コラム 2021.02.04. 07:09

無念の落選…センバツ出場は叶わずも、プロが注目する「ドラフト候補」たち

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旭川実・田中楓基選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

旭川実のエース・田中楓基が筆頭格


 1月29日(金)に出場32校が決定した今年の選抜高校野球。ドラフト候補となると、投手では小園健太(市立和歌山)、畔柳亨丞(中京大中京)、松浦慶斗と関戸康介(ともに大阪桐蔭)ら。野手では高木翔斗(県岐阜商・捕手)、松川虎生(市立和歌山・捕手)、前川右京(智弁学園・外野手)、池田陵真(大阪桐蔭・外野手)といったところが特に高い注目を集めることが予想される。

 しかし、その一方で、あと一歩のところで選抜出場を逃したチームの中にも、面白い選手は少なくない。そこで今回は、今後の活躍にエールを送る意味も込めて、この春は甲子園への切符を逃したものの、プロ球団から注目を集めている選手を紹介したい。


 投手でまず筆頭格と言えるのが、北海道の補欠校となった旭川実のエース・田中楓基だ。

 秋の北海道大会決勝では、センバツ出場チームの中でも屈指のサウスポーと名高い木村大成(北海)との投手戦に敗れたものの、8回に浴びたソロホームランの1点のみに抑える見事なピッチングを見せている。

 体つきはまだ細く、下半身の強さや粘りには物足りなさが残るものの、フォームに大きな欠点がなく、シャープな腕の振りには高い将来性を感じる。

 ストレートはコンスタントに140キロを超え、昨年夏の時点で既に最速147キロをマークしている。しっかり腕を振って投げられるスライダーやチェンジアップも高校生では十分に高いレベルのボールだ。

 体ができて、もう少しゆったりと下半身を使って投げられるようになれば、150キロを超えてくる可能性は高いだろう。春以降の投球次第では、ドラフトの上位候補に浮上してくることも十分に考えられる。


花巻東・菱川は東北屈指の実力者


 東北地区で補欠校となった花巻東の菱川一輝も、東北屈指の好投手だ。

 秋の東北大会では3試合に登板し、準決勝では優勝した仙台育英に0-1で敗れたものの、9回を自責点0で投げ切っている。

 173センチと投手としては小柄だが、下半身の安定したバランスの良いフォームで楽に腕を振ることができ、コーナーにしっかり投げ分ける投球は安定感抜群。長いイニングを投げる時は130キロ台中盤程度だが、リリーフでは140キロ台中盤のスピードもマークしており、出力の高さも備えている。大きなカーブで緩急をつけられるのも長所だ。

 また、打ってもクリーンアップを任され、打者としての能力も高い。昨年秋の時点では高校から直接プロという印象は受けなかったが、大学や社会人に進んだとしても、追い続けたい選手であることは間違いない。


二松学舎大付のエース・秋山は注目の左腕


 投手でもう一人面白いのが、東京の補欠校となった二松学舎大付のエース左腕・秋山正雲だ。

 右足を上げた時に軸足のかかとをヒールアップさせるフォームが特徴的で、姿勢良く腕が振れるため、170センチという上背以上にボールの角度がある。

 直球の球速はアベレージで130キロ台中盤だが、ここ一番でギアを上げると140キロ台もマークできる。内角を強気に攻めた後に、上手く緩いボールで打者の体勢を崩せる投球術も見事だ。

 秋の東京大会は準決勝で惜しくも敗れたが、5試合を一人で投げ抜き、38回で47奪三振という結果を残した。一冬越えてスピードが出てくれば、貴重な左腕だけに注目度はさらに高まるだろう。


野手は岐阜第一・阪口と智弁和歌山・徳丸に注目


 野手では阪口樂(岐阜第一/投手兼一塁手)と徳丸天晴(智弁和歌山/外野手)の2人が双璧だ。

 阪口については個別のコラムでも取り上げるので、ここでの詳述は避けるが、昨年夏の岐阜県独自大会では加藤翼(帝京大可児→中日5位)の149キロを軽々とライト中段へ運んでおり、柔らかさと強さを兼ね備えたスイングは大谷翔平(エンゼルス)を彷彿とさせるものがある。

 県内では県岐阜商が安定した強さを誇っており、夏も厳しい戦いとなりそうだが、エースも務めるだけに、今後も投打での活躍に期待がかかる。


 一方の徳丸は、全国屈指の強豪である智弁和歌山で入学直後から4番を任されている右のスラッガー。1年夏に出場した甲子園では奥川恭伸(現・ヤクルト)に完璧に抑え込まれたが、その経験も生かして順調に成長を遂げている。

 以前と比べてもタイミングの取り方に余裕が出てきており、スイングのバランスの良さも目立つ。阪口とともに今年の高校球界を代表するスラッガーと言える存在だろう。

 春に向けてサードにも挑戦していると報道されているが、肩の強さは申し分なく、打つだけの選手ではないという点も大きな魅力だ。その他の野手では、3拍子揃った星稜(北信越地区補欠校)の外野手・中田達也も十分プロを狙える素材である。


 センバツは3月19日に開幕するが、各都道府県の春季大会も早いところは3月に開かれる。春の大舞台をあと一歩で逃した彼らが、その悔しさをバネに成長した姿を見せてくれることに期待したい。


「第93回 春のセンバツ」補欠校一覧


▼ 北海道
旭川実
知内

▼ 東北
花巻東(岩手)
日大山形(山形)

▼ 関東/東京
国学院栃木(栃木)
鎌倉学園(神奈川)

日大三(東京)
二松学舎大付(東京)

▼ 東海
三重(三重)
岐阜第一(岐阜)

▼ 北信越
星稜(石川)
関根学園(新潟)

▼ 近畿
智弁和歌山(和歌山)
龍谷大平安(京都)

▼ 中国/四国
米子東(鳥取)
桜ケ丘(山口)

小松(愛媛)
鳴門(徳島)

▼ 九州
神村学園(鹿児島)
延岡学園(宮崎)

▼ 21世紀枠
富山北部・水橋(富山)
知内(北海道)


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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