コラム 2021.06.03. 06:29

“仁義なき舌戦”も繰り広げられた…交流戦で飛び出した「問題発言」の中身とは…?

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野村監督が繰り広げた“舌戦”とは…? (C) Kyodo News

タフィ・ローズが吐いた暴言とは…


 連日各地で熱戦が繰り広げられている『日本生命セ・パ交流戦』。

 ベースボールキングでは、交流戦の開催に合わせて過去の“交流戦珍事件”を振り返る特集を展開中だ。




 2年ぶりの開催となる交流戦。過去には試合中のプレーをめぐり、両チーム首脳同士の舌戦や選手の問題発言などがクローズアップされることもあった。

 「口は禍の元」といわれるように、思わず口にしてしまった言葉が、波紋を広げた例も少なくない…。今回は2005年から2019年までの15年間から、記憶に残る発言・暴言を集めてみた。

 まずは、納得のいかない判定に対して口をついて出た言葉が暴言と認定され、退場回数の日本記録を更新してしまったのが、巨人時代のタフィ・ローズだ。



 2005年5月29日のオリックス戦。前々日からこのカード2連敗中の巨人は、初回に小久保裕紀の3ランで先手を取ったが、7回に追いつかれ、延長戦に突入。

 3-3の延長12回、二死二・三塁の勝ち越し機。3番のローズはカウント2ボール・2ストライクから香月良太の内角低めを見切るも、これがストライクの判定。見逃し三振に倒れた。この日、なんと4つ目の三振である。

 この判定に不満をあらわにしたローズは両手を広げると、佐藤純一球審に向かって何事か叫んだ。直後、佐藤球審が退場を宣告する。この瞬間、ローズは金田正一(国鉄→巨人)の8回を抜き、退場回数9回の日本新記録を達成することになった。


 佐藤球審は「ファック(くそったれ)と言われた?そういうようなことです。言葉はどうあれ、私に向けて言ったので、暴言と判断しました」と説明。

 ローズはオリックス時代の2008年4月9日のソフトバンク戦でも「ひどい」を意味する「ファッキン・ストライク」を暴言に取られ、通算12度目の退場処分を受けているが、この時にはテリー・コリンズ監督が「『ファック』とは意味が違う。審判に向けられたものではなく、メジャーでは退場にならない」と抗議する一幕もあった。

 この日も自身の「ストライクかボールなのかを言った」のコメントから、「ファッキン・ストライク」に類する言葉を暴言に取られたと推測できるが、残念ながらアメリカ流は日本では通用しなかった。通算退場回数14回は、今でも歴代ワースト記録である。


「バッカじゃなかろうかルンバ♪」


 つづいて、楽天・野村克也監督の“ルンバ”発言が注目を集めたのが、2008年5月29日の巨人戦だ。


 問題のシーンは、2点を追う巨人の最終回の攻撃。二死一塁から矢野謙次が二盗に失敗し、ゲームセットになった作戦について、野村監督は「バッカじゃなかろうかルンバ♪」と鼻歌まじりに茶化し、「巨人は面白い野球をするね」と皮肉った。

 楽天側にすれば、打者一人を打ち取ればいいので、二盗を許しても大勢に影響はないし、点差を考えれば無理に走る必要もなかったのに、「こりゃ助かった」という意味である。


 ところが、この発言に対し、巨人・伊原春樹ヘッドコーチが「ウチの監督を侮辱するな」と嚙みつき、野村監督を「年寄りだから仕方ない」などと真っ向批判したことから、両者の“仁義なき舌戦”はエスカレートする。

 翌日、野村監督も「原(辰徳/監督)の指示ではないというのはわかったんだよ。伊原が(矢野を)行かせたのなら、なお納得だ」と反論。2000年の阪神守備・走塁総合コーチ時代の行動まで遡り、「(盗塁指示で)メチャクチャしよった」とこき下ろした。


 そして、二人の「非常にいい(敵対)関係」(野村監督)は、翌年の交流戦でも再びクローズアップされる。

 同年6月8日、巨人が楽天を8-3で下し、4戦全勝となった試合後、伊原コーチは「(4連勝は)ひとえに『ノムラの考え』のお蔭でございます」と当てこすり、「今日は1年間お預かりしていた、あの言葉をそっくりそのままお返しさせていただきます」と言うと、「バッカじゃなかろうかルンバ♪」と“ルンバ返し”を披露したのだ。

 この事件がきっかけで、本来ラテン音楽のリズム名やダンス名だった『ルンバ』が、コアな野球ファンの間で“ヘボ采配”の隠語として定着。まさに交流戦の産物である。


「アイ・ドント・ライク・ノウミサン」


 最後は、怠慢プレーを犯した助っ人が口にした言葉が、「チームメイト批判」と物議を醸す事件となったのが、2012年6月9日のオリックス-阪神だ。


 0-1とリードされた阪神は、4回にも二死二塁と得点圏に走者を進められ、斎藤俊雄に右前安打を許してしまう。それでも、ライトのマット・マートンは前進守備を取っていたので、素早くバックホームすれば、本塁は十分間に合うタイミングだった。

 ところが、緩慢な動作で打球を処理したマートンの返球は高く浮き上がり、三塁方向にそれてしまう。みすみす1点を追加されたばかりでなく、打者走者の斎藤も一挙二塁を陥れる。

 拙守に足を引っ張られた能見篤史は気落ちしたのか、5回にもボビー・スケールズにダメ押し2ランを浴び、負け投手になった。


 試合後、敗戦の原因をつくったマートンは、報道陣に4回の守備について質問されると言った。

 「ニルイ・ドウゾ。アイ・ドント・ライク・ノウミサン」。

 もちろん、自らのミスを反省したうえで、ジョークのつもりで口にしたのだが、公然とチームメイトを「嫌い」と言ったのは、まずかった。


 以来、能見との間にわだかまりが芽生えたと感じ、後ろめたく思っていたマートンは、翌年4月9日の巨人戦で先制タイムリーを放ち、完封勝利の能見とともにお立ち台へ。

 そこで「ノウミサン、アイシテルー!」と言いながらハグを交わし、足掛け2年がかりの“和解”を実現させている。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
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