コラム 2020.07.18. 11:09

ようやく開幕!メジャーリーグの2020シーズンをプレビュー【ナ・リーグ中地区 編】

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昨季はカージナルスが4年ぶりに地区制覇

シーズンプレビュー【NL中地区 編】


 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開幕を見合わせていたメジャーリーグの2020年シーズン。本来の予定から遅れること約4カ月、いよいよ現地時間7月23日(日本時間24日)に開幕が決定。異例の“60試合制シーズン”が、ついに始まる。


 というわけで、新シーズンの見どころや注目ポイントを地区ごとにチェックしていこう、というのがこの企画。今回はナ・リーグ中地区を取り上げる。

 展望の前に、まずは昨年の順位をおさらいしておこう。

【2019・NL中地区順位表】
1位 カージナルス(91勝71敗)
2位 ブリュワーズ(89勝73敗)
3位 カブス(84勝78敗)
4位 レッズ(75勝87敗)
5位 パイレーツ(69勝93敗)


ダルビッシュ擁するカブスは…?


▼ セントルイス・カージナルス

 昨季は91勝を挙げ、4年ぶりの地区制覇を果たしたカージナルス。リーグ優勝決定シリーズではナショナルズに4タテを食らったが、再び大舞台にたどり着くことはできるだろうか。

 打線はマルセル・オスナの流出が大きい。29発・89打点を稼いだ男の抜けた穴をどう埋めるか。新星の誕生に期待がかかる。

 投手陣では、ジャック・フラーティとダコタ・ハドソンの若手スターター2人が覚醒した。さらに昨季はクローザーを務めたカルロス・マルティネスが先発に復帰し、ローテーションは盤石。巨人でもプレーしたマイルズ・マイコラスが18勝した2年前の出来を取り戻せば、リーグ屈指の投手陣を形成できるだろう。


▼ ミルウォーキー・ブリュワーズ

 昨季はカージナルスとデッドヒートを演じたが、2ゲーム差の地区2位に終わったブリュワーズ。今年は2年ぶり地区優勝を目指す。

 このチームの大きなトピックと言えば、主砲・クリスチャン・イエリチと9年総額2億1500万ドル(約227億円)で契約を延長したこと。ここに2年目のケストン・ヒウラら、若手たちのさらなる成長があれば、攻撃力は地区で頭一つ抜けた存在となる。

 先発陣はエース候補のブランドン・ウッドラフ以外はやや不安が残る状況。救援陣も抑えの切り札であるジョシュ・ヘイダーは計算できるものの、昨季セットアッパーを務めたジュニア・ゲラをFAで流出したのが響きそうだ。


▼ シカゴ・カブス

 昨季は5年ぶりにプレーオフ進出を逃したカブス。今季は心機一転、OBのデビッド・ロス新監督が指揮官に就き、4年ぶり世界一を目指す。

 打線は昨季6人が20本塁打以上を記録。年齢層もまだ若く、更なる上積みにも期待できる。

 一方の投手陣だが、ローテーション候補は30代が中心。春先のオープン戦で好調だったダルビッシュ有に、エースとしての活躍が期待される。リリーフ陣では、昨季途中に加入したクレイグ・キンブレルの復調が待たれる。


秋山加入のレッズも注目!


▼ シンシナティ・レッズ

 2014年から6年連続で負け越し中のレッズ。このオフは積極的に補強を行い、優勝争いも期待できる戦力が整いつつある。

 西武から移籍した秋山翔吾はリードオフマンとしての役割が期待されるが、外野の選手層は非常に厚い。最大の補強は昨季35本塁打のマイク・ムスタカスの加入。この選手が5~6番の打順を担えるようなら、リーグ屈指の打線が完成する。

 投手陣も、2018年にリーグ24位だったチーム防御率が、昨季はリーグ8位まで改善。自己最多の15勝を挙げたルイス・カスティーヨが絶対的エースとして今季も君臨する。昨季途中に加入したトレバー・バウアーは、レッズ移籍後に成績を落としたものの、5年連続2ケタ勝利の実力が伊達ではないところを証明したい。


▼ ピッツバーグ・パイレーツ

 昨季、9年ぶりに地区最下位に沈んだパイレーツ。オフにも目立った補強はなく、地区のライバルとはさらに差が開きそうだ。

 打線では、37本塁打・116打点とブレークした一塁手ジョシュ・ベルの存在が大きかった。しかし、1月に長年チームを支えてきたスターリング・マルテをトレードで放出。攻撃力ダウンは避けられそうにない。

 昨季ナ・リーグワースト2位の防御率を記録した投手陣は、今年も苦しむことになりそうだ。昨季エースとしてフル稼働が期待されたクリス・アーチャーは、23試合に先発してわずか3勝。投打ともに苦しく、現状の戦力では負け越しを避けるのが精いっぱいだろう。


【まとめ】

 過去3年はいずれもカージナルス、ブリュワーズ、カブスの3チームが3位までを占めていたこの地区。今季はレッズの戦力アップが顕著なこともあり、“4強”になる可能性が高い。

 今年こそエースとしてのはたらきに期待がかかるダルビッシュに加え、日本人未踏の地だったシンシナティには秋山翔吾がやってきた。日本の野球ファンにとっても、楽しみな戦いとなりそうだ。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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