている。25年ぶりのリーグVを果たして勢いに乗る広島に2連敗を喫したものの、本拠地・札幌ドームに戻って息を吹き返した日本ハムが怒涛の4連勝。2006年以来10年ぶり3度目の日本一に輝いた。
果たして、今回の巨人は逆転での日本一を果たすことができるだろうか――。1試合でも長くファンを楽しませるためにも、第3戦からの巨人の奮起に期待したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)