過去10年で42選手が復帰
2019年オフ、中日を自由契約となった松坂大輔投手を西武が獲得。14年ぶりの古巣復帰ということで話題となり、キャンプ地にも多くのファンが足を運んでいる。さすがに影武者が現れたルーキーイヤーほどではないようだが、報道陣の注目度も含め、“松坂効果”はそこかしこで感じられる。
14年前を知るファンにとっては、レジェンドとも呼べる選手の帰還。その存在がどのような影響をチームに与えていくのかは、今季の西武を追いかけるうえでの楽しみのひとつかもしれない。
ちなみに、松坂と同じように古巣への復帰経験のある日本人選手をざと振り返ると、過去10年間で42人いた。すでに引退している31人中、大半の24人は出戻った古巣でプロ生活を終えており、復帰組で未だ現役の11人中、10人は今も古巣に在籍している。
また、MLBから日本球界に復帰する際、他球団を挟まず古巣に戻ったのは、和田毅投手や上原浩治投手ら11人。松坂や松井稼頭央選手、五十嵐亮太投手といった例外はあるものの、日本球界復帰の場に古巣を選ぶ選手や、功労者を迎え入れる球団は多い。
そのほかには、ジェイソン・スタンリッジ(ソフトバンク⇒米独立L⇒阪神⇒ソフトバンク)やホセ・フェルナンデス(西武⇒楽天⇒オリックス⇒メキシカンL⇒西武⇒楽天⇒メキシカンL⇒オリックス)、フェルナンド・セギノール(オリックス⇒ヤンキース⇒日本ハム⇒楽天⇒米独立L⇒オリックス)といった助っ人外国人の出戻りもあったが、今回は日本人選手のみを記載した。
過去10年の古巣帰還者たち
※( )内は古巣に戻るまでの所属チーム※チーム名は移籍当時のもの
☆=復帰先で引退した選手
★=現役
▼ 2010年
<投 手>
工藤公康(西武⇒ダイエー⇒巨人⇒横浜⇒西武)☆
薮田安彦(ロッテ⇒ロイヤルズ⇒ロッテ)☆
高橋 建(広島⇒メッツ⇒広島)☆
大家友和(横浜⇒レッドソックス⇒エクスポズ/ナショナルズ⇒ブリュワーズ⇒ブルージェイズ⇒インディアンス⇒タイガース【メキシコ】⇒横浜~)
<野 手>
田口 壮(オリックス⇒カージナルス⇒フィリーズ⇒カブス⇒オリックス)☆
▼ 2011年
<投 手>
菊地原毅(広島【派遣】⇒時報【中国】⇒広島⇒オリックス⇒広島)☆
<野 手>
宮出隆自(ヤクルト⇒楽天⇒ヤクルト)☆
▼ 2012年
<投 手>
川上憲伸(中日⇒ブレーブス⇒中日)☆
真田裕貴(巨人⇒横浜⇒巨人~)
<野 手>
小池正晃(横浜⇒中日⇒DeNA)☆
サブロー(ロッテ⇒巨人⇒ロッテ)☆
鶴岡一成(横浜⇒巨人⇒DeNA~)
紺田敏正(日ハム⇒巨人⇒日ハム)☆
金子圭輔(ソフトバンク⇒オリックス⇒ソフトバンク)☆
▼ 2013年
<投 手>
寺原隼人(ソフトバンク⇒横浜⇒オリックス⇒ソフトバンク~)
平井正史(オリックス⇒中日⇒オリックス)☆
吉川輝昭(横浜⇒ソフトバンク⇒DeNA)☆
<野 手>
岩村明憲(ヤクルト⇒レイズ⇒パイレーツ⇒アスレチックス⇒楽天⇒ヤクルト~)
平野恵一(オリックス⇒阪神⇒オリックス)☆
山崎武司(中日⇒オリックス⇒楽天⇒中日)☆
多村仁志(横浜⇒ソフトバンク⇒DeNA~)
▼ 2014年
<投 手>
岡島秀樹(~ソフトバンク⇒アスレチックス⇒ソフトバンク~)
<野 手>
谷 佳知(オリックス⇒巨人⇒オリックス)☆
▼ 2015年
<投 手>
黒田博樹(広島⇒ドジャース⇒ヤンキース⇒広島)☆
須永英輝(日ハム⇒巨人⇒日ハム)☆
<野 手>
新井貴浩(広島⇒阪神⇒広島)☆
田中賢介(日ハム⇒ジャイアンツ⇒日ハム)☆
▼ 2016年
<投 手>
和田 毅(ソフトバンク⇒オリオールズ⇒カブス⇒ソフトバンク)★
藤川球児(阪神⇒カブス⇒レンジャーズ⇒高知⇒阪神)★
脇谷亮太(巨人⇒西武⇒巨人)☆
▼ 2017年
<野 手>
川崎宗則(ソフトバンク⇒マリナーズ⇒ブルージェイズ⇒カブス⇒ソフトバンク~)★
鶴岡慎也(日ハム⇒ソフトバンク⇒日ハム)★
▼ 2018年
<投 手>
上原浩治(巨人⇒オリオールズ⇒レンジャーズ⇒レッドソックス⇒カブス⇒巨人)☆
<野 手>
松井稼頭央(西武⇒メッツ⇒ロッキーズ⇒アストロズ⇒楽天⇒西武)☆
実松一成(日ハム⇒巨人⇒日ハム)☆
渡辺直人(楽天⇒DeNA⇒西武⇒楽天)★
青木宣親(ヤクルト⇒ブリュワーズ⇒ロイヤルズ⇒ジャイアンツ⇒マリナーズ⇒アストロズ⇒ブルージェイズ⇒メッツ⇒ヤクルト)★
▼ 2019年
<投 手>
五十嵐亮太(ヤクルト⇒メッツ⇒ブルージェイズ⇒ヤンキース⇒ソフトバンク⇒ヤクルト)★
吉川光夫(日ハム⇒巨人⇒日ハム)★
古村 徹(DeNA⇒愛媛⇒富山⇒DeNA)★
▼ 2020年
<投 手>
松坂大輔(西武⇒レッドソックス⇒メッツ⇒ソフトバンク⇒中日⇒西武)★
<野 手>
高城俊人(DeNA⇒オリックス⇒DeNA)★
様々な帰還の形
2010年以降で42人いる古巣帰還者だが、その経歴は様々だ。
脇谷亮太はFAの人的補償で西武に移籍した後にFA権を行使し、古巣の巨人に復帰。また、鶴岡慎也はFA権を行使して日ハムからソフトバンクに移籍し、4年間プレーして再取得したFA権を使って日ハムに戻っている。いずれも過去1例しか起こっていないレアケースだ。
その他では、キャリアをスタートさせたチームに戻るケースが多いなか、岡島秀樹はキャリア4球団目のソフトバンクに出戻って、DeNAで引退と、ちょっと特殊な経歴。アメリカでのフィジカルチェックで異常が見つかって契約無効となりソフトバンクに入団して活躍したが、メジャー復帰を目指す本人の意向を汲んで1年で自由契約となり、アスレチックへ。しかし1年で自由契約となり、ソフトバンクに復帰という流れだった。
近年では、2019年にDeNAへの復帰を果たした古村徹がレアケースだ。一度は現役を引退したものの、打撃投手を経て独立リーグで現役復帰を果たし、2018年オフの入団テストを経て再びDeNAでプレーする機会をモノにしている。昨季は再びケガで苦しんだが、今季は一軍の舞台で躍動する姿を楽しみにしたい。
古巣に復帰したケースを振り返ると、ベテランになってからの復帰が多く、なかなか活躍できていないケースも多い。しかし、松坂世代のひとりである藤川球児のように、今もなおチームの中心選手として活躍しているケースもある。昨季は、松坂の1個上にあたる五十嵐も古巣で存在感を示した。
「どんな形でもチームの力になりたい」。そう語る松坂が、14年ぶりとなる古巣でどのような活躍を見せるのか、その動向には今後も要注目だ。
文=中田ボンベ(dcp)