コラム 2021.04.06. 06:45

8年ぶりの楽天優勝・日本一の鍵を握る「先発6番手」の台頭

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楽天・瀧中瞭太

球界屈指の「先発5本柱」


 楽天のゴールデンルーキー・早川隆久がプロ初黒星を喫した。4月4日のオリックス戦に登板した早川は立ち上がりから安打を重ねられ、6回を投げて被安打8、4失点(自責4)。味方打線の援護がなかったこともあり、初の敗戦投手となった。

 ただ、プロ初登板となった3月28日の日本ハム戦では同じく6回を投げて被安打4、無失点と見事な投球を披露してプロ初白星。並の投手ではないところをすでに見せており、ルーキーイヤーから先発ローテーションの一翼を全うことが期待される。

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 その早川を含めた楽天の先発ローテーションは、「先発5本柱」としてシーズン開幕前から大きな注目を集めた。日米通算177勝を誇る田中将大の古巣復帰により、開幕前の時点で通算144勝の涌井秀章、132勝の岸孝之、85勝の則本昂大の4投手合わせて通算538勝という、実績、人気、知名度などすべてがハイレベルの実力者が集合。そこに新人王候補筆頭の早川が加わり、今季の楽天先発5本柱は球界屈指として前評判も高い。

 残念ながら田中は右ヒラメ筋損傷により一時戦線から離脱することになってしまったが、彼らの投球はここまで前評判どおりといっていいだろう。自身10度目の開幕投手を務めた涌井はここまで2試合に先発し、14回を投げて2失点(自責2)で2勝をマーク。岸は3月30日のロッテ戦で完封勝利を挙げ、則本は翌3月31日の同カードで6回1/3を1失点(自責1)と好投。プロ初登板試合における早川も含め、先発投手がきっちりと勝利投手となっている。


贅沢すぎる6番手問題!?


 そうなってくると、不安材料があるとすれば残る先発ローテーション枠だろう。シーズンはまだ開幕したばかりではあるものの、実際、その不安はよくないかたちで現実となっている。

 田中に代わって開幕第2戦のマウンドに上がった髙田萌生は2回2/3で4失点(自責4)。また、開幕ローテーションの6番手として4月1日のロッテ戦に先発した瀧中瞭太は2回をもたずに被安打7、被本塁打2、4与四死球という大荒れの投球で10失点(自責10)。ともにゲーム序盤でKOされて敗戦投手となっている。

 また、髙田が登板した「田中の代役」枠として4月3日のオリックス戦で起用された弓削隼人は、自身も「力んで無駄なボールが多かった」と振り返ったように、球数がかさんで4回途中1失点(自責1)で降板。開幕から3カードのあいだに、5本柱とその他の投手との間に差が浮き彫りとなっている。

 もちろん、「先発ローテーションの残り1枠が埋まらない」なんてことは、先発の駒不足に嘆いている球団からすれば贅沢な悩み。だが、今季の楽天が目指している、楽天ファンが期待しているのはあくまでも優勝であり日本一だ。8年ぶりの悲願達成のためには、やはりその1枠が鍵となるのではないだろうか。

 昨季、4年連続日本一に輝いたソフトバンクや、2018年、2019年とパ・リーグを連覇した西武と比較しても、楽天の得点力は高い。昨季の楽天は、チーム打率や安打数、塁打数、得点など多くの打撃指標においてリーグトップだった。一方で、チーム防御率4.19はリーグ5位。トップであるソフトバンクの2.92という数字と比較すると、その差は歴然だ。ソフトバンクと西武に対戦球団別チーム防御率でそれぞれ「4.69」、「4.52」と打ち込まれたこともその要因だろう。

 総合力で勝るソフトバンク、打線の破壊力に秀でた西武を楽天が打ち破るためにも、投手力の向上は欠かせない。田中の復帰、早川の入団に加え、先発ローテーションの残り1枠を埋める6番手の台頭が待たれるところだ。

※数字は2021年4月4日終了時点


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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