コラム

開幕延期が阪神ブルペン陣にもらたすプラス要素

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昨年チームトップの63試合に登板した島本 (C) Kyodo News

故障離脱組にとって開幕延期はプラスに


 チームから伊藤隼太、藤浪晋太郎、長坂拳弥と3人の新型コロナウイルス感染者を出した阪神タイガースは、活動休止を経て15日から自主練習を再開する。

 自宅待機を命じられ、限られた練習環境で単独トレーニングを強いられる選手のストレスを考えれば、相当辛いものがあっただろう。そして、甲子園での観戦を待望しているファンも我慢の日々が続いている。





 ネガティブな話題は挙げればキリがない中で、少しでもポジティブな材料を探すことで視線を前に向けたい。

 誰もが思い当たる部分ではあるものの、この空白の期間がプラスに転じる人物がいるとすれば、一番は故障者になるはずだ。

 例えば、今季はセットアッパーとしての期待も高い岩崎優は、春季キャンプ中の2月下旬に右足を痛めて離脱。当初の3月20日の開幕までに万全な状態で再合流するのは相当厳しい状況だったように感じた。

 まだ距離を取っての対面取材が可能だった3月下旬、左腕は「少し時間ができた。開幕に合わせられると思うので、しっかり準備する」と“猶予期間”を前向きに捉えた。リハビリ経過も小休止を余儀なくされたが、故障した患部には十分な癒やしの時間になったことは間違いない。


ブルペンの主軸3人と先発候補が復帰へ


 昨年チームトップの63試合に登板し、防御率1点台と存在感を示した島本浩也も、リハビリに長い時間を費やしてきた1人。一軍でのフル回転という未体験の1年を過ごした代償は少なくなく、昨年10月にシーズン終盤から痛みを抱えていた左肘のクリーニング術を受けた。

 キャンプも二軍からのスタート。じっくりとステップを踏んできたものの、患部の状況は一進一退の過程をたどり、当初想定していた3月中の実戦復帰には間に合わなかった。

 メスを入れた後に設定した2020年のノルマは「50試合登板」。簡単でない数字も、「ファンの方々もいますし、開幕が延びたのは決して良いことではないですけど、自分にはプラスなのかなと。50試合登板の目標は変えないです」と下方修正には首を振った。


 他にも、17年から2年連続で60試合登板をクリアし、勝利の方程式を担っていた桑原謙太朗も、右肘痛からの復帰を目指してフリー打撃登板までこぎつけていたし、高卒4年目・才木浩人の実戦復帰も間近に迫っていた。

 岩崎、島本、桑原という直近3年間でブルペンの重要なポジションを担っていた3人の離脱が1日でも短縮されること、そして18年に6勝を挙げた21歳のカムバックは、紛れもない戦力アップだ。

 当然、12球団に故障者は存在するし、タイガースだけに有利に働くわけでなく、この期間にコンディションを落とす選手が出てきてもおかしくない。ただ、この休止期間が故障者に与えるものは、想像もつかない20年シーズンを見守る上での1つのポイントになるのかもしれない。

 何よりも、期せずして“充電期間”に入った選手たちが、グラウンドで溜め込んだ力を解き放ち、待ち望んだファンがありったけの声援を注ぐ――。そんなプロ野球の「日常」を想像しながら、その時を待ちたい。


文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

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