筒香嘉智の穴を感じさせないオースティンの大爆発
春季キャンプも終わりを迎え、オープン戦も本格始動。ここから開幕に向けてた最終調整や、一軍入りを目指す選手たちによる熾烈なポジション争いが繰り広げられていくことになる。そのなかで抜群に目立っているのが、DeNAの新外国人・オースティンだ。
メジャー通算33本塁打という実績をひっさげ、メジャーへ移籍した筒香嘉智の穴を埋める新戦力として入団。2月16日に行われた巨人とのオープン戦で2打席連続本塁打を含む3打数3安打をマークすると、その後も好調をキープ。ここまで、3試合に出場して9打数7安打3本塁打と大爆発だ。打率も「.857」とハイアベレージを記録している。
DeNA打線といえば、昨年の二冠王・ソトと31本塁打を放ったロペスが打線の中核を担うが、ここにオースティンが加われば打線における筒香の穴は完全に埋まる。それこそ、昨年以上の強力打線になる可能性も秘めている。
最大で4人までと決まっている一軍の外国人選手枠が気になるところだが、今季のDeNAはセットアッパーのエスコバーが故障で開幕絶望となっているため、残るひとつの枠をリリーバーのパットンと先発候補のピープルズで争うことになるのか――。現状を考えると、オースティン、ソト、ロペスの外国人野手3人態勢でシーズン開幕に臨む可能性は高そうだ。
では、過去に外国人野手3人をレギュラーで起用したチームはどんな成績を残してきたのだろうか。
シーズン成績では一定の効果が見られるものの…
検証したのは、外国人選手枠が現行のルールになった2002年以降に、外国人野手3人以上が100試合以上に出場したチームの成績。調べたところ、ここまでの17年間で4チームが該当した。
▼ 2004年:ロッテ(4位)
・ベニー :130試合 打率.315/35本塁打/100打点
・フランコ:130試合 打率.278/16本塁打/65打点
・李 承燁:100試合 打率.240/14本塁打/50打点 ※
※=規定打席未達
▼ 2005年:ソフトバンク(1位)
・バティスタ:135試合 打率.263/27本塁打/90打点
・ズレータ :131試合 打率.319/43本塁打/99打点
・カブレラ :131試合 打率.297/8本塁打/58打点
▼ 2006年:ヤクルト(3位)
・ラミレス:146試合 打率.267/26本塁打/112打点
・リグス :142試合 打率.294/39本塁打/94打点
・ラロッカ:103試合 打率.285/18本塁打/63打点
※=規定打席未達
▼ 2017年:楽天(3位)
・ウィーラー:142試合 打率.271/31本塁打/82打点
・ペゲーロ :120試合 打率.281/26本塁打/75打点
・アマダー :121試合 打率.237/23本塁打/65打点
2004年のロッテは勝率5割ながら1勝差で惜しくも4位に終わったが、4チーム中3チームがAクラス入り。それぞれの成績を振り返っても、一定の成績を残している。長打力という部分では、2005年のソフトバンク以外は外国人選手たちがチーム本塁打の上位2位までを独占した。
また、2007年のヤクルトは得点数、本塁打共にリーグトップ。外国人野手トリオの活躍によって、リーグ5位と思わしくなかったチーム防御率(4.07)をカバーし、Aクラス入りを果たす原動力となった。
指名打者制のあるパ・リーグは3球団あったのに対し、全選手が守備位置につくセ・リーグは、ヤクルトの1チームのみ。DeNAの場合でも、3選手を同時に起用するとなると、ロペスはファースト、ソトがセカンド、オースティンがライトとなる可能性が高く、特にソトのセカンドには一抹の不安が残る。
ロペスも今年で37歳となるだけに、休ませつつという部分はあるかもしれないが、外国人野手たちにとっては守備面の不安を打ち消すだけの破壊力を示せるかが出続ける際のカギとなることは間違いないだろう。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)