コラム 2020.06.05. 10:00

指揮官の一喜一憂【スタンバイ・ベースボール】

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阪神のジャスティン・ボーア (C) Kyodo News

球界に激震が走る


 球界に大激震が走った6月3日。巨人の坂本勇人、大城卓三の両選手が新型コロナウイルスの抗体検査の結果、「微陽性」と診断されて西武との練習試合が急遽中止となった。

 両選手は即日、入院すると翌4日にPCR検査を受けて「陰性」と判明。開幕を2週間後に控え、2日から各球団は練習試合に突入したばかり。最悪な事態は回避されそうで巨人のみならず、関係者は一様にほっと胸をなで下ろしたはずだ。

 一方で、今回の騒動はコロナ禍の下で大きなスポーツイベントを開催する難しさを改めて示している。坂本も大城も過去に自覚症状はなかったという。そうとするなら、今後、どんな選手や関係者でも同様な事態を引き起こす可能性はあるということだ。

 すでに巨人やソフトバンクなど一部の球団では抗体検査を実施しているが、球界全体では、ようやく前向きな検討を始めたばかり。今夏に開催の予定されていた東京五輪は1年間の延期を決定したが、今なお来年の開催すら危ぶまれるほど。コロナに対する有効なワクチンが開発されない限り、第二次、第三次の感染に備えて出来る限りの水際作戦を履行していくしかない。

 もし仮に、坂本と大城が開幕に間に合わなかったら? 原辰徳監督でも慌てたに違いない。昨年のリーグMVPと指揮官が今季、もっとも期待を寄せる正捕手候補の2人だ。

 長丁場のペナントレースで誤算はつきもの、病気や故障や大スランプなどで当初描いたプラン通りに戦えることは少ない。そこで指揮官の「やりくり上手」が問われるのだが、もっとも頭が痛いのは「替え」の利かない選手の離脱である。

 大城の場合は、それでも小林誠司、炭谷銀仁朗の両捕手でしのげるが、坂本の場合そうはいかない。2番打者として超攻撃的な打線の核となり、華麗な守備で投手を助け、チームリーダーでもある。今回の騒動がこれで一件落着となれば幸いだが、これ以上の余波が続くようならチーム内に動揺も広がる。


矢野監督の悲喜こもごも


 巨人と違い、他球団では本格的な実戦段階に入って収穫や誤算が生まれている。中でも阪神の矢野燿大監督の心中は穏やかではいられない。

 練習試合初戦となった2日の広島戦では期待の新外国人、J・ボーア選手に待ちに待った一発が生まれる。メジャー通算92本塁打の実績を誇る4番候補だ。ところが来日以来、看板の長打力はなりを潜め、2月15日の広島戦から対外試合では音なしが続き、周囲からは活躍に疑問符がつき始めていた。

 実に実戦18試合、45打席目の一発は、甲子園の右翼スタンドに叩き込んだ。さらに翌日の同カードでも今度はバックスクリーン左に、そして4日の試合では弾丸ライナーで右翼ポールを直撃と、3戦連発。指揮官も胸をなで下ろした。3発の内容を見ても、来日当初の大振りから日本仕様に改善されているのが頼もしい。

 打線では、球界最年長43歳の福留孝介選手も、昨年故障に泣いた糸井嘉男選手も健在をアピールする一方で、投手陣に不安材料が露呈しだしたのが誤算だ。守護神・藤川球児投手が3日の同カードで腰の張りを訴えて急遽の降板。キャンプから順調な調整を続けて来ただけに、この時期の変調は頭が痛い。

 さらに、コロナ陽性判定から、遅刻による二軍降格と「お騒がせ男」の感のある藤浪晋太郎投手も同日の対ソフトバンク二軍戦で、こちらは右胸の張りで緊急降板。二軍落ちとはいえ、潜在能力ではチーム一、二の怪腕だ。復活次第では一軍の先発ローテーション入りも期待されていただけに、すべてが台無しである。

 阪神と言えば昨季までは投高打低のチーム。投手のチーム防御率3.46は12球団トップに対して、チーム打率.251はリーグ4位ながら総得点538は12球団最下位の貧打ぶり。特に長打力不足に泣いてきただけに打線のテコ入れ次第でチームの浮沈がかかると見られてきた。

 ボーアの一発に胸躍らせれば、藤川、藤浪のアクシデントに心を痛める。強化ポイントに光明を見出せば、ストロングポイントに不安が広がる。これだから指揮官に心休まる日々はない。通常の143試合から120試合に短縮して行われる今季の戦い。6連戦も当たり前の強行日程になれば、投手陣の優劣が勝敗のカギを握る公算は大きい。

 19日の開幕は巨人対阪神の伝統の一戦だ。原、矢野両監督の一喜一憂はまだまだ続く。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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