コラム 2020.05.31. 11:00

達成なら10年ぶり!「3年連続30本塁打」の難しさ

無断転載禁止
西武・山川穂高

挑戦権を持つ日本人選手はたったの5人


 いよいよ待ちに待った開幕が近づいてきた。

 再び野球が見られること自体が喜ばしいことであり、楽しみではあるが、今季は120試合制となるため、様々な積み上げ系の数字は例年よりも低いものになりそうだ。



 そのひとつが「ホームラン」。昨季は両リーグ合わせて「1688本」の本塁打が飛び出した。

 ちなみに、30本塁打以上を記録した打者は14人。そのうち「2年連続30本塁打」を達成した日本人打者というと、山田哲人(ヤクルト)、岡本和真(巨人)、山川穂高(西武)、浅村栄斗(楽天)、松田宣浩(ソフトバンク)の5人のみだった。

 先に挙げた5選手以外に、日本人打者で「2年連続30本塁打以上」を放った選手は、統一球問題以降の5年ほどを振り返っても、西武・中村(14年・15年)、ヤクルト・山田(15年・16年)、ソフトバンク・柳田(17年・18年)の3人しかいない。これが3年連続となると、さらにハードルが上がり、この10年を振り返ってみても達成者は皆無だ。

 統一球の影響もあったとはいえ、外国人選手まで広げても、達成したのはバレンティン(11~14年・16~19年)と、レアード(15~17年)のふたりだけだった。では、過去にはどんな選手が3年連続30本塁打以上を達成しているのだろうか。


最後の達成者は小笠原道大


 調べたのは、平成以降で3年連続30本塁打以上を記録した日本人選手。外国人選手は同期間で延べ14人いたが、日本人打者はどうだったのか。在籍球団は最終年に達成した時点のものとしている。


▼ 落合博満(中日)
1989年:40本
1990年:34本 ☆本塁打王
1991年:37本 ☆本塁打王
※1988年から4年連続

▼ 池山隆寛(ヤクルト)
1989年:34本
1990年:31本
1991年:32本
1992年:30本
※1988年から5年連続

▼ 秋山幸二(西武)
1989年:31本
1990年:35本
1991年:35本
1992年:31本
1993年:30本
※1985年から9年連続

▼ 松井秀喜(巨人)
1996年:38本
1997年:37本
1998年:34本 ☆本塁打王
1999年:42本
2000年:42本 ☆本塁打王
2001年:36本
2002年:50本 ☆本塁打王

▼ 中村紀洋(近鉄)
1998年:32本
1999年:31本
2000年:39本 ☆本塁打王
2001年:46本
2002年:42本

▼ 小久保裕紀(ダイエー)
2000年:31本
2001年:44本
2002年:32本

▼ 小笠原道大(日本ハム)
2000年:31本
2001年:32本
2002年:32本
2003年:31本

▼ 和田一浩(西武)
2002年:33本
2003年:30本
2004年:30本

▼ 松中信彦(ソフトバンク)
2003年:30本
2004年:44本 ☆本塁打王
2005年:46本 ☆本塁打王

▼ 岩村明憲(ヤクルト)
2004年:44本
2005年:30本
2006年:32本

▼ 小笠原道大(巨人)
2005年:37本
2006年:32本 ☆本塁打王
2007年:31本
2008年:36本
2009年:31本
2010年:34本
※2005-06年は日本ハムでのもの

▼ 村田修一(横浜)
2006年 34本
2007年 36本 ☆本塁打王
2008年 46本 ☆本塁打王


 11人中8人が名球会入りを果たすなど、球界を代表する強打者たちが名を連ねているが、日本人打者で最後に達成したのは2010年に6年連続で30本塁打を放った小笠原道大までさかのぼる。

 また、2000年以降に使用されたラビットボールの恩恵もあったのか(もちろんそれだけの影響ではない)、1990年代に達成した選手は4人だが、2000年以降は8人に倍増している。


 その中で、“惜しかったの”が中村剛也だ。

 2008年に46本塁打、2009年に48本塁打を放って3年連続30本塁打にリーチをかけたが、2010年は故障の影響で25本塁打と5本届かなかった。翌11年には統一球で各打者が苦しむなか48本塁打をマーク。2014~15年も2年連続で30本塁打を放って2度目のリーチとなったが、2016年も故障に見舞われ21本塁打止まりだった。


 “ミスター・トリプルスリー”こと、山田哲も惜しかった選手のひとり。初の規定打席到達を果たした2014年は29本塁打とあと1本足らずで、その後は2年連続で38本塁打をマーク。3年連続の記録がかかった2017年はスランプに見舞われて24本塁打止まりだった。

 もうひとり、柳田悠岐も2017~18年と2年連続で30本以上を記録し、2019年も開幕からの9試合で4本塁打と上々の滑り出しを見せたが、ケガにより38試合の出場に終わった。3シーズン以上にわたって、故障やスランプと無縁でい続けることが、いかに難しいことなのかが実感できる。


 試合数は例年の143試合から120試合となり、試合時間短縮のために延長を行わない案も浮上している。ちなみに、120試合で30本以上放つには単純計算で4試合に1本ペースで本塁打を放つことが必要となるが、昨年もこのペースで打てている日本人選手は、山川(43本)、坂本(40本)、村上(36本)のみ、3年連続の可能性を残す選手では山川だけだった。

 険しい道のりになることは間違いないが、10年ぶりとなる3年連続30発にも期待しつつ、待ちに待った開幕を待ちたいと思う。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)

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