注目の高校球児【近畿地区】
「新型コロナウイルス」の問題により、今年は春・夏ともに甲子園大会が中止となってしまった。
それでも、6月に入って練習を再開している高校も多く、特に次のステージで野球を続けようと考えている球児は、各地の代替大会や大学・社会人チームでの練習参加など、それぞれがアピールを続けていくことになる。
プロアマ野球研究所(PABBlab)では、そんな球児たちを応援する意味も込めて、『甲子園で見たかった将来有望選手』と題して、全国の有望株を紹介していきたい。
第4回となる今回は、近畿編だ。
明石商・中森俊介は「世代No.1投手」
近畿で最大の注目投手といえば、やはり「世代No.1」の呼び声高い中森俊介(明石商高)になるだろう。
入学直後からベンチ入りを果たすと、1年春の近畿大会では春夏連覇を達成した大阪桐蔭戦にも先発。1年秋には早くもエースとなり、昨年春・夏の甲子園では2季連続で準決勝進出の原動力となった。
昨年の夏には最速151キロをマークしているが、決して力任せではなく、総合力の高さが光る。変化球で主体となるスライダーはスピードと曲がりの大きさに変化をつけることができ、チェンジアップ、フォークの縦の変化球の精度も高い。
体全体の柔軟性が課題と言われているものの、肘の使い方には柔らかさがあり、フォームのバランスの良さも長所だ。8月に行われることが決まった聖地・甲子園での交流試合では、昨年を上回るパフォーマンスを期待したい。
潜在能力の高さでは、小林樹斗(智弁和歌山高)も負けていない。
昨年は控え投手ながら、春夏連続で甲子園のマウンドを経験。いずれも140キロ台後半のスピードをマークして大観衆を沸かせた。
体重移動する時に少し重心が上下に動き、リリースがばらつくのは課題だが、指にかかった時のストレートは高めも低めもよく伸びる。高い位置から縦に腕を振ることができ、ボールの角度も申し分ない。ストレートと同じ軌道から鋭く変化するスライダーとフォークも大きな武器だ。
昨年秋は本調子ではなかっただけに、夏には復活した姿を見せてもらいたい。
その他の投手では、隼瀬一樹(伊香高)、岩崎峻典(履正社高)、藤江星河、申原理来(いずれも大阪桐蔭高)、浅利太門(興国高)、坂口翔颯(報徳学園高)、岩本真之介(市和歌山高)などに注目だ。
野手もドラフト候補がゴロゴロと…
投手以上に豪華なのが野手で、各ポジションにドラフト候補が揃っている。
捕手の筆頭格は、関本勇輔(履正社高)だろう。
夏の全国制覇を果たした旧チームでは控えだったが、新チームでは4番に定着。いかにもキャッチャーらしいたくましい体格で、イニング間のセカンド送球はコンスタントに1.9秒台をマーク。コントロールも安定している。
インパクトの強いバッティングも特長で、強打の捕手としてプロからの注目度も高い。
内野手では、土田龍空(近江高)、小深田大地(履正社高)、西野力矢(大阪桐蔭高)の名前が挙がる。
土田は1年時からショートを任されており、スピード感抜群のプレーは高校生離れしたものがある。素早く動いてバウンドを合わせられ、グラブさばきも柔らかい。
ミート力と積極的な走塁でも目立つ存在だ。昨年夏の甲子園は自身のエラーもあって初戦で敗れたが、次の舞台でその悔しさを晴らしてもらいたい。
小深田と西野はともに強打のサードとして注目の選手。小深田は旧チームから不動の3番を任されており、下半身の強さを生かしたスイングで確実性と長打力を兼ね備えている。打撃に関しては今年の高校生の中でもNo.1と言えるだろう。
西野は少し太めの“おかわり”体型だが、スイングにキレと柔らかさがあるのが特長。昨秋の近畿大会では中森からスリーランを放って見せた。ともにサードの守備が安定しているのも大きな強みだ。
外野手は明石商・来田涼斗が筆頭
外野手では、来田涼斗(明石商高)がNo.1だ。
入学直後から1番に定着し、昨年春には2本、夏にも1本と甲子園でホームランを放っている。タイミングをとる時のバットの動きが少し大きいのは気になるが、多少体勢を崩されても、強い打球を打てるのが大きな長所。大舞台でも常に自分の間でフルスイングできるのもプロ向きだ。
リードオフマンタイプでは、細川凌平(智弁和歌山高)も来田に負けてはいない。
昨年秋まではセンターだったが、この春からプロ入りを視野に入れてショートに転向。守備でどこまでのプレーを見せることができるかがポイントとなりそうだが、ヒットを打つということに関しては、他の候補よりも技術面で上回っているように見える。
上背はなくても、甘いボールはスタンドに運ぶパンチ力も持ち合わせており、外野手としてプレーを続けるのであれば、青木宣親(ヤクルト)のような選手になれる可能性を秘めている。
その他の候補では、強打の捕手である山下航汰(京都外大西高)、ショートとして抜群の守備力が光る伊東光亮(大阪桐蔭高)、小柄ながらパンチ力が光る下林源太(天理高)なども面白い存在だ。
☆記事提供:プロアマ野球研究所