筒香に続いたのは…?
あれは今から4年前の2017年3月…。このサイトで『筒香に続け!次代の和製大砲候補5選』という記事を掲載した。
当時を振り返ってみると、セ・リーグでは2009年から2014年までは外国人選手が本塁打王のタイトルを獲得していたように、なかなか“和製大砲”の出現がなかった時期…。そんな中、2015年にヤクルトの山田哲人が助っ人による本塁打王の独占に終止符を打ち、2016年にはいわゆる“和製大砲”タイプの筒香嘉智が44本塁打を放って堂々のキングに。光明が差してきたタイミングで、筒香に続く大砲候補を探してみよう、というのがその記事の内容だった。
あれから4年…。あの時、大砲候補として選んだ当時25歳以下だった5人はその後、どのような活躍を見せたのか。振り返っていきたい。
見事ブレイクを果たした2人
最初に名前を挙げたのは、当時高卒3年目の岡本和真(巨人)だった。
プロ入り後は2シーズン合計で1本塁打。さらに3年目の2017年も本塁打ゼロに終わり、その打力には疑問符が投げかけられていた。
それでも、プロ4年目の2018年にオープン戦で結果を残すと、一気にレギュラーの座をゲット。33本塁打を放つ大暴れを見せ、その後は3年連続で30本塁打以上をマーク。昨年は初の本塁打王にも輝いている。
もともとドラフト1位指名された逸材だったが、苦難の日々を乗り越えて、今では球界屈指の和製大砲に成長。球団では王貞治氏以来(1976~77年)となる2年連続本塁打王にも期待がかかる。
岡本に次いで大砲候補に挙げたのが、吉田正尚(オリックス)だった。
当時はルーキーイヤーを終え、プロ入り2年目を迎える直前。1年目は故障に苦しみながらも2ケタ・10本塁打を放っており、万全の状態なら2年目の飛躍も…と期待されていたが、2017年も度重なる故障に苦しみ、12本塁打にとどまった。
しかし、翌年からは3年連続で全試合に出場。本塁打数は「26」→「29」→「14」と推移している。昨年は本塁打に関しては数字を落としているものの、打率.350で初の首位打者に。143試合フルで開催されれば、3割・30本塁打というところも視界に入ってくることだろう。
残りの3人は…
3人目には、当時25歳の原口文仁(阪神)を挙げていた。
一時は育成契約も味わった苦労人だが、2016年には107試合の出場で11本塁打を放つ活躍。中軸打者として期待されたが、2017年からの4年間では合計12本塁打にとどまった。
その間、2019年には大腸がんを患ったが、公表から約4カ月で一軍に復帰。和製大砲という目論見は外れたが、不屈の闘志で這い上がり、現在では代打の切り札としてチームに欠かせない存在となっている。
4人目は、“おにぎりくん”こと横尾俊建(日本ハム)。
2016年は一軍で17打数の0本塁打と結果を残せなかったが、二軍では15本塁打とパワフルな打撃を見せていただけに、期待を込めての選出。すると、2017年は一軍で50試合に出場し、7本塁打を放ってブレイク。翌年にも9本塁打を放ち、レギュラー獲得も視野に入れていた。
ところが、2019年以降は2年間で合計5本塁打と期待に応えられていない。27歳で迎える今季は勝負の年となりそうだ。
最後の5人目、未知の魅力を秘めた大砲候補として挙げていたのが白根尚貴(当時・DeNA)だった。
高校時代は投手としての活躍が目立ったが、プロでは野手として勝負。恵まれた体格を生かし、2016年にはイースタン・リーグで10本塁打を放っていた。
しかし、2017年には一軍でも本塁打を放ったが、結局、この1本がキャリア唯一の本塁打となってしまう。2018年は一軍での出場機会がないまま、オフに戦力外通告。現役を引退した。
4年前に名前を挙げた5人の中で、現在レギュラーとして活躍中なのは岡本と吉田の2人。ただでさえ育ち難いといわれる“和製大砲”だけに、予想も難解だった。
文=八木遊(やぎ・ゆう)