華々しいデビューも…
コロナ禍で開催された今季のメジャーリーグ。日本人選手で唯一ワールドシリーズに出場したのが、タンパベイ・レイズの筒香嘉智だった。
渡米1年目ながら、開幕戦は「3番・三塁」でスタメン出場。3打席目にはメジャー初本塁打を放つ華々しいデビューを飾ったが、その後は打率2割前後を行ったり来たり。結局、51試合の出場で打率は.197、8本塁打に24打点という成績で、レギュラーシーズンを終えた。
ポストシーズンも、スタメンのチャンスは与えられながら、凡退を繰り返すシーンが目立つ。最終的に、ドジャースとのワールドシリーズでは代打として3度起用されただけ。筒香のバットから快音は聞かれないまま、チームも2勝4敗で敗退となった。
2年目の飛躍に向けたキーポイント
1年目で浮き彫りとなった課題の一つが、メジャー投手の速球に対応できなかったことだ。
様々な指標を提供しているMLBの公式データサイト『Baseball Savant』によると、筒香のファストボール系(ツーシーム・フォーシーム・カットボール・シンカー)の投球に対する打率は.157(89打数14安打)。これは同条件で100回以上打席に立った172選手中ワースト2位だった。
相手投手のタイプ別の成績を見ても、奪三振・与四球ともに多い「本格派」投手には、打率.042(24打数1安打)と全く打つことができず。かといって奪三振・与四球ともに少ない「技巧派」投手に対しても打率.156(77打数12安打)という低い数字が残っている。ちなみに、どちらにも当てはまらない「平均的」な投手に対しては、打率.321(56打数18安打)という高打率を残した。
打率1割台でシーズンを終えた一つの要因には、運の悪さもあった。
本塁打を除くインプレー打球のうち安打となった割合を表す「BABIP」という指標がある。筒香のそれは.230で、メジャー平均の.292を大きく下回った。
ただし、BABIPが低かったのにも理由がある。それがメジャー特有の守備シフトだ。メジャー1年目でデータ量も少ないはずの筒香に対し、ライバル球団はほとんどの打席でシフトを敷いてきた。
結果、守備シフトが敷かれた時の打率は.203(74打数15安打)。シフトがなければ、打率.320(25打数8安打)だっただけに、2年目は相手に術中にはまらないための“工夫”は必要不可欠となりそうだ。
今季は異例の短縮シーズンとなったが、1年目からメジャーのポストシーズンを経験できたことは、筒香の今後の野球人生において大きな糧となるだろう。
2年目は「メジャー投手の速球」と「守備シフト」に対する力が、飛躍への大きなカギとなるだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)
筒香嘉智
ポジション:外野手投打:右投左打
生年月日:1991年11月26日(29歳)
身長・体重:185センチ・102キロ
出身地:和歌山県
<今季成績>
出場:51試合
打率:.197(157-31)
出塁率:.314
長打率:.395
OPS:.708
本塁打:8本
打点:24点
得点:27点
盗塁:0個