あとはチーム事情がどうなるか!?
パ・リーグのペナント争いが混沌としている。首位に立つ楽天から最下位の日本ハムまでの差は僅かに4.5ゲーム。その中間の4位に位置するのが西武だ。
今季はここまで15勝16敗5分の借金「1」。楽天に2.5ゲーム差と迫る一方で、日本ハムからも2ゲーム差。1週間後には首位にいても、最下位にいてもおかしくない状況だ。
チーム浮沈のカギを握るのは、例年通り投手陣だ。18年から20年まで3年連続でチーム防御率はリーグ最下位に沈み、今季も日本ハムに次ぐワースト2位。ただ、パ・リーグ6球団の防御率は「3.34」から「3.80」の間でほぼ横並びという状況で、過去3年の酷さを考えれば、今季の西武投手陣は奮闘しているとも言えそうだ。
特に活躍が光るのは、開幕投手の大役をになった24歳の髙橋光成と、昨季新人王に輝いた21歳の平良海馬だ。それぞれ先発とリリーフという立場は異なるものの、ここまで大車輪の活躍を見せている。その中でもチームトップの19試合に登板している平良は、18回2/3を無失点で切り抜けており、1勝1セーブをマーク。そして、何より際立っているのがホールドの数だ。
19試合のうち、実に16試合でホールドを記録し、試合終盤の大事な場面では欠かせない存在となっている。昨季はシーズンを通して、33ホールドだったが、5月中旬を迎え、早くもその半数に近づいている。
仮に今のペースでシーズン143試合を終えれば、63ホールドに達する計算。これは2010年に浅尾拓也(中日)が記録した47ホールドというプロ野球のシーズン記録を大幅に上回るペースになる。
もちろん、試合展開によるところは大きいものの、今季は9回打ち切りのため、同点の場面でも積極的に起用していく展開が考えられるため、平良がケガなく投げ続けることができれば、11年ぶりの記録更新も当然見えてくる。
しかし、現在は通算144セーブを誇る守護神の増田達至が登録抹消中。さらに暫定的に守護神を務めている助っ人の剛腕ギャレットも時折、制球難が露呈するなど不安定な状況だ。8日のソフトバンク戦では、2点リードの最終回に登板し、何とか無失点で切り抜けたが、3四球を与えるなど、安定感では平良に及ばない。
辻発彦監督もリリーフ陣は流動的な起用法を示唆しており、昨季から安定した投球を続け、絶大な信頼を得ている平良がセーブシチュエーションでマウンドに上がる試合が出てきてもおかしくはない。実際、5月5日のオリックス戦では4点リードの8回表二死満塁から回跨ぎで1回1/3を抑え、セーブを記録。連敗中というチーム状況もあったとはいえ、最終回に増田がいれば、平良にはホールドが記録されていた。
チーム事情に勝るものはないとはいえ、平良に最終回を任せる展開が増えていくと、ホールドのシーズン記録更新の可能性は微妙になってくるかもしれない。もちろん平良の記録だけでなく、チームがさらなる上位進出を果たすためにも、増田の完全復活が待たれるところだ。
▼ 平良海馬投手の今季成績
登板数:19試合
勝敗数:1勝0敗1セーブ 16ホールド
投球回:18回2/3
被安打:10本(被本塁打0本)
与四死:8個(死球1個)
奪三振:28個
失 点:0点
防御率:0.00
▼ ホールド数トップ5(シーズン記録)
47H(2010年):浅尾拓也(中日)
46H(2007年):久保田智之(阪神)
46H(2005年):藤川球児(阪神)
45H(2011年):浅尾拓也(中日)
45H(2012年):増井浩俊(日本ハム)
文=八木遊(やぎ・ゆう)