コラム 2019.12.31. 11:00

新たな年に、それぞれの転身【白球つれづれ】

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監督就任会見に臨み、山室球団社長(左)と握手を交わす井口新監督(右)

白球つれづれ2019~第52回・名物社長の新たな挑戦


 ロッテの名物球団社長だった山室晋也氏が本年限りで退職することになった。

 1月1日付でサッカーJリーグの清水エスパルス球団社長に転身するという。まだ、59歳の若さ。これまでの経歴から見ても多くの転職先がある中で、あえて経営難にあえぐサッカーチームに火中の栗を拾いに行く覚悟に驚かされる。

 山室がロッテのフロント入りしたのは2013年の秋のこと。球団顧問を経て翌14年から球団社長に就いた。前職はみずほ銀行のバンカーとして各支店長を歴任、その後は同社執行役員や関連会社の社長も務めている。

 銀行マンが他の会社に出向して経営の改善に乗り出す例は珍しくないが、山室の手腕は図抜けていた。

 「ファンが求める物を提供し、顧客満足度を上げる。それが球団を強くすることにつながる」という信念のもとに、現場には口出しせずに営業にまい進する。スポンサーとの結びつきをより強固のものにして、球場のボールパーク化、地元との密着とファンサービスの強化を次々と実践。その結果、慢性の赤字に悩んでいた球団は18年に初めて単体での黒字化に成功、今季も8億円程度(推定)の営業利益を生み出すまでになった。


名門の立て直しに白羽の矢


 かつてのロッテと言えば、球団の赤字は本社の広告費で賄うと言った「どんぶり勘定」がまかり通っていた時期もある。そんな組織を立て直したからこそ、今オフにはFAで楽天から美馬学、ソフトバンクから福田秀平らを獲得する積極的な強化策も可能になった。

 その敏腕社長が次なる活躍の場に選んだ清水エスパルスもまた、経営面では曲がり角にあるチームだ。直近の今年4月の決算報告では3期ぶりに赤字転落している。元々はJリーグの中でも人気と実力を誇るチームだったが、近年は2部落ちの辛酸をなめたり、今季も最終節まで降格の危機にさらされている。

 地方都市のチームは強ければある程度の集客も望めるが、弱くなると入場者数も伸び悩む、悪循環に陥りやすい。野球以上に活動エリアの絞られる“万年Bクラス”を新社長がどう立て直していくのか?

 「スポーツは多くの人に勇気や元気を与えられる力からある。今度はサッカー界でやってみたいと思う」。山室の新たな挑戦が間もなく始まる。


女性スカウトの挑戦


 野球界から外部への転身もあれば、球団内の人事異動で注目を集めるのがオリックスだ。元ソフトボールの日本代表で北京五輪の金メダリストでもある乾絵美さんが球界初の女性スカウトになった。

 これまでは同球団の事業運営部に所属していたが「これまでは野球の普及活動に貢献してくれた。アマチュア関係者とのパイプもあり、キャリア的にも問題ない」と球団本部長の森川秀樹も自信を持って送り出す。

 スカウトという職業は、これまで「男子専科」のイメージが強かった。1年の大半を地方に回り、炎天下にも負けない体力も求められる。監督、コーチを含め男性社会、さらに学閥など強固な上下関係が支配している。

 しかし、だからと言って女子では無理という理由は何もない。誰もがそこに足を踏み入れなかっただけのことだ。逆に女性の視点やソフトボール出身者の感覚で選手獲得を見たときに、新たな発見があるかも知れない。

 現在のスカウト業は一人の有望選手をマークすると、複数の目で確認して議論を戦わせる方法が主流、かつてのような一匹狼の敏腕スカウトは生まれにくい。

 スカウト間の力関係もあり、担当地区の選手を推挙してもその年は全く指名に至らないケースも多々ある。だが、自分が見込んだ選手が入団して活躍する姿を見たときにはスカウト冥利に尽きるという。乾スカウトの始動は1月から。いや、すでに隠密行動は始まっているかもしれない。

 去る人に来る人。新たな挑戦に幸あれ!


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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