1カ月半前の不安が現実に…?
4月24日(金)の開幕を目指して歩み始めた日本の野球界に激震が走った。
26日に阪神の藤浪晋太郎投手(25)がPCR検査を受け、27日に新型コロナウイルスの陽性判定が確認されたことが明らかに。藤浪だけでなく、伊藤隼太選手(30)や長坂拳弥選手(25)も陽性と診断されており、感染経路を調べるうちに大人数で会食していたことなども判明。さらなる感染拡大の可能性も懸念されている。
藤浪は数日前から「においを感じない」という症状を訴えていて、これが早期の検査につながったという。一般的な兆候としては発熱、せきといったところが挙げられていたなか、味覚や嗅覚の異常からいち早く感染が判明したことは不幸中の幸いと言うべきだろう。球団は最低1週間の活動休止を決定し、事実上の“解散”状態となった。
“最悪のシナリオ”も現実味
27日現在、プロ野球選手で観戦が確認されているのは3名だけ。しかし、すでにチーム内をはじめ、過去1~2週間のうちに試合を行った対戦相手など、水面下でウイルスが蔓延している可能性も考えられる。今後さらに状況が悪化するようなら、「4月24日」を目標にしていたシーズン開幕もさらなる延期は避けられないだろう。
今から約1カ月半前、私が寄稿した『新型コロナウイルスの脅威、スポーツ界にも…今後考えられる“最悪のシナリオ”とは?』という記事が2月15日に公開された。そこでは、プロ野球界において考えられる“3つのシナリオ”を記載した。
当時はオープン戦が始まる前日で、各球団はジェット風船を使用した応援の自粛を要請、握手などのファンサービスを自粛するなど、徐々に対策を講じ始めた段階ではあったが、それ以外はほぼ通常通りのキャンプを行っていた。
その時、私は「外国人選手の帰国」・「観客の減少」・「興行自体の延期・中止」という3つを挙げたが、ここに来て最悪のシナリオである「シーズン全休」も現実味を帯びてきている。
時が経っても終息の見込みどころか、ここ数日の間に患者数は急増。東京都などの首都圏では、今週末の「不要不急の外出」を自粛するようにという要請も出された。ここに来て「政府対策本部」も設置され、「緊急事態宣言」の発令も時間の問題と言われている。
“東京オリンピックイヤー”の2020年。スポーツ界にとって希望に満ちた年になるはずが、今ではスポーツどころではない状況になってしまった。
文=八木 遊(やぎ・ゆう)