今季注目のマイルストーン5選
日本では、2月1日と言えば野球界のお正月。12球団が一斉にキャンプインを迎え、それが球春到来の合図となる。
一方、海の向こう・メジャーリーグの“球春”はまだ先。今年は現地時間12日(日本時間13日)にバッテリー組が、その数日後に野手組がキャンプインを迎えることになっている。その後は21日からオープン戦がはじまり、今年は3月26日にレギュラーシーズンが開幕。いよいよ2020年シーズンの幕が開ける。
そこで今回は、メジャーリーグで今季中に達成・更新が期待される「個人通算記録」に注目。打者と投手で合計5つの節目を紹介していこう。
MLBを代表するスラッガーに迫る大台
まずは打者から。最注目は、先月の誕生日で40歳を迎えたエンゼルスのアルバート・プホルスだ。
言わずと知れたMLB屈指の強打者は昨年5月に史上4人目となる通算2000打点を、7月には史上6人目の通算650本塁打を達成。2年前には通算3000安打も達成しており、毎年のように偉業を成し遂げている大砲であるが、今年も注目の記録がある。
それが、過去3人しか達成者がいない「通算6000塁打」という記録。大台までは残り「137」となっているが、年齢による衰えが見え始めた近年でもシーズン200塁打前後は記録しているだけに、順調であれば夏場までには到達するだろう。
また、2000年以降にデビューした打者のなかで、プホルスと“双璧”と言っても過言ではない打棒を発揮してきたのがタイガースのミゲル・カブレラ。2012年には過去50年で唯一の三冠王、トリプルクラウンにも輝いたことで知られるスラッガーである。
そのカブレラが見据えるのが、「通算500本塁打」という大台。残り23本という状態から2020年シーズンがはじまる。近年は衰えが顕著で、昨季は136試合に出場して12本塁打とらしくない成績に終わったが、4月で37歳と年齢的にはまだやれても不思議ではない。コンディションを整え、V字回復に期待したいところだ。
「数」だけでなく「率」も
つづいて投手編。まずは、昨季ナショナルズを世界一へと導いた剛腕マックス・シャーザーから取り上げたい。
右腕にかかる大記録は、「数」ではなくて「率」。9イニングあたりの奪三振数を示す「奪三振率」について、シャーザーは現在通算で「10.58」という成績を残しており、これは2000投球回以上を投げた投手のなかで歴代2位という好成績。歴代1位は90年代から00年代にかけて活躍した左腕のランディ・ジョンソンで、その記録は「10.61」。目前に迫っているのだ。
シャーザーは昨年も自己ベストを更新する「12.69」という凄まじい奪三振率を記録しており、今季中にジョンソンの数字を超えていくことが確実視されている。ただし、この場合は「数」ではないため、超えたら終わりではないという部分は注意が必要だ。
次に、ドジャースが誇る2010年代の最強左腕クレイトン・カーショーにも期待したい記録が。それが「勝率.700」という大台だ。
こちらも奪三振率と同じで下がる可能性があり、特に勝率7割となるとひとつの敗戦での下げ幅が大きい。これをキープすることは容易ではないが、現在のカーショーの通算勝率は「.695」となっていて、2000投球回以上を投げた投手の中で歴代2位の好成績だ。最短では開幕から4連勝を挙げれば、7割の壁を打ち破ることができる。
ちなみに、1位は1871年~77年にプレーしたアル・スポルディングという選手で、その記録はなんと「.795」。150年近くも前の記録であり、“参考程度”と捉えるべき圧倒的な数字である。
最後は、2018年オフからFAとなっている大ベテランのバートロ・コロンについて。46歳になった右腕はこれまで通算「247」勝を挙げていて、「通算250勝」まであと3つ。新天地が決まり、登板機会があれば達成できるかもしれない。
ただし、昨年は1年間メジャーでの登板はなく、最後の登板は2018年の9月までさかのぼる。それでもメジャー復帰を諦めずにトレーニングは続けており、公式に引退を発表するまでは250勝に最も近い投手であることは間違いない。
文=八木 遊(やぎ・ゆう)