現役で今季に臨んだ「松坂世代」以上の選手は計12人
今オフ、最大の注目を集めたのが新庄剛志(元阪神他)の現役復帰挑戦ではないだろうか。
12月7日に行われたNPB12球団合同トライアウトに参加した新庄は、最終第4打席に左前適時打をマークし存在感を見せた。しかし、12月13日、この日までにオファーはなく現役復帰を断念したことを自身のSNSで明かしている。
2006年に現役を退いた新庄は現在48歳。その新庄の年齢には及ばないものの、「アラフォー」で今季に臨んだ選手は少なくない。ベテランであるがゆえ、彼らのなかには今季限りでユニフォームを脱ぐ決断を下した選手もいる。ここで、2021年4月1日までに40歳の大台に乗る、いわゆる「松坂世代」以上の選手たちの去就をまとめてみた。
▼ ベテラン選手去就一覧(※年俸は推定)
・福留孝介(神/43歳)=阪神を自由契約となり、年俸3000万円で14年ぶりに古巣・中日へ復帰
・山井大介(中/42歳)=野球協約の減俸制限を超える40%ダウンの年俸2790万円で契約更改
・能見篤史(神/41歳)=阪神を自由契約となり、投手コーチ兼任でオリックス入り。年俸3500万円
・五十嵐亮太(ヤ/41歳)=現役引退
・石原慶幸(広/41歳)=現役を引退し、広島テレビ専属野球解説者に就任
・細川 亨(ロ/40歳)=現役を引退し、熊本県初の独立プロ野球球団・火の国サラマンダーズの監督に就任
・石川雅規(ヤ/40歳)=現役続行
・久保裕也(楽/40歳)=現役を引退し、楽天二軍投手コーチに就任
・藤川球児(神/40歳)=現役を引退し、阪神スペシャルアシスタント(SA)に就任
・松坂大輔(西/40歳)=来季の契約に合意し、年内に正式契約の見込み
・渡辺直人(楽/40歳)=現役を引退し、2020年に選手兼任で就任した楽天一軍打撃コーチを続投
・和田 毅(ソ/39歳)=現役続行
該当するのは12人。そのうち半数にあたる、五十嵐亮太(ヤクルト)、石原慶幸(広島)、細川亨(ロッテ)、久保裕也(楽天)、藤川球児(阪神)、渡辺直人(楽天)の6人が今季限りで現役を退くこととなった。
その一方で、最年長ランキングのトップスリーである福留孝介(阪神→中日)、山井大介(中日)、能見篤史(阪神→オリックス)の他、石川雅規(ヤクルト)、松坂大輔(西武)、和田毅(ソフトバンク)の6人は現役を続ける。
縦じまラスト登板で能見が見せた「まだやれる!」という気概
とはいえ、やはり年齢的な衰えもあり、彼らのなかにも今季は苦しいシーズンを送った選手も多い。球界最年長の福留は、シーズン序盤から調子が上向かず、シーズン途中から代打中心の起用となった。その代打でも19打数2安打と厳しい結果に終わり、今季は自身のNPBにおけるキャリアで最少の43試合92打席の出場にとどまった。
また、その福留と、来季から2007年以来にチームメートとなるのが球界最年長投手・山井だ。2014年には最多勝と最高勝率の個人タイトルを獲得した右腕も42歳。今季はわずか6試合8投球回の登板にとどまり、防御率も9.00と結果を残せずに終わった。
対照的に、シーズンの最後の最後に来季に向けての期待を感じさせたのが能見だ。阪神の今季最終戦となった11月11日のDeNA戦、9回のマウンドに登った能見は、2018年の中継ぎ転向以降封印していたワインドアップを解禁。自身の代名詞である美しいフォームから148キロの直球を連発し、最後も高めの148キロ直球で柴田竜拓(DeNA)を空振り三振に斬って取った。
能見の今季の成績は34試合(24回2/3)で防御率4.74という成績だったが、縦じま最後の登板で見せた力強い投球は、「まだまだやれるぞ!」という気概のようなものを感じさせるものであった。来季は、能見の他、彼ら実績あるベテランたちには「さすが!」と思わせる輝きをもう一度放ってもらいたい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)