ロッテ戦で種市篤暉からプロ初本塁打など2打点
西武の若手、高卒4年目・鈴木将平選手の存在感が徐々に増している。
バットコントロールがよく、俊足の先頭打者タイプである鈴木の台頭は西武にとって大きい。西武の先頭打者というと、長く秋山翔吾(米レッズ)が務めてきたが、その秋山の抜けた穴を埋めることは、チームにとっての課題のひとつとなっている。鈴木は、その穴を埋めるような存在になるのかもしれない。
鈴木の一軍デビューは2019年だが、ほとんどは代走や守備固めでの途中出場にとどまっていた。しかし今季は、金子侑司の離脱もあり、6月27日のソフトバンク戦以降、8試合でスタメン出場を果たしている。しかも、7月10日のロッテ戦からは、ついに「1番・中堅」の座を奪い取った。
ここまでの鈴木の成績は、9試合に出場して32打数11安打、打率.344、1本塁打3打点。順調な滑り出しといえるだろう。
俊足の外野手というと、守備範囲の広さなど守備力によって少々の打撃力の物足りなさをカバーする選手が多い印象もある。ただ、やはり「打のチーム」である西武らしく、鈴木も打撃で魅力を感じさせるタイプだ。ファンの目を引いたのは、7月11日のロッテ戦での打撃だろう。
3回、一死走者なしの場面で打席に立つと、相手先発・種市篤暉の直球を強振。打球は右中間スタンドに飛び込むプロ初本塁打となった。また、6回二死一三塁のチャンスではバットコントロールの良さを披露。外角低めの厳しいコースに沈む変化球を巧みにとらえた打球は、二遊間を抜けて中堅前に転がる適時打となった。
課題もあるものの、期待したくなる高卒4年目の22歳
その打撃フォームは、チームの先輩・森友哉を思わせるところもある。森ほどではないが、鈴木も身長175センチと小柄な左打者だ。そして、打撃の始動時には森と同じようにホームベース側に一度右足を振り上げる動作でタイミングを取り、強いスイングを心がけている。
巧打者タイプの鈴木は昨季、イースタン・リーグで264打席に立ち.305という高打率を残した一方で本塁打は2本。一軍と二軍のちがいはあるものの、秋山も大卒1年目のルーキーイヤー(2011年)は一軍で313打席に立ち、本塁打は1本のみだった。
そんな秋山も、2017年以降はコンスタントに20本塁打を上回るようになった。鈴木がまだ高卒4年目で22歳になったばかりということを思えば、成長曲線次第で秋山のように長打も狙える選手になる可能性にも期待したくなる。
ただ、一軍の壁はそう低くはない。7月12日のロッテ戦では、相手先発・フローレスの直球に完全に振り遅れた空振り三振を喫するなど、追い込まれた場面での対応に課題があるようにも見えた。とはいえ、西武ファンにとってまた楽しみな若手が現れたことは確かだ。
鈴木がどんな成長を見せるのか、それこそ秋山が抜けた穴を埋めるのか、期待を持ちつつ今後の活躍に注目したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)
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※お詫びと訂正(2020年7月13日15時00分)
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初出時、鈴木将平選手の名前に誤りがありました。
大変失礼いたしました。お詫びして訂正いたします。