“二刀流”完全復活をめざすメジャー4年目
現地時間26日(日本時間27日)、エンゼルスは大谷翔平を先発マウンドに送り込む。
今季はここまで2試合に登板。合計8回2/3を投げ、勝ち負けつかず、防御率は1.04を記録している。三振を14個奪っているが、四死球も12個と、制球力に課題を残し、2試合とも5回を投げ切ることなく降板している。三度目の正直で快投を見せたいところだ。
一方、打者・大谷は開幕から絶好調。
現地25日のアストロズ戦では、2−2で迎えた8回表に勝ち越し弾を右中間に叩き込んだ。
2試合連続となった第7号の推定飛距離は440フィート(約134メートル)という特大弾。これで本塁打数はア・リーグトップに並び、早くも本塁打王を期待する声まで聞こえてくる。
「10勝以上&本塁打王」も…!?
大谷とともに7本塁打で並んでいるのは、ベテランの2人。通算424本塁打のネルソン・クルーズ(ツインズ/40歳)と、同245本塁打のJDマルティネス(レッドソックス/33歳)である。
クルーズは2014年に本塁打王に輝き、マルティネスも過去に2度、40発超えを記録したことがある正真正銘の長距離砲だ。そんな22と本塁打数で並んだ大谷。その理由が“ある指標”に表れている。
それが「バレルゾーン率」と呼ばれるもの。
バレルゾーンというのは、長打が出易いとさせる打球の速度と角度を組み合わせた打球のこと。今季の大谷は、全打球53本のうち24.5%にあたる、13本を「バレルゾーン」と呼ばれる速度と角度で記録している。
昨季までのメジャー3年間の通算が13.5%(82/606)だったので、今季のバレルゾーン率はほぼ2倍に上昇。今まで以上により強く、よりいい角度で打球を飛ばしていることになる。
ちなみに、ア・リーグトップはレッドソックスのラファエル・ディバースで25.4%(15/59)。クルーズは24.0%(12/50)で大谷とほぼ同じだが、マルティネスは14.3%(9/63)と少し低くなっている。
大谷の本塁打といえば、その飛距離も魅力だが、本塁打数を伸ばすためには、シーズンを通して20%前後のバレルゾーン率を維持していく必要があるだろう。
本塁打王争いの足かせがあるとすれば、やはり“投手・大谷”の存在か。
今季初登板の試合はDHが解除され、「2番・投手」として先発したが、指名打者制が使えないのはチームとしても痛手。基本的に、先発登板時は投手に専念することが多くなるだろう。
開幕前には、チームメートのマイク・トラウトが現地メディアのインタビューで、今季の大谷の成績を「10勝以上&30本塁打以上」と予想していた。
しかし、26日の登板で快投を見せることができれば、「10勝以上&本塁打王」に上方修正する必要が出てくるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)