開幕3連敗のなかでも青木が攻守で示した存在感
プロ野球の2021年シーズンがついにはじまった。2年連続でのセ・リーグ最下位から脱出し、上位進出を狙いたいヤクルトは、オープン戦から好調な阪神に開幕カードで3連敗を喫する。近年の課題である投手陣が打ち込まれただけでなく、打線もつながりを欠いた。
そんななか、「さすが」の存在感を示したのが青木宣親だ。青木は3試合すべてでマルチヒットを記録してチームトップ、リーグ2位の6安打をマーク。3月28日に行われた同カードの初回には、相手トップバッター・近本光司が打ち上げた左翼ファウルゾーンへの打球をフェンスにぶつかりながらジャンピングキャッチし、高卒2年目の若き右腕・奥川恭伸を助けるファインプレーも披露した。
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攻守双方のプレーに「絶対に勝つぞ!」という気概がみなぎっており、阪神サイドからすれば、ヤクルト打線のなかで圧倒的に怖い存在だったはずだ。チームのキャプテンの座は今季から山田哲人に譲ったが、高津臣吾監督が「青木は終身名誉キャプテン」といっているように、プレーでチームを引っ張る姿勢は今季も健在である。
今季中に「高卒プロ入り以外」では日米通算安打数トップに!
その青木がオンラインでのファンとの交流や契約更改後の会見などの場でつねづね語っているのが、「3000安打を目指したい」ということ。開幕カードの6安打を含め、青木は現在NPBで1710安打、メジャーで774安打、日米通算2484安打であり、3000安打までの残りは516安打。現在39歳という年齢を考えれば、ふつうの選手であれば「難しい」と思われる数字だが、「この男ならやってくれるのではないか」と思わされるものがある。
30代後半になってNPBに復帰した2018年以降、昨季までの3シーズンで1341打数420安打、打率.313と、まさに衰え知らずの成績を残している。昨季はコロナ禍によって試合数が少なかったが、単純計算による直近3シーズンにおける平均シーズン安打数は140安打。その数字をベースとすると、2024年のシーズン途中で3000安打に到達することになる。青木は昨オフに3年契約を結んでおり、その間の活躍次第では3000安打到達も現実味が帯びてくる。
もし本当に青木が3000安打を達成すると、大卒の選手としては大偉業となる。日米通算の安打数ランキングで青木は現在、11位にランクイン。上位10人のうち高卒でないのは、7位・門田博光(元南海他/クラレ岡山出身/通算2566安打)、8位・福本豊(元阪急/松下電器出身/通算2543安打)、10位・金本知憲(元広島他/東北福祉大学出身/通算2539安打)の3人のみだ。
門田と青木との差は現時点で82安打であり、長期の離脱などがない限り、今季中に高卒以外の選手における日米通算安打数のトップに立つのは間違いないだろう。
もちろん青木は、「終身名誉キャプテン」としてチームの勝利を最優先するはずだが、そのためにも青木が変わらぬ安打製造機ぶりを見せることが重要だ。どこまで3000安打に迫れるのか、その実現の可能性はどれほどになるのか――。今季も青木のバットから目が離せない。
※数字は2021年3月28日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)