コラム 2020.03.26. 17:59

もう一度、表舞台に返り咲く…阪神・横山雄哉が挑んだ「勝負の春」

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2014年のドラフト1位左腕・横山雄哉(C) Kyodo News

2014年ドラ1左腕、再起をかけた戦い


 勝負を懸けた「春」が終わってしまった──。目指していた“モノ”は、今のところ手に入ってはいない。それでも、その表情には、待ってくれない1日を悔いなく過ごそうとする活力があった。


 6年目の横山雄哉にとって、沖縄・宜野座での春季キャンプはこれまでの「春」とは意味合いが全く違っていた。




 「自分は失うものはないですし、勝負を懸けないといけないので。アピールすることしか考えてないです。ここからが勝負だと思うので」


 何度も「勝負」と口にした理由は、背負っている「115」にある。

 2018年8月に慢性的な痛みを抱えていた左肩を手術。翌年から育成契約に切り替わり、2014年ドラフト1位で入団した際に授かった大切な「15」は、ドラフト1位ルーキー・西純矢へと譲る形に。一気に重たい3ケタになった。

 育成選手に一軍の公式戦に出場する資格はなく、背番号を2ケタ以下に戻さなければ道は開けない。

 手術明けだった昨年、シーズン途中から二軍のローテーションに穴を空けることなく守り、手応えもつかんでいた左腕は、開幕までに支配下登録に返り咲くことを目標に設定。決意が表れるように1月は能見篤史、岩貞祐太、岩崎優といった左腕の先輩が合同で行う沖縄での自主トレに志願参加して、どん欲に教えを請うなど、準備を整えていた。


迎えた“勝負の時”


 1月下旬のスタッフ会議で、球団の育成選手では初めて一軍の春季キャンプメンバーに選出。昨年の秋季キャンプ最終日、金村暁投手コーチから「春のキャンプで一軍に呼びたいから、しっかりオフに仕上げてこいよ」と声をかけられていた。

 その言葉を最大のモチベーションにオフを過ごし、約束を守って手にした一軍キャンプの切符は、千載一遇の好機であることは間違いなかった。若手主体で成長を促す秋とは違い、開幕へ向けた一軍の戦力の見極めという意味合いが強い春。首脳陣の目に止まれば、支配下登録は一気近づく。だからこそ「勝負」と強調していた。

 そうは言っても、チャンスは決して多くない。結果はもちろんのこと、育成選手という立場上、内容をシビアに見極められる。言うまでも無く、横山自身が「質」にこだわっていた。


 2月15日、広島との練習試合。そこでの先発マウンドこそが「勝負の時」だった。他の若手投手を差し置いて先発に抜てき。その重要性を一番理解していたからこそ、試合後の表情は重苦しさに溢れた。

 「直球が走っていなかった。もっとやりようがあったし、全然ダメでした…」

 普段は人懐っこく笑顔を絶やさない26歳は明らかに落胆していた。3回3安打1失点と及第点の結果でも、求めていたもの、描いていたものとはかけ離れていた。


不完全燃焼に終わった春のリベンジを…


 キャンプ期間中、取材を重ねた中で、なかなか思うような直球を投げ込むことはできなかったように見えた。

 メスを入れた左肩のケアを欠かさず、時間を割いてきただけにもどかしさが伝わった。決して後退はしなかったが、突き抜けたモノを見せることができなかったのも現実だった。

 キャンプ最終日には、矢野燿大監督から、翌日からの二軍降格という通告が。「次の登板予定も言われてなかったので、なんとなく二軍に行くんだろうな、とは思ってました」。こうして、背番号115が全力で挑んだ春は終わりを告げた。


 先日、ファームの本拠地・鳴尾浜球場で顔を合わせた横山は、やはり悔しげだった。「全然、腐ったりしてませんから。大丈夫です」。自分に言い聞かせるような言葉に聞こえた。短すぎた1カ月に懸け、不完全燃焼に終わった思いは、取材者の1人としても感じた。

 現在、タイガースの支配下登録選手は68人。空いた2枠を目指す戦いはこれからも変わらない。再び「勝負」するその時を信じて、春が過ぎても、腕を振る。


文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

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