2020年は福留孝介が最年長
年が変わって2020年。長かったオフもゴールが近づき、1カ月後の2月1日にはキャンプインを迎える。
各球団は年内のうちに新シーズンの準備を着実に進め、年越し後は補強の動きも多くない。2020年の各チームの陣容がおおよそ見えてきたなか、現時点で12球団・全選手のなかで“最年長”になっているのが阪神の福留孝介だ。
1977年生まれ、今年の4月26日で43歳になる大ベテラン。2019年シーズンはNPB通算1000打点をマークするなど、印象的な活躍は見せたものの、104試合の出場で打率.256、10本塁打、47打点といずれも昨季を下回る成績。5年ぶりに規定打席到達を逃すなど、やや苦しいシーズンになった。
2019年限りで上原浩治と福浦和也が現役を引退したことで、“球界最年長選手”のタスキが巡ってきた。思えば数年前、あるベテラン選手にインタビューした際に「自分が球界最年長の選手になったころから、いままで以上に年齢を意識するようになったし、後輩選手の手本になることを考えだした」という体験談を聞かせてもらったことがある。改めて自覚させられることで、それまでとは考え方や意識が変わってくるものなのだという。
「まだまだ若い選手には負けない!」とばかりに奮起するのか、それとも寄る年波に勝てず成績が低迷するのか――。近年の“球界最年長選手”はどんな成績を残してきたのだろうか。
検証したのは、過去5シーズン(2015年~2019年)の球界最年長選手。その称号を得た年と、その前年の成績を調べてみた。
<2015年>
山本 昌(中日)
☆1965年8月11日生まれ/開幕時=49歳
[前年成績] 3試 1勝1敗 防4.50
[2015年] 2試 0勝0敗 防6.75
※この年限りで現役引退
<2016年>
三浦大輔(DeNA)
☆1973年12月25日生まれ/開幕時=42歳
[前年成績] 17試 6勝6敗 防4.13
[2016年] 3試 0勝3敗 防11.05
※この年限りで現役引退
<2017年>
岩瀬仁紀(中日)
☆1974年11月10日生まれ/開幕時=42歳
[前年成績] 15試 0勝2敗2ホールド 防6.10
[2017年] 50試 3勝6敗2セーブ・26ホールド 防4.79
井口資仁(ロッテ)
☆1974年12月4日生まれ/開幕時=42歳
[前年成績] 79試 率.257 本5 点34
[2017年] 65試 率.244 本2 点15
※この年限りで現役引退
<2018年>
岩瀬仁紀(中日)
☆1974年11月10日生まれ/開幕時=43歳
[前年成績] 50試 3勝6敗2セーブ・26ホールド 防4.79
[2018年] 48試 2勝0敗3セーブ・10ホールド 防4.63
※この年限りで現役引退
<2019年>
上原浩治(巨人)
☆1975年4月3日生まれ/開幕時=43歳
[前年成績] 36試 0勝5敗14ホールド 防3.81
[2019年] 一軍登板なし
※この年限りで現役引退
福浦和也(ロッテ)
☆1975年12月14日生まれ/開幕時=43歳
[前年成績] 82試 率.210 本1 点11
[2019年] 1試 率.000 本0 点0
※この年限りで現役引退
出場機会の減少が現役引退のサイン
延べ7人中5人がセ・リーグの選手、そしてパ・リーグの選手はふたりともロッテの一塁手だった。
数字を見ると、ほとんどの選手が前年よりも成績を下げていることがわかる。そして、球界最年長となったシーズンで現役を引退するケースが目立った。
球界最年長選手となると成績を落とす傾向が強いが、なかでも顕著だったのが三浦大輔。前年の2015年は先発ローテーションに名を連ねて6勝を挙げていたが、球界最年長選手となった2016年はシーズン初登板が7月までずれ込み、その試合でも4回6失点と炎上。若手が台頭してチームも球団史上初となるクライマックスシリーズ進出を決めたことで、現役を退く決意を固めた。
三浦もそうだが、球界最年長選手になると「選手兼任コーチ」になるケースも見られる。福浦和也の場合は、通算2000本安打を達成した翌年の2019年から二軍打撃コーチを兼任。そのため一軍に帯同することはほとんどなく、出場機会も自身の引退試合となった9月23日の1日だけだった。
福留も2020年は42歳で開幕を迎え、4月中には43歳になる。残された現役生活も限りがあるだろう。しかし、NPB通算2000本安打まであと103本、通算300号本塁打まではあと20本と、達成間近な記録も多い選手だ。1年でも長く現役生活を続けるためにも、2020年の福留がどんな成績を残すか注目していきたい。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)