コラム

堂々の長打率リーグトップ!「バースの再来」はボーアではなくサンズ?

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本塁打を放つ阪神・サンズ=甲子園

完成形は「バース+マートン」?


 阪神・サンズのバットが止まらない。得点圏打率の高さで注目を集めているサンズだが、出塁率と長打率を足し合わせた数値であり、得点との相関関係が高いとされる指標・OPSにおいて、9月12日の試合終了時には一時リーグトップに立った。現在は村上宗隆(ヤクルト)にその座を譲っているものの、長打率に限れば.590という数字で堂々トップに立つ。

 一軍合流直後の数試合こそ無安打に終わった試合もあったが、即座にアジャストして徐々に調子を上げ、打率もついに3割に乗せた。また、内角の直球がウィークポイントとされてきたものの、9月11日の広島戦ではまさにその内角の直球を一二塁間に運ぶ先制適時打、9月13日の同カードでも中前打とするなど、それこそ「穴がない」状態になりつつある。

 現時点のサンズの成績は、打率.302、18本塁打、53打点、出塁率.398、長打率.590、OPS.989という堂々たるもの。今季開幕前に「バースの再来」といわれていたのはチームメートのボーアだが、どうやらサンズこそ「バースの再来」だったようだ。

 バースの来日1年目の成績は、420打席に立って打率.288、35本塁打、83打点、出塁率.360、長打率.612、OPS.971。現時点におけるサンズの本塁打と打点をバースが記録した420打席で換算すると28本塁打、85打点であり、打率や出塁率、OPSの他、打点でもバースをしのぐこととなる。また、バースが活躍した時代には甲子園にラッキーゾーンがあったことを考えれば、本塁打も遜色ないともいえそうだ。

 さらにいえば、先述したような「穴がない」打撃は、2010年から6シーズンにわたって同じく虎の助っ人として活躍したマートンをも思わせる。サンズの最終的な完成形は、「バース+マートン」とまでいうと少し大げさか? ただ、現在のサンズの活躍ぶりからは、そうなる可能性は十分ありそうな気もする。


韓国リーグ出身野手に再び注目が集まるか


 今季開幕前サンズは、「2019年韓国リーグ打点王」といううたい文句で期待されていたが、一方でその実力を疑問視する見方も少なくなかった。その根拠のほとんどは、近年の韓国リーグにおける強い「打高投低」傾向にある。

 そのため、「韓国リーグにおける打撃成績はあてにならない」とされ、韓国リーグでどれだけ目立った数字を残した選手であっても「日本での活躍は難しいだろう」というのが、近年の韓国リーグ出身野手に対する大半の見方だった。記憶に新しいところだと、2018年に阪神入りしたロサリオがそういった選手にあてはまる。

 しかし、昨季の韓国リーグは、その打高投低傾向を解消しようと、反発係数の低いいわゆる「飛ばないボール」を採用した。それにより、直球での真っ向勝負が中心だった韓国リーグの投手たちの投球スタイルは一変し、小さく動かす変化球でバットの芯を外して打ち取るケースが増加。結果、リーグ全体の打撃成績は大きく落ちた。

 リーグ平均打率でいえば、2018年の「.286」から昨季は「.267」と2分近くも落ちている。当然、平均防御率も改善。2018年にはなんと5点台の「5.20」だったが、昨季は「4.18」と大幅に改善された。

 サンズの場合、そのなかでしっかり結果を出していたこととなる。もちろん、ここまでの活躍は予想以上だったとしても、サンズが日本でもある程度の活躍を見せることは必然だったのかもしれない。そしてサンズの活躍により、韓国リーグ出身の打者にも再び注目が集まることにもなりそうだ。

※数字は9月13日終了時点


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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