来季は坂本の2000安打達成が確実視
今季もさまざまな記録が生まれたが、例年、数人の達成者が現れる通算2000安打については、今季の達成者はゼロだった。しかし、来季は坂本勇人(巨人)の達成が確実視される。坂本に期待されるのは、ただの通算2000安打ではない。日本プロ野球史上最年少での通算2000安打という大記録の樹立だ。
高卒2年目から巨人の遊撃レギュラーに定着した坂本は、2014年には通算1000安打、2017年には通算1500安打をそれぞれセ・リーグ最年少で達成している。他にも、2018年にはプロ野球史上最年少での300二塁打も達成した。
2013年から3シーズンほどの停滞期をくぐり抜け、2016年に打率.344で首位打者のタイトルを獲得して以降、一気に打力を向上させた印象がある坂本。それだけに、どこかあたりまえのように「坂本なら2000安打もプロ野球最年少記録で達成するだろう」と思っているファンも多いかもしれない。しかし、これがじつに微妙で絶妙な時間との戦いになりそうなのだ。
東京五輪によるリーグ戦中断中がネックに?
現在の通算2000安打最年少記録は、榎本喜八(元毎日他)が持つ31歳と229日。この記録を坂本が上回るためのタイムリミットは、2020年7月29日である。だが、来年はいうまでもなく国際的な大イベント・東京五輪の開催年。プロ野球のリーグ戦は7月21日から8月13日まで中断されることが決まっている。また、7月19日、20日にはオールスターゲームが開催されるため、実質的なタイムリミットは7月18日となる。その一方で、例年より早い3月20日にシーズンが開幕し、3月に10試合の公式戦が組まれている。
坂本の通算安打は現在「1884(1670試合)」。2000安打まで残り116安打としている。今季の坂本が116安打に達したのは7月30日の広島戦、出場93試合目のことだった。そして、来季の巨人のスケジュールを確認すると、坂本のタイムリミットである7月18日までの予定試合数は「99」。大記録達成の可能性は十分ともいえそうだ。
とはいえ天候不良により中止となる試合もあるだろうし、打率.312の好成績を残した今季より安打を積み重ねるペースが落ちるようだと、大記録達成は途端に難しくなる。非常に微妙で絶妙なタイムリミットなのだ。
もし、坂本が最年少記録を達成すれば、51年ぶりの記録更新となる。巨人ファンならずとも、野球ファンなら、そんな大記録樹立の瞬間をリアルタイムで目のあたりにしたいところだろう。来季は、坂本のスリリングな時間との戦いにも注目したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)