“伝説の特訓”、畳の上での素振り!
4月23日に行われた12球団代表者会議において、今季の開幕は「あらためて5月11日に協議する」ことが決定した。その場では、“無観客試合”に関しても合意がなされたという。
新型コロナウィルスの猛威はとどまることを知らず、まさに先が見えないなかではあるが、選手たちは自主練習というかたちで開幕に向けてやれることをやっているという状況だ。
そんななか、DeNA・乙坂智の自主練習で面白いニュースが流れてきた。
横浜スタジアムで練習を行うだけでなく、自宅では王貞治氏や松井秀喜氏が取り入れていた畳の上での素振りをこなしているそうだ。その畳は、家具インテリア販売店「ニトリ」で購入。本人曰く、「裸足でバットを振ることで感触を確かめている」という。
昨季はキャリアハイとなる97試合に出場したが、打率.245(159-39)に2本塁打と打撃面で目を引くような結果を残すことはできていない。外野の定位置を掴むためには、やはり打撃力でのアピールは欠かせない。
今年は高校の先輩でもある筒香嘉智のメジャー挑戦によって、外野のポジションにひとつ空きができた。男にとって大きなチャンスの年になる。
2017年のCSでは代打で5打点の新記録
横浜高では、3年時に貼るのセンバツで初戦敗退を喫すると、その直後に近藤健介(現・日本ハム)から主将の座を引き継いだ。
その後、夏の神奈川県大会では準々決勝、準決勝、さらには決勝と3試合連続で1点差ゲームをものにし、チームを夏の甲子園へと導いている。また、聖地でも初戦は延長サヨナラ勝ちと、崖っぷちの状況でこそ真価を発揮してきたのが乙坂という男。諦めない気持ちでチームを引っ張ることができる選手なのである。
プロ入り後は3年目となる2014年に一軍デビューを果たすと、以降は順調に出場試合数を伸ばし、2017年には83試合に出場。しかし、打率は.190(63-12)と結果を残すには至らなかった。
それでも、クライマックスシリーズでは代打の切り札として活躍。甲子園で泥だらけになりながら行われた試合では代打本塁打も放つなど、CS新記録となる「代打で5打点」をマーク。「絶対に広島に行くぞ。まだまだ諦めないぞ、という気持ちでやっていた」と語ったように、ポーカーフェイスの内に秘められた“気持ち”で底力を見せ、日本シリーズ進出に貢献した。
また、昨年のCSでも、負ければ敗退という土壇場の試合で代打逆転サヨナラ弾。この時、アレックス・ラミレス監督の頭には“佐野恵太”という別の選択肢も頭にあったと言うが、2年間のCSで見せた印象から乙坂を起用。その勝負強さは指揮官もお墨付きだ。
これまでの野球人生において、“ここぞ”という場面で力を発揮してきた男。持ち前の「土壇場力」で定位置確保に近づくことはできるだろうか。
▼ 乙坂智・プロフィール
ポジション:外野手
投打:右投左打
身長/体重:183センチ/83キロ
生年月日:1994年1月6日(26歳)
経歴:横浜高-DeNA(11年・D5)
[昨季成績] 97試 率.245(159-39) 本2 点17 盗6
[通算成績] 366試 率.234(556-130) 本9 点46 盗14