コラム

大谷翔平vs.藤浪晋太郎も…あの有名選手たちの“センバツ名勝負”を振り返る

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記憶に新しい“怪物”同士の激突 (C) Kyodo News

今年は3月19日に開幕


 今年で93回目を迎える選抜高校野球。昨年は新型コロナウイルスの影響によりまさかの中止となってしまったが、2年ぶりとなる夢の舞台が3月19日(金)に幕を開ける。


 今ではプロの世界で活躍を見せている有名選手たちも、その多くがかつては聖地・甲子園を目指して戦っていた高校球児であり、春のセンバツで“ライバル対決”を繰り広げてきた。

 そこで今回は、現在プロで活躍する選手たちによる「センバツでの激闘」を振り返ってみたい。


東西を代表する“怪物対決”


 193センチの花巻東・大谷翔平(現・エンゼルス)と、197センチの大阪桐蔭・藤浪晋太郎(現・阪神)…。春夏通じて甲子園史上初となる「190センチを超える長身投手同士の対決」が実現したのが、2012年の1回戦だ。


 東西の“怪物”の激突としても注目された一戦、先に怪物ぶりを発揮したのは大谷だった。

 0-0の2回、この日初めての打席で、藤浪の116キロスライダーを懐深く引き込み、右中間席に叩き込む先制ソロ。投げても最速150キロを記録し、大阪桐蔭の強力打線を5回まで2安打6奪三振の無失点と、投打の二刀流で存在感を示した。

 だが、左座骨骨折の影響で、前年夏の甲子園を最後に7カ月も公式戦のマウンドから遠ざかり、実戦で投げたのは79球が最高とあって、80球を超えた後半以降、スタミナ切れから失点を重ねる。

 6回に逆転を許すと、7回にも森友哉(現・西武)の二塁打に続いて田端良基に2ランを献上するなど、被安打7、与四死球11の9失点と崩れ、9回二死から無念の途中降板。「実力不足です。出来は2~3割。自分のせいで負けました」と唇を噛んだ。


 一方、「冬の練習メニューの中で、あとひとつ、あと1本と粘れる練習をしてきた」という藤浪は、大谷と同じ最速150キロをマークするなど、尻上がりに調子を上げ、6~7回を三者凡退。

 9回に迎えた一死一・三塁のピンチも、後続2人を連続三振に切って取り、8安打・12奪三振の2失点完投で甲子園初白星を挙げた。


 このライバル対決を制した藤浪は、2回戦以降も安定した投球を見せ、決勝の光星学院(現・八戸学院光星)戦では、田村龍弘(現・ロッテ)と北條史也(現・阪神)の3・4番コンビにマルチ安打を許しながらも、粘りの投球で3失点完投。大阪桐蔭にセンバツ初Vをもたらした。


緊迫の投手戦!菊池雄星vs.今村猛


 つづいて、花巻東・菊池雄星(現・マリナーズ)と清峰・今村猛(現・広島)による息詰まる投手戦が見られたのが、2009年の決勝戦だ。


 1回戦の鵡川戦で8回二死までパーフェクトの快投を演じた菊池は、2回戦でも今宮健太(現・ソフトバンク)を擁する明豊を2試合連続の完封で退けるなど、東北勢悲願の甲子園初Vをかけて決勝戦に臨んだ。

 一方、今村も1~2回戦を連続完封。準決勝までの4試合で失点わずか1という安定ぶりで、同校の3年ぶり決勝進出の原動力となった。


 152キロの菊池vs.148キロの今村──。左右の剛腕が激突した頂上決戦は、両者ともに譲らず6回まで0-0。この時点で菊池は被安打4、今村も被安打2と内容もほぼ互角だった。

 試合が動いたのは7回。清峰は二死から8番・嶋崎幸平が菊池からストレートの四球を選んだあと、直球を狙っていた橋本洋俊が、甘く入ってきたところを見逃さずに中越えの二塁打。虎の子の1点を挙げる。

 今村の前に7回まで二塁も踏めなかった花巻東も、8回は二死一・三塁、9回には二死一・二塁と続けてチャンスをつくったが、最後まであと1本が出ず、そのままゲームセット。

 1-0で勝利の瞬間、今村はこれまでほとんどしたことがないガッツポーズを見せ、「バックを信じて投げた。やっと終わったと思った」といささかも気の抜けなかった投手戦を振り返った。

 一方、ひとつの四球が大きな悔いを残す結果を招いた菊池は「精一杯やりましたが…悔しい。残念です」と涙にくれた。


大熱戦!岡本和真vs.田嶋大樹


 智弁学園のスラッガー・岡本和真(現・巨人)に、最速145キロ左腕の佐野日大・田嶋大樹(現・オリックス)が挑んだのが、2014年の2回戦だ。


 岡本は1回戦の三重戦で、PL学園・清原和博や星稜・松井秀喜らに並ぶ大会タイの1試合2本塁打を記録。“新怪物”の異名をとった。

 これに対し、「組み合わせ決定時からこの日(智弁学園戦)を目指した」という田嶋も、1回戦で鎮西を5安打・12奪三振完封と、評判どおりの実力を発揮してみせる。


 そして迎えた対決の日。「岡本を打ち取ってリズムを掴みたい」と考えた田嶋は、1回の第1打席、内角低めスライダーで左飛に仕留める。「内角への縦のスライダーが苦手」の分析どおりの結果に、田嶋は「タイミングが合っていない」と確信を深めた。

 1点リードの4回無死三塁で迎えた2度目の対決も、膝元に落ちるスライダーで空振り三振。さらに6回一死三塁での第3打席では、5球続けてボール気味のコースにスライダーを投げたあと、「(ボール球を)振ってくれたので楽に投げることができた」と、意表を突く内角低め直球で2打席連続三振に打ち取った。

 これには、「見逃すつもりが振ってしまった」と無念の表情の岡本。新チームになって初めて味わう1試合2三振の屈辱だった。


 だが、2点を追う8回一死一塁の4打席目。岡本は田嶋のスライダーを真芯でとらえ、意地の中前安打。主砲の快打で勢いづいた智弁打線はこの回、田嶋に5連打を浴びせ、4-4の同点に追いつく。

 そして9回、岡本は3番手としてマウンドに上がる。甲子園初登板ながら、最速140キロを計時。延長10回に安打、四球と犠打野選で無死満塁のピンチを招くが、田嶋と柿沢郁也を連続三振に打ち取り、二死まで漕ぎつけた。

 だが、岡本の速球に対応するため、バットを短く持った7番・小泉奎太に左前に弾き返され、無念のサヨナラ負け。大会No.1の強打者は、「マウンドよりバッターボックスのほうが、居心地が良かったです」の言葉を残している。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
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