最優秀バッテリー賞の選考基準は?
昨季、「最多奪三振」のタイトルのほか、2度の「月間MVP」に「ベストナイン」、「ゴールデングラブ賞」と数多くの表彰を受けた千賀滉大(ソフトバンク)。その千賀が今季の目標のひとつに掲げたのが、甲斐拓也とともに「最優秀バッテリー賞」に輝くことだ。
打撃・投手各部門の個人タイトルや、シーズンMVP、新人王、ベストナイン、ゴールデングラブ賞などに比べると、注目度はそれほど高くない最優秀バッテリー賞。それもそのはず。最優秀バッテリー賞は日本野球機構(NPB)が主催するものではなく、スポーツニッポンと電池工業会が共催する選手表彰だ。
しかし、千賀が目標に掲げるように、チーム成績とはまた別に「シーズン最強のバッテリー」と称されることは、投手と捕手からすれば誇らしいことにちがいない。その選考基準は以下のようなものである。
▼ 最優秀バッテリー賞の選考基準
【投手】
先発ローテーションの軸として、あるいは抑え投手としてシーズンを通して活躍することが最低条件。加えて、先発投手は10勝、中継ぎ投手は30セーブ、または30ホールドが目安とされる。
【捕手】
レギュラーもしくは、それに準ずる試合数に出場し、インサイドワーク、盗塁阻止率の高さ、捕逸の少なさなどを総合的に判定する。
2010年を最後に鷹バッテリーの受賞はなし
ここで、直近5シーズンの最優秀バッテリー賞受賞者を、個人成績、チームのペナント順位と併せて振り返ってみる。
▼ 直近5シーズン最優秀バッテリー
【セ・リーグ】
・2015年
石川雅規:25試合、13勝9敗、防御率3.31
中村悠平:136試合、盗塁阻止率.315、捕逸3
<ヤクルト:1位>
・2016年
野村祐輔:25試合、16勝3敗、防御率2.71
石原慶幸:106試合、盗塁阻止率.333、捕逸3
<広島:1位>
・2017年
菅野智之:25試合、17勝5敗、防御率1.59
小林誠司:137試合、盗塁阻止率.380、捕逸2
<巨人:4位>
・2018年
大瀬良大地:27試合、15勝7敗、防御率2.62
會澤 翼:103試合、盗塁阻止率.245、捕逸2
<広島:1位>
・2019年
山口 俊:26試合、15勝4敗、防御率2.91
小林誠司:91試合、盗塁阻止率.419、捕逸3
<巨人:1位>
【パ・リーグ】
・2015年
大谷翔平:22試合、15勝5敗、防御率2.24
大野奨太:72試合、盗塁阻止率.276、捕逸1
<日本ハム:2位>
・2016年
石川 歩:23試合、14勝5敗、防御率2.16
田村龍弘:129試合、盗塁阻止率.306、捕逸5
<ロッテ:3位>
・2017年
菊池雄星:26試合、16勝6敗、防御率1.97
炭谷銀仁朗:104試合、盗塁阻止率.327、捕逸6
<西武:2位>
・2018年
多和田真三郎:26試合、16勝5敗、防御率3.81
森 友哉:81試合、盗塁阻止率.373、捕逸5
<西武:1位>
・2019年
増田達至:65試合、4勝1敗7H30S、防御率1.81
森 友哉:128試合、盗塁阻止率.283、捕逸12
<西武:1位>
※捕手の出場試合数は、捕手として出場した試合の数
意外なことに、過去5シーズンでは、「常勝軍団」とも呼ばれるソフトバンクからの受賞者はいない。それどころか、ソフトバンクバッテリーの直近の受賞者は、2010年の杉内俊哉と田上秀則にまでさかのぼらなくてはならない。
選考基準は「チーム成績とは関係ない」としながらも、受賞者を出したチームがそのシーズンにリーグ優勝を果たしているケースが大半である最優秀バッテリー賞。千賀と甲斐の育成出身バッテリーが最優秀バッテリー賞に輝くことがあれば、3年ぶりの覇権奪回も見えてくる。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)