第10回:レギュラー獲り目指す4年目野手
ヤクルトの一軍キャンプは、今年も沖縄・浦添の地でスタートする。2年連続最下位からの浮上を目指し、レギュラー獲りを狙う野手や先発ローテ入りを目指す投手陣らが競争を繰り広げる。
4年目のシーズンに挑む宮本丈にとっては、さらなる飛躍を目指して臨むキャンプとなる。17年ドラフト6位で入団した宮本は、「入団した時の目標が1年間一軍の戦力になることだったので、3年目でようやく達成できた」と、昨季ひとつの目標を達成した。
昨季、1年間フルに一軍に帯同した25歳は、94試合に出場して打率.274、2本塁打、12打点という成績を収めた。レギュラーを獲得してもおかしくないほどの巧みなバッティング技術を見せ、代打での出塁率は.375をマーク。勝負強さも発揮した。
「バッティングは成長したところをアピールできたと思うが、守備面でまだまだ課題があるので、もっと良くしていきたい」
内外野で複数のポジションを守れるのが魅力だが、定位置は確保できていない。自身の課題に真摯に向き合い、キャンプでは多くのライバルとの戦いが待ち受ける。
一軍キャンプには、ドラフト4位の元山飛優(東北福祉大)や同5位の並木秀尊(独協大)もメンバーに選出された。昨季のライバルたちや2人の新外国人野手に加え、ルーキーたちとの競争にも勝たなければいけない。
昨年の成績を「絶対に超える」と宣言している宮本にとって、キャンプ中に行われる練習試合では複数の打順やポジションで自らをアピールしていきたいところだ。
どんな打順にも適応しようとする姿勢
昨季45試合で二塁のポジションに就いた宮本だが、そこには大きな壁が立ちはだかる。山田哲人の存在だ。昨オフにFA権を行使せず残留を決め、7年の大型契約を結んだヤクルトの新キャプテンは、宮本にとって最大のライバルでもある。
「チームにとってはすごく痛いことだと思うんですけど、自分にとってはチャンス」と、山田が上半身のコンディション不良で離脱していた昨季の夏場に、宮本はしっかり結果を残している。7月28日の阪神戦(神宮)でプロ1号となる3ランを放つと、8月7日のDeNA戦(神宮)では4打数2安打3打点と活躍した。
「山田さんの穴を埋めるのは厳しいかもしれないですけど、勝利に貢献できるようにという気持ちでやっています」と謙遜したが、その心は熱く燃えていたはずだ。
スタメン起用された際は2番や6番、7番などを任せられたが、打順へのこだわりについてはこう話している。
「その日その日の打順で役割があると思う。前後にいいバッターがいるので、できるだけいい形で回そうという思いでやっています」
チームは昨季、4番の村上宗隆以外は打順を固定することができなかった。そんな苦しい状況の中、チーム事情に合わせて自分の役割に徹してきた。どんな打順にも適応しようとする柔軟な姿勢が、昨季の一軍定着につながったといっていい。
バイプレーヤーとしての存在感が光る宮本だが、今季はレギュラーとしてヤクルト打線に欠かせないピースになるべく、結果を残す。
シーズン中も熱心にバットを振り続けて練習に打ち込んでいる背番号「39」。今キャンプでもその姿がきっと見られるに違いない。
文=別府勉(べっぷ・つとむ)