コラム 2020.03.17. 15:00

センターラインはチームの要!2020年注目の「二遊間コンビ」3傑

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西武・外崎修汰、源田壮亮 (C) Kyodo News

NPBの最強二遊間は…?


 強いチームを作るうえで、多くの指揮官が重視するのが“センターライン”。なかでも、その真ん中に位置する「セカンドベースマン(二塁手)」と「ショートストップ(遊撃手)」は、“内野の要”としてより重要な役割を担う。

 日本では元来、この「二遊間」を守る選手には、打力よりも守備力を重視するという考えが根強い。歴代のスラッガーを振り返ってみても、同じ内野でも一塁手や三塁手の方が圧倒的に多く、そのポジションには打撃自慢の外国人選手を置くことも多いが、一方で二・遊をメインに守った強打者というと候補は一気に減り、そこに強打の助っ人を置いたチームというのはさらに数が限られる。


 そんな中、近年は巨人の坂本勇人やヤクルトの山田哲人など、かつてのステレオタイプにとらわれない強打の大型内野手も増えてきた。野球のスタイルの変化のなかで、より攻撃力を重視する風潮もあり、これまで得点貢献という点ではやや手薄になりがちだった二遊間のポジションに打てる選手がいるチームというのは、それだけ他チームよりもアドバンテージを持っているということになる。

 当然、最低限の守備力は必要となってくるのだが、二遊間の選手にも打力や走力といった“得点創出力”が求められる時代になりつつある。

 そこで今回は、2020年の各球団の顔ぶれを見つつ、注目の「二遊間コンビ」を独断で1位から3位まで選出。なお、ここではこれまでの話の流れから打力という部分にやや比重を置きつつ、走力や守備力も加味した総合的な判断でチョイスしてみた。


NPB最強二塁手に元メジャーの相棒


【1位:ヤクルト】
(二)山田哲人
(遊)アルシデス・エスコバー


 冒頭でも名前を挙げた山田に関しては、27歳にして歴代最高の二塁手と言える存在だ。

 プロ9年のキャリアで「3割・30本・30盗塁」のトリプルスリーを3度も達成。昨季も打率3割こそ届かなかったものの、自身4度目の30発・30盗塁もクリアしており、今季は2年ぶり4度目のトリプルスリーに留まらず、プロ野球史上初の「四冠王」(三冠+盗塁王)の大偉業にも期待がかかる。

 加えて、今季中に国内FA権の取得も予定されているだけに、オフの去就にも大きな注目が集まる。移籍する/しないに限らず、今年の活躍が今後の野球人生に大きな影響を与えることは間違いないだけに、この点からも今季の働きぶりは気になるところだ。


 そんな山田の新たな相棒となるのが、新外国人のエスコバーである。

 メジャー通算1437試合出場を誇り、ロイヤルズ時代の2015年には世界一に輝いた経験も持つ。通算1367安打の“バリバリのメジャーリーガー”だが、最大の武器はその守備力だ。世界一になった2015年にはゴールドグラブも受賞した名手で、守備範囲の広さと肩の強さは一見の価値あり。オープン戦でもド派手な守備でアウトをもぎ取っていた。

 一方、課題は打撃力。オープン戦では11試合の出場で打率.129(31-4)と大苦戦。強みである守備力、相方になる山田の打力を加味しても、エスコバー自身にも打率.250以上の数字は求めたいところだ。


「3割・20発コンビ」の可能性


【2位:楽天】
(二)浅村栄斗
(遊)茂木栄五郎


 “攻撃力”というところに比重を置くならば、このコンビにも期待がかかる。

 楽天加入2年目を迎える浅村は、打撃単体で見れば山田と張れるだけの能力を誇る。昨季も打率こそ.263と少し落としたが、33本塁打はキャリア最多。打点も92と負担の大きなポジションをこなしながらリーグで5番目に優秀な成績を収めた。


 プロ5年目を迎える茂木は、高いポテンシャルは誰もが認めるところでありながら、フィジカル面がついてこないために不完全燃焼が続いていたものの、昨季は主に1番で自己最多の141試合に出場。打率.282(568-160)・13本塁打・55打点の好成績を残した。

 今季からチームの主将を任されるなど、さらなる飛躍が期待される2020年だが、気になる点と言えばコンディション不良で大幅に出遅れていること。オープン戦は出場ゼロに終わり、加えて遊撃のポジションではドラフト1位ルーキー・小深田大翔が猛烈アピール。立場上はかなり厳しいところにいる。

 その点、「開幕延期」というのは茂木にとっては追い風になる可能性もある。二遊間で「3割・20発コンビ」となれば、間違いなく他球団の脅威となるだけに、新主将の巻き返しが待たれる。


「なんでもできる」強み


【3位:西武】
(二)外崎修汰
(遊)源田壮亮


 3位は迷うところもあったが、パ・リーグ連覇王者の“上積み”に期待する。

 源田は2017年に西武にやってくると、それまで長らくチームの課題だった遊撃手問題を一人で解決。新人王に輝き、プロ入りから2年連続で全試合フルイニング出場を達成。昨季その記録は途絶えたものの、それでも135試合に出場とレギュラーとしての役割を全うし、2年続けてベストナインとゴールデングラブのW受賞を果たしている。

 打率こそ.270台の推移が続いているものの、プロ入りから2年続けて3ケタ台だった三振数(100→101)が昨季は「67」へと激減。粘り強さという点で成長が見られた。加えて、持ち味の守備でも失策数を減らし続けており、21→11と来て昨季は「9」と1ケタに。攻守両面で進歩を続けているだけに、新婚プラス新主将就任で臨む2020年はさらなる飛躍に期待がかかる。


 浅村の移籍により昨季から二塁に入った外崎も、コンバート初年度からしっかりと結果を残してレギュラーに定着。守備面での負担は確実に増えたなか、自己最多を大幅に更新する26本塁打・90打点をマークして見せた。

 パンチ力あり、小技もあり、足もあって守備は安定。「なんでもできる」2人がどっしりと中央に据わるのは、西武の大きな強みだ。


 今回は「3傑」という形で紹介したが、このほかにも、故障つづきの吉川尚輝がこのまま順調であれば、現役最強遊撃手・坂本勇人を擁する巨人の二遊間コンビも見逃すことはできない。また、2年連続本塁打王のネフタリ・ソトと守備の達人・大和が組むDeNAの“ほこたて”コンビも、当然ながら注目が必要だ。

 組み合わせの変化や選手個々の成長、コンビ間の成熟度の向上などなど、各球団のペアのなかにも様々な見どころがある。チームを支える“二遊間コンビ”から目が離せない。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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