コラム 2020.07.21. 07:09

見れたら超ラッキー「トリプルプレー」 なかでもレアな“歴史的三重殺”・3選

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最近では2018年に群馬で行われた西武-楽天戦でトリプルプレーがありました (C) Kyodo News

空前絶後“世紀のトリプルプレー”を知っているか?


 新型コロナウイルスの影響により、当初の予定より3カ月も遅れてスタートしたプロ野球の2020年シーズン。7月10日からは観客を動員した試合開催も解禁され、いまだ人数の制限こそあるものの、ファンが球場に足を運べる状況になった。

 とはいえ、球場で思い切り声を出したりすることは叶わず、プロ野球ファンにとって憂鬱な日々は続くが、こういう時期だからこそ、クスッと笑える企画をお届けしたい。

 今回取り上げるのは、一生に一度は現地で見てみたい?「トリプルプレー」にまつわるお話。『プロ野球B級ニュース事件簿』シリーズの著者であり、ライターの久保田龍雄氏に、過去にあった珍しい「トリプルプレー」のエピソードを振り返っていただいた。


まさかの「大どんでん返し」!


 「トリプルプレー」といえば、年に一度お目にかかれるかどうか…というレアな現象だが、ここで取り上げるのはその中でもさらに珍しいもの。プロ野球の長い歴史のなかでも、“たった一度だけ”という世紀の三重殺をご紹介したい。


 ひとつ目は、三重殺成立でスリーアウトチェンジ…と思いきや、実は“四重殺”だった、というまさかの大どんでん返し。これが起こったのは、1962年7月12日の東映-南海(大阪)だ。

 0-0の1回、南海は先頭の広瀬叔功が四球を選んだあと、送りバントの野選とバント安打で無死満塁のチャンス。ここで4番・野村克也は三ゴロに倒れたが、本封を狙った西園寺昭夫の送球がワンバウンドになり、捕手・安藤順三が落球する間に、広瀬が先制のホームを踏んだ。

 なおも無死満塁で、次打者・ハドリは右飛。三塁走者・大沢啓二がタッチアップから本塁を突いた直後、毒島章一の本塁返球を安藤が後逸してしまう。これを見た二塁走者・ピートは「しめた!」とばかりに本塁を狙ったが、どっこい、そうは問屋が卸さない。

 安藤の後方で待機していた投手の久保田治が難なくボールをグラブに収めると、ピートを余裕でタッチアウトに。さらに、二塁を回っていた一塁走者の野村も挟殺プレーでアウトになり、あっという間にスリーアウト。この回、南海は2点を挙げて攻撃終了…と思われた。

 ところが直後、西園寺が「大沢の離塁が早かった」とアピール。これで大沢もアウトになり、結果的に“フォーアウト”になったことから、最後にアウトを宣告された大沢がスリーアウト目に繰り上がる、という現象が起こった。

 大量得点していてもおかしくなかったのに、まさかの“四重殺”によって南海の初回の攻撃は1点止まり。このボーンヘッドが、試合の流れを変える。

 勢いづいた東映は2回に逆転。南海も4回に野村のソロで追いついたが、東映は6回、右前安打で出た張本勲が意表をつく二盗・三盗の連続盗塁を決め、岩下光一の中犠飛で生還。3-2で勝利を挙げた。

 試合後、南海の蔭山代理監督は「1回の三重殺が最後まで響いた。あれなら3点は取れるケースだった」とボヤきが止まらなかった。


たった一人でトリプルプレー


 NPBには、空前絶後の“たった一人でトリプルプレーを完成させた男”がいる。阪急の住友平だ。

 1967年7月30日の東京戦(東京)、そのダブルヘッダー第1試合。1点を追う東京は2回、先頭の前田益穂が二ゴロ失策で出塁したあと、篠原良昭が四球を選び、無死一・二塁のチャンス。

 次打者・大塚弥寿男は送りバント失敗のあと、カウント2ボール・2ストライクからエンドランを試みた。打球は二塁正面へのハーフライナーとなった。

 セカンドを守っていた住友平は、これをダイレクトキャッチしてまず一死。直後、すばやく二塁ベースを踏んで、飛び出していた前田をアウトにしてふたつ目のアウトを取ると、さらにスタートを切っていた一塁走者・篠原にもタッチ。なんと誰にもトスすることなく、たった一人で三重殺を完成させた。

 一打同点のチャンスが、一瞬にしてスリーアウトチェンジに…。東京ベンチは何が起こったのかわからず、呆然とするばかりだった。

 ちなみに、この打球を処理した住友と、“一人三重殺打”を放った大塚は、奇しくも1961年の夏の甲子園優勝校・浪商で同期のチームメートだった。


トリプルプレーでまさかの失点?


 トリプルプレーが成立したにもかかわらず、1点が入ってしまうという珍事が起きたのが、2015年3月8日のオープン戦・西武-オリックス(わかさ)だ。

 初回に4番・中村剛也の中越え2ランで先制した西武は、2回にも炭谷銀仁朗の適時打など、4安打を集中して4点を追加した。

 そして、問題のプレーは5回に起きた。この回も西武は渡辺直人や炭谷の連続適時打などで10-0と大きくリードを広げ、なおも無死満塁のチャンス。

 次打者の栗山巧は二ゴロに倒れ、これがヘルマンから原拓也に転送されてまず一死。さらに一塁走者・秋山翔吾も一・二塁間に挟まれ、セカンドカバーに入った安達了一がタッチして二死。

 そこから、この挟殺プレーの間に二塁走者・金子侑司が本塁突入を試みるも、安達から送球を受けた伊藤光が好ブロックでタッチアウト。あっという間にスリーアウトチェンジとなった。

 しかし、三塁走者・炭谷がすでに11点目のホームを踏んだあとだったので、トリプルプレーなのに得点が記録される珍事に。

 「あれはしょうがない。(オープン戦ではあっても)シーズン入ったらないよ」と、結果的に暴走となった拙攻に苦笑いの田辺徳雄監督だったが、「三重殺なのに得点」の珍事も、前出の大沢のアピールアウトで幻と消えているので、こちらも「シーズン入ったらないよ」である。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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