コラム

DeNAの連敗と、指揮官の迷走…?【白球つれづれ】

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開幕から苦しい投球が続くDeNA・山崎=横浜 (C) Kyodo News

白球つれづれ2020~第29回・ラミレス采配


 ハマの指揮官、A・ラミレス監督の采配を巡って批判が高まっている。

 地元に巨人を迎えた3連戦で3連敗。15日の中日戦から黒星地獄にはまり、ついに5連敗だ。長丁場のペナントレースにチームの好不調はつきもの、負け続ければ悪いところばかりに目は行きがちだが、この連敗を振り返るとラミレス監督の采配に疑問符がつけられるのも確かなことである。


采配に疑問の声が…


 巨人戦の初戦は雨模様の中で強行された。1点ビハインドの5回。一死一塁の場面で打者は投手の井納翔一、点差や空模様を考えれば誰もがバントを予想したがそのまま打たせて三振を喫してしまう。試合は6回終了時で降雨コールド負け。

 「(足の遅い)戸柱が走者。バントして併殺になる可能性を避けたかった」と指揮官は問題の場面を振り返ったが、逆に巨人の原辰徳監督は初回から主軸の坂本勇人、丸佳浩両選手に連続してバント指令を出している。「天気予報が良くないのはわかっていたからね」と敵将はしてやったり。“監督力の差”を指摘する声も上がった。

 第2戦ではエースの今永昇太投手を先発させて必勝を誓ったが、2回に3失点を喫すると次の回から主戦捕手の伊藤光をベンチに引っ込めた。翌日には選手登録を抹消して二軍落ち。その事情を「捕手別の防御率を見て決断した」と語る監督は「今永とのコンビネーションがあまり機能していなかった。試合前に練った戦略と違う方向に行っていた」とも説明する。

 いかにも「データ重視」のラミレス流とは言え、それまでチーム最多の13試合に先発マスクを任せてきたレギュラーへの扱いとしては冷淡過ぎないか。チーム戦略と違うリードというなら担当コーチも含めて話し合うなり、捕手のサインに首を振る投手側の責任もあるはず。そこまで信用できないならメジャーのようにベンチからサインを出すやり方だってある。


守護神降板の継投策も…


 そして19日の第3戦は守護神・山﨑康晃投手が逃げ込みに失敗して痛恨の逆転負けとなったが、多くの評論家も9回同点の場面で山﨑を降ろして国吉祐樹投手への継投策(結果は巨人・岡本和真選手に決勝2ランを被弾)を批判した。

 勝ち負け以前の問題として、同点にされてもまだ勝敗が決していない状況で絶対的な抑えのエースを引っ込めることはチームに動揺を与え、本人のプライドもズタズタになる。確かに今季の山崎はこの試合の前まででも防御率は4点台と本来の調子にない。それでも2年連続最多セーブを獲得して侍ジャパンの抑えのエースを任された男だ。

 元“ハマの大魔神”こと佐々木主浩氏は日刊スポーツの評論で「絶対にやってはいけないこと」と、ラミレス采配を厳しく指弾したほどだ。

 また、この試合でも1点リードの2回、一死一塁で投手の平良拳太郎に打席が回ってきた。連敗中なら、なおさら手堅くバント策かと思われたが、ここでも初戦同様に強行策に出て実らなかった。「ランエンドヒットを考えたが、平良がそのサインを知っているすどうかわからないのでそのまま打たせた」の説明は、いかにも苦しい。

 外国人監督が選手を呼び寄せて指示を出す場合、通訳を介するため時間がかかって審判から嫌がられる。担当コーチとのとっさの指示も同様の理由でうまくいかないケースも考えられる。だが、監督に就任して5年目、しかも相手もプロだ。伊藤への戦略理解、平良へのサイン判読能力に疑問を持つなら起用する監督にも問題がある。謎の采配が続くようだとチーム内に動揺が広がり、崩壊の危機まで招きかねない。


問われる指揮官の手腕


 開幕前、打倒巨人の一番手にDeNAを推す声は多かった。主砲の筒香嘉智選手が抜けたものの、4番に佐野恵太選手を抜擢、新外国人、T・オースティン選手の打撃も素晴らしい。投手陣も先発、中継ぎ、抑えとバランスのいい戦力が揃っている。だが、唯一の不安点は接戦の弱さ。12球団最少のチーム盗塁「4」という数字にそれが表れている。

 巨人が土壇場に増田大輝選手の盗塁で逆転勝ちにつなげたような機動力がない。そのうえ確実に得点機を作るような采配もなくては、不振の時に打開策が見いだせない。

 長いシーズンで監督の采配による勝ち負けは5~10試合と言われる。どんなに良い策を立てても実践するのは選手次第。しかし、選手に戦術を理解させて実践させるのが指導者の役割だ。開幕から1カ月。ほころびの見えたベイスターズをどう立て直していくかも、ラミレス監督の手腕にかかっている。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
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