レジェンドたちの3年目は?
昨季、プロ入り2年目でセ・リーグの新人王に輝いたヤクルトの村上宗隆選手。高卒1年目は6試合の出場で1本塁打だったが、2年目に36本ものアーチを描き、一気にブレイクした。
歴史のあるプロ野球界でも、高卒2年目までにシーズン30本塁打以上を放った打者は、昨季の村上を含めて3人だけ。20本塁打以上にハードルを下げても過去に5人(6度)しかいない偉業中の偉業だった。
【高卒2年目までにシーズン20本塁打以上】
1953年:豊田泰光(西鉄)27本/1年目
1986年:清原和博(西武)31本/1年目
1987年:清原和博(西武)29本/2年目
1994年:松井秀喜(巨人)20本/2年目
2019年:村上宗隆(ヤクルト)36本/2年目
プロ野球界のレジェンドともいえる偉大な打者が、ズラリとリストに名を連ねる。そんな彼らの3年目はというと、以下の通り。
中西 太:「12」⇒「36」⇒「31」
豊田泰光:「27」⇒「18」⇒「23」
清原和博:「31」⇒「29」⇒「31」
松井秀喜:「11」⇒「20」⇒「22」
村上宗隆:「1」⇒「36」⇒「?」
村上以外の4人はいずれも、大きく成績を落とすことなく3年目も20本塁打以上記録。中西以外の3人に関しては2年目よりも数字を伸ばしている。4人の中では唯一、松井だけが2年続けて右肩上がりに数字を伸ばしているが、中西、豊田、清原がルーキーイヤーから主力として活躍したのに対し、松井の1年目は57試合の出場だった。
今季は村上に対する他球団のマークもさらに厳しくなるはず。36本塁打からの上積みは容易ではない。あの松井も、2年目と3年目は出場試合数と打席数に大きな差はなかったが、上積みは2本にとどまった。しかし、オフに主砲バレンティンが抜けたことで、村上の打順が昨季の6番から繰り上がる可能性は高く、必然的に打席数は増えることが予想される。
さらなる飛躍が期待される村上だが、現在は下半身のコンディション不良ということでキャンプから離脱している。昨季はシーズン全143試合に出場し、フェニックス・リーグにも参加。長いシーズンの疲れもあったのか、秋季キャンプも下半身のコンディション不良で離脱しており一抹の不安を残す。
しかし、高津監督は楽観的な見通しを語っており、開幕には間に合うのではないかとみられている。検査結果によっては「沖縄での再合流」の可能性も示唆しており、早期の合流を願うばかりだ。新生ヤクルトにとって、もはや欠くことのできない選手のひとり。高卒3年目ながら、その打棒にかかる期待は大きく、昨季の36本超えに挑む姿を楽しみにしたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)