2002年のスプリングトレーニングで談笑するイチローとバリ・ボンズ

◆ 圧巻のイチロー&ボンズ

 昨年のメジャーリーグはコロナ禍のなか、通常より100試合以上少ない1チームあたり60試合開催という異例の短縮シーズンを送った。そのため、安打や本塁打、勝利やセーブといった、いわゆる“積み上げ系”のシーズン記録は伸びなかったが、打率や防御率などのいわゆる“率系”の成績には、積み上げ系ほど大きな影響は表れなかった。

 そこで、2001年以降の過去20年で、最も高いシーズン“〇〇率”を残した選手をランキング形式で振り返っていきたい。ここまで各部門で21世紀最高のパフォーマンスを披露したのは誰だったのだろうか。まずは打者から……。

▼ 打率
1位 .372 イチロー(2004年)
2位 .370 B.ボンズ(2002年)
3位 .365 J.マウアー(2009年)

 メジャーリーグでは、1941年のテッド・ウィリアムズを最後に4割打者は誕生していない。2001年以降、最も近づいたのが2004年のイチローだった。この年のイチローはシーズン最多の262安打を放ち注目を浴びたが、打率も21世紀最高の「.372」をマークしていた。

 ただ、この年のイチローは開幕から安打を量産していたわけではない。4月末時点の打率は「.255」。5月以降は一転、右に左に快打を連発。5月から閉幕までの約5カ月間の打率は「.392」と、4割に迫るものだった。過去20年で「.370」以上の高打率を残したのは04年イチローと02年のバリー・ボンズの2人だけ。3位のジョー・マウアー(09年)は捕手ながら「.365」を記録している。

▼ 出塁率
1位 .609 B.ボンズ(2004年)
2位 .582 B.ボンズ(2002年)
3位 .529 B.ボンズ(2003年)

 続いて、出塁率はボンズが上位を独占した。そのすべてが驚異の5割超えで、特に04年には6割を超えていた。この年は四球が232個を数え、このうち120個が敬遠によるものだった。

 ちなみに4位もボンズで、01年に「.515」をマークしている。21世紀で、出塁率5割を超えた選手はボンズだけ。5位は昨年にフアン・ソトがマークした「.490」だった。

▼ 長打率
1位 .863 B.ボンズ(2001年)
2位 .812 B.ボンズ(2004年)
3位 .799 B.ボンズ(2002年)

 長打率部門もボンズが上位を独占。最も高かったのは01年の「.863」。この年のボンズはシーズン最多の73本塁打をマークし、二塁打が32本、三塁打も2本放った。この時のボンズは37歳。薬物疑惑があったものの、40歳を前に凄まじい打撃を見せていた。

 出塁率に続いて長打率でもボンズが4位までを牛耳り、5位が「.737」をマークした01年のサミー・ソーサ。6位が20年のソトで「.695」だった。短縮シーズンだったとはいえ、2部門で上位に入ったソトの今後の活躍にも期待したいところだ。

▼ 盗塁成功率(※40盗塁以上/20年は15盗塁以上)
1位 95.7%(45/47) イチロー(2006年)
2位 94.0%(47/50) J.ロリンズ(2008年)
3位 93.3%(42/45) C.ベルトラン(2004年)

 最後は走力にも焦点を当てたい。取り上げるのは盗塁成功率だ。19年まではシーズン40盗塁以上、短縮シーズンの20年は15盗塁以上記録した選手を対象とした。

 40盗塁以上して、失敗ゼロでシーズンを終えた選手は過去20年で一人もいなかったが、それに最も近かったのは06年のイチローだ。45回の盗塁成功に対して、失敗は2回だけ。その2回はともに4月(13日、19日)に記録していた。4月20日以降は、一度も刺されることなくシーズンを終えている。

 以上、4部門のトップ3を発表したが、トップはすべて2001~09年に記録されていた。最初の10年はメジャー全体が打者優位だったことを示している。そんな中でも、2つの項目で1位を獲得したイチローはまさにレジェンドと呼べる存在だったと言えるだろう。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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