『B魂』第11回・紅林弘太郎
昨年のドラフトでオリックスから2位指名を受けた紅林弘太郎は2020年、高卒1年目ながら二軍で全試合に出場した。
そして迎えたシーズン最終盤に一軍昇格を果たし、11月3日の楽天戦に「8番・遊撃」でスタメン出場し初ヒットを記録。本拠地最終戦となった同6日の日本ハム戦では、同期のドラ1・宮城大弥投手に初勝利をプレゼントする初適時打も放った。
二軍監督としてキャンプから紅林を見ていた中嶋聡監督代行(現監督)は「線は細かったんですけど、柔らかさ、強さというか、しなやかさが凄くある選手で、これで体に芯が出来たら面白い選手になると思った」と、186センチという恵まれた体躯と、その潜在能力を高く評価。その一方で、「あそこまで早く大きくなるとは思わなかった。そんなに早くデビューするべきなのか」という迷いがあったことを明かした。
それでも「(二軍で)全試合に出たということは、ある程度体の強さが出来てきたのと、これからどういう行動をするべきかを自分で理解して欲しいと思ったので、その点では使えて良かった」と、最後に一軍に上げた意図を明かし、対する紅林も「二軍では毎試合出て、当時の中嶋二軍監督には『毎試合出られる体力をつけろ』と。結果はそれからだと言われた。いろいろ気にかけてもらっていたので、恩返しじゃないですけど、1本出て良かった」と、我慢強く起用し続けてくれた首脳陣への感謝を口にした。
契約更改では「一軍でプロ初ヒットを打つことができ、とてもいい経験をさせていただきました。ただ、シーズン途中では疲れなどで自分のスイングができなかった時期もあり課題を感じることもありました。このオフは1年間しっかり戦い抜ける体づくりをテーマに舞洲でみっちりトレーニングしていきたい。来季は開幕一軍を目指して、ショートのポジションを勝ちとれるように頑張っていきます」と、明確な目標を掲げた。
牧田勝吾編成部副部長が「最近の高校生は早い」と驚いたように、紅林以外にも、太田椋や宜保翔らが高卒1年目から存在感を示している。球団が売り出している「最強世代」の競争は、オリックスというチームが中長期的に強くなるためにポイントになってくるはずだ。
文=どら増田