コラム

まだ見ぬ「頂点」を目指して…年々強くなる想いを胸に、阪神・岩崎優は挑み続ける

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[写真提供=チャリコ遠藤]

「目指すところは優勝しかない」


 “日本一”を背に腕をしならせた。富士山を望む「三保の松原」近くにある野球場。阪神タイガースの岩崎優は、年末から故郷・静岡で汗を流す。

 同郷の後輩である高橋遥人と行う、恒例の合同自主トレ。マウンドでは見せない笑顔も垣間見える。春季キャンプ、シーズンへ向けて力を蓄える期間。コロナ禍での異例の一年を終え、束の間の休息だった。


 ただ、質問を投げかければ表情に力が入る。

 2017年・2018年と60試合登板を果たし、2019年から昨年までは2年連続で防御率1点台を記録。ブルペンの“コア”を担う左腕は目標を問われると「優勝。日本一」と短く答えた。

 これまでの7年間で一度もリーグ優勝の経験はない。一方で頂点への餓えは増幅してきた。

 「一軍で投げさせてもらってる以上、目指すところは優勝しかないですし、どれだけそこに貢献できるか。年々、その思いは強くなってるのは確かですね」


 「てっぺん」を目指すことにピッタリと重なるのが、打倒・巨人への思い。2年連続でリーグ優勝を果たした宿敵を打ち負かさないことには、道は開けない。

 岩崎自身も、チームが9年連続で“伝統の一戦”に負け越している事実に「ずっと負け越していて、悔しくないわけがない」と静かに闘志を燃やす。


目指すところは「ゼロ」


 あの“痛打”も忘れない。昨年6月19日の開幕戦で、吉川尚輝に内角直球を右翼スタンドへ運ばれる逆転2ランを被弾。

 「(周囲に)あそこで勝っていたら優勝していたみたいな感じで言われるんで。でも、そういう悔しさで1年やれたんで。来年以降、忘れることはないですし、しっかりやり返したい」とモチベーションに転換し、悔しさをぶつける。


 昨年、25セーブを挙げてタイトルを獲得した守護神のロベルト・スアレスの残留が決まり、今季はセットアッパーとして「8回の男」を任されることが濃厚だ。

 「現状維持ではダメなんで。良化できる数字は伸ばしたいし、向上心を持って投げていきたいです」

 キャリア初の防御率0点台に被弾0、そして救援失敗0という究極の目標を掲げて8年目に臨む。 


 準備も万端。オフは走り込みに時間を費やし、年明けから本格的なスローイングも再開している。

 キャッチボールのパートナーを務め、次代のエースと期待される高橋も「この人(岩崎)のボールが一番エグいですからね。すごいボール」とうなった。

 本人も「良い意味で例年通りの調整ができていますかね。開幕に最高の状態を持っていけるようにしっかりやっていきます」と今後を見据えた。


 藤川球児・能見篤史・福留孝介とベテランが去ったことで、チームの中心を担うのは、今年30歳を迎える虎のゴールデンエイジ。

 梅野隆太郎・岩貞祐太・秋山拓巳らとともに、新背番号13で挑む岩崎優もその一人に他ならない。


文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)
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