目下のところ13ゲーム差!
今シーズン、とにかく強いのが巨人だ。
坂本勇人や丸佳浩の不調、菅野智之以外の先発陣が固まらないなど課題は多かったが、補強や新戦力の台頭で見事にカバー。9月はわずか5敗と他を圧倒する強さを見せ、早々にマジックも点灯、現在2位に13ゲーム差(10月8日終了時点)と大幅なリードを築いている。
そこで気になったのが「ゲーム差」だ。このままいくと、その差はさらに広がる可能性も十分にありそう。そこで、過去に巨人が優勝した年を振り返り、2位のチームと最も大きな差をつけたのはいつだったのか? そのゲーム差は? 巨人の過去最大リードでの優勝を調べてみた。
最大差は藤田監督時代の1990年
巨人は、プロ野球が始まった1936年から現在までに12球団最多の46度、2リーグ制となった1950年以降でも37度のリーグ優勝を果たしている。今回は、2リーグ制以降に成し遂げた37回のリーグ優勝時における「2位とのゲーム差」を調べてみた――。
1950年以降、全36回のリーグ優勝の中で、2位チームとの差が最も大きかったのは1990年。なんと「22ゲーム」もの大差で優勝を成し遂げている。藤田元司率いる巨人は、原辰徳、ウォーレン・クロマティを中心とする打線と、斎藤雅樹を中心とする投手陣の両方が好結果を残し、88勝42敗と圧倒的な数字でリーグを制覇した。
2位の広島はなんとか貯金2でシーズンを終えたが、3位以下は全て借金あり。特に巨人は阪神相手に強く、20勝6敗と完膚なきまで叩きのめした。この年は4月7日に開幕したが、9月8日にはリーグ優勝が決定。日付ベースでは歴代最速で、残り試合数は「16」の歴代2位だった(※1位は1965年の南海で「19」試合を残しての優勝)。
1990年に次ぐ大差だったのが1951年。1990年には劣るが、「18ゲーム」もの大差をつけて優勝している。2リーグ制元年の1950を3位で終えた巨人は、この年は打線・投手陣ともに奮起。川上哲治、青田昇を軸とする攻撃陣がリーグトップとなるチーム打率.290を記録し、投手では別所毅彦、松田清が共に20勝以上と圧巻の活躍を見せた。この年に記録した勝率は驚異の「.731」で、これは1990年を上回る巨人史上最高勝率となっている。
0.5ゲーム差の僅差優勝も
反対に「2位との差がわずかだった年」も調べてみたところ、1973年の0.5ゲーム差が歴代最小差だった。
川上哲治監督率いる巨人は、この年までリーグを8年連続で優勝しており、この年も優勝すれば前人未到の9連覇となる正念場。しかし、投手陣の不調と打線の低迷により前年までの強さを発揮できず、苦しい戦いを強いられた。後半戦、なんとか復調した巨人は、優勝が懸かる阪神との最終戦で見事に勝利。0.5ゲーム差という僅差で、リーグ9連覇という偉業を成し遂げた。
一方で、巨人は「ゲーム差なし」で2度もリーグ優勝を逃している。
まずは0.5ゲーム差でリーグ9連覇を果たした翌年の1974年。この年も前半は調子が上がらず大きく出遅れたが、8月にようやく復調して首位に立ち、終盤まで中日と激しい優勝争いを展開。しかし、前半戦の不調が響き、首位中日に勝率で「.001」届かず。僅差でリーグ10連覇を逃した。
また、1986年もゲーム差なし、勝率わずか「.003」の差でリーグ優勝を逃した。この年は巨人と広島の2チームが好調で、両者の激しい優勝争いが終盤まで繰り広げられた。しかし、シーズン終盤、残り2試合の大事な局面で巨人が黒星を喫し、これが原因でわずかに届かず、リーグ優勝を逃すこととなった。
原政権で見てみると……
原監督は今年で監督通算14シーズン目となる。そこで「原政権下」での最大リードでの優勝、僅差での優勝も調べてみた。
原監督はこれまでに8度のリーグ優勝を経験しており、その中で2位に最も大きな差をつけたのが2013年。2位の阪神とは「12.5ゲーム」差だった。この年は特に終盤での強さが目立ち、8月は何度も連勝を記録。これが大差につながった。
2位との差が最も小さかったのは2007年。この年の巨人は序盤から好調でリーグ首位を快走していたが、夏前に突如失速して首位陥落。その後は中日、阪神と激しい優勝争いを繰り広げた。最終的に中日との一騎打ちとなり、直接対決を制した巨人が「1.5ゲーム」差で辛くも優勝している。
今シーズンは、現時点(10月7日終了時点)で2位に「13ゲーム」差と大きなリードを築いている巨人。原政権下での最大ゲーム差を更新する可能性も十分に考えられる数字だ。今季のセ・リーグはCSもなく、他球団のファンにとっては面白くないかもしれないが、今季の巨人がどこまで差を広げるのかという部分も興味深いところではある。
文=中田ボンベ@dcp