15試合連続安打! 小深田が急速にプロの投球に適応中
森下暢仁(広島)と戸郷翔征(巨人)の一騎打ちとして注目されていたセ・リーグの新人王争いでは、森下がほぼ「当確」と見ていいだろう。10月24日のDeNA戦に先発した森下は、9回1失点(自責0)でプロ2度目の完投勝利をマークした。
戸郷の8勝を上回る9勝目を挙げ、勝ち星を含めた多くの指標で戸郷を上回ることになった他、規定投球回にも到達し、防御率ランキングでは菅野智之(巨人)をかわしてリーグ2位に躍り出た。新人王選出の投票資格を持つ記者にも大きなインパクトを与えたはずだ。
一方、パ・リーグの新人王は、小深田大翔(楽天)と平良海馬(西武)の争いが続く。現時点でのふたりの成績は以下の通り。
▼ 小深田大翔(楽天)
101試合:打率.291(337打数98安打) 2本塁打 27打点 16盗塁
▼ 平良海馬(西武)
47試合:45回1/3 1勝0敗27ホールド1セーブ 52奪三振 防御率1.59 被打率.113
開幕前の小深田に対する主な評価は、守備力に秀でた内野手というものだった。しかし、シーズンが進むにつれて注目を集めるようになったのは、その打撃だ。今季開幕直後の6月こそ打率.167と苦戦したものの、7月以降の月間打率は順に「.245」「.281」「.320」「.315」。プロの投球に対して短期間で急激に適応中といったところか。
10月25日の日本ハム戦でも2安打2打点をマークした小深田は、現在15試合連続安打中。打率.291はリーグ6位だ。加えてリーグ7位の16盗塁を記録するなど足もあり、チームに欠かせない切り込み隊長として、現時点における「1番・遊撃」の座を完全なものとしている。
「実質ノーヒットノーラン」男・平良は19試合連続無失点
一方の平良は、開幕から10試合9回2/3にわたって無安打投球を続けたことが「実質ノーヒットノーラン」として話題になるなど、開幕直後から注目を集めた。ただ、8月に入ると失点する場面も見られるようになり、シーズンを通して一線で活躍したことがない経験不足や疲労の影響を心配する声もあがった。
それでも9月に入ると再び盛り返し、9月2日のロッテ戦を最後に失点はなく、19試合連続で無失点投球を続けている。現在の27ホールドは、モイネロ(ソフトバンク)の36ホールドに次ぐリーグ2位の数字。そのモイネロをしのぐ防御率1.59は、2桁ホールドを挙げている18人の投手のなかで3位、被打率.113は堂々トップと、威力抜群の直球を武器に安定感のある投球を披露している。
小深田、平良ともに、新人王有資格者のなかではもちろん、リーグ全体のなかでも優秀な数字を残しており、どちらに軍配が上がるかはまったくわからない。それこそ、限られた残り試合のなかでどれだけインパクトを残せるかにかかっているといっていいだろう。
投手同士であり共通の指標で比較できるセ・リーグのふたりと違い、小深田と平良によるパ・リーグの新人王争いは、クライマックスを迎えようとしている。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)