人々がタイガースに最も関心を持った日は…?
世界中の検索傾向がわかるGoogleトレンド。各球団名の検索回数を日ごとに集計し、今年3月の開幕からレギュラーシーズン終了までの約半年間で“最も検索回数が多かった日”をトップ3形式にまとめ、球団ごとに振り返っていく。
2018年は屈辱の最下位に終わった阪神。矢野燿大政権1年目となった2019年は、アップダウンの激しいシーズンだった。9月21日時点はリーグ5位も、そこから怒涛の6連勝でシーズンを締めくくる驚異の末脚を披露。負けたら終わりの状況から負けなしで勝ち進み、一気に3位まで浮上してクライマックスシリーズ進出を果たした。
そんな阪神の日付別検索回数・トップ3は以下の通り。
1位:9月30日=対中日(甲子園)
2位:5月29日=対巨人(甲子園)
3位:9月29日=対中日(甲子園)
▼ 9月30日:大逆転でCS進出決定!
2019年・阪神の検索回数1位は、レギュラーシーズン最終戦となった9月30日の中日戦。負けたら終わりというなかで勝ち続け、この日はCS圏内すべり込みをかけた“最終決戦”だった。
重要な先発マウンドを託されたのは青柳晃洋。プレッシャーのかかる大一番ではあったが、変則右腕は中日打線を5回2安打無失点に抑え、与えられた役割を果たす。
打線も4回に大山悠輔の適時打などで2点を先制。5回にも1点を加点すると、終盤は自慢の救援陣が中日打線を零封。3-0で快勝した阪神が、クライマックスシリーズ出場権を掴んだ。
なお、この試合では今季限りで現役引退を表明していた高橋聡文の“ラスト登板”も実現。古巣・中日ファンからも大声援を受けながら7回に最後のマウンドへ登ると、福田永将を三ゴロに斬ってお役御免。矢野監督が直接マウンドに出向いて言葉をかけると、左翼を守っていた福留孝介が花束を持って駆け付け、三塁ベンチからはこの試合で先発した中日・大野雄大も花束を持って登場。最後は目を潤わせながらも晴れやかな表情でファンに挨拶した。
【甲子園】阪神 - 中日(25回戦)
中|000 000 000|0
神|000 210 00X|3
▼ 5月29日:延長12回・4時間30分の激闘にピリオドを打った代打サヨナラ満塁弾
2位は5月29日に甲子園で行われた、巨人との“伝統の一戦”。
試合は丸佳浩に2本の本塁打を許すなど、序盤から巨人のペースで進み、8回表終了時点で2-4と2点を追いかける展開。苦しい展開になったが、8回二死一塁からジェフリー・マルテが値千金の同点2ラン。試合を振り出しに戻すと、以降は両者譲らぬ展開で延長戦までもつれ込む。
4-4のまま迎えた12回。阪神は一死から満塁のチャンスを作ると、矢野監督は代打・高山俊を起用。かつての新人王は2ボールから甘く入ってきた変化球を思い切り引っ張ると、高々と舞い上がった打球はポールのギリギリ左に吸い込まれるサヨナラ満塁弾。ひと振りで4時間30分の熱戦に終止符を打った。
割れんばかりの完成に包まれた甲子園。ホームインした高山はチームメイトの水攻めにあってびしょ濡れに。そんな男を指揮官は熱い抱擁で迎え入れ、男はガッツポーズとハイタッチで喜びを爆発。この劇的1勝により、阪神は巨人を抜いて2位に浮上した。
【甲子園】阪神 - 巨人(9回戦)
巨|101 100 010 000 |4
神|000 020 020 004x|8
▼ 9月29日:さよなら、メッセ
そして、第3位は9月29日の中日戦。検索回数1位になった試合の前日。上述の通り負けられない戦いが続いていた阪神だが、この日はランディ・メッセンジャーが最後の甲子園のマウンドに登った。
来日10年で98勝を挙げた虎の大黒柱。今季から日本人扱いになることもあり、エースとしての働きに大きな期待が寄せられたが、今季は開幕投手を務めるもののなかなか調子が上がらず、7月には肩の不調もあって一時帰国を余儀なくされる誤算も。再来日後は復帰へ向けて二軍で調整を続けたものの、自身が納得するパフォーマンスを取り戻すことができず、シーズン途中で引退を決断した。
慣れ親しんだ甲子園のまっさらなマウンドに登ると、大島洋平を空振り三振に取って任務完了。帽子をとってファンの大声援に応えると、一塁ベンチから矢野監督がマウンドへ。言葉を交わしてベンチへと帰ろうとすると、今度は長年ともに戦ってきた鳥谷敬が花束を持って登場。熱いハグを交わし、もう一度ファンの声援に応えてダグアウトへと下がった。
試合の方もメッセからバトンを受けた投手陣が力投を見せ、9回に藤川球児が3点こそ失ったものの、6-3で逃げ切り勝ち。負けたら終わりの状況からはじまった連勝を5に伸ばし、最終戦へと望みをつないだ。
【甲子園】阪神 - 中日(24回戦)
中|000 000 003|3
神|000 013 20X|6
ジェットコースターのようなシーズンだったものの、終わってみれば前年の最下位から立ち直り、見事にAクラス入りを果たした阪神。最下位の翌年にAクラスに入ったのは、実に「亀山・新庄フィーバー」に沸いた1992年以来で27年ぶりのことだった。
矢野新監督の積極的な起用の下、ルーキーの近本光司を筆頭に楽しみな若い力も数多く台頭。12球団ワーストの102失策を喫するなど粗さも目についたが、良く言えばミスを恐れなかった結果。この経験が来季以降に花を咲かせる可能性は大いにあるだろう。
2005年以来のリーグ制覇、そして1985年以来の日本一を目指して…。2020年こそ猛虎復活なるか、注目だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)