2021.06.06 14:00 | ||||
横浜DeNAベイスターズ | 4 | 終了 | 3 | 千葉ロッテマリーンズ |
横浜 |
交流戦に入って突如“長距離砲”と化した大和
DeNA・大和のバットから快音がやまない。6月6日に行われた対ロッテ戦、3-3の同点で迎えた9回、二死二塁の場面で打席に立った大和は、相手クローザー・益田直也の内角直球に反応。窮屈な打撃にも見えたが、肘をたたむようにして巧みにとらえた打球は、前進守備の左翼・菅野剛士の頭上を越え、フェンスに直撃。劇的なサヨナラ二塁打となった。
交流戦がはじまるまでは、打率.200、0本塁打6打点にとどまっていた大和だが、交流戦に入ると大あたり。交流戦における12打点は、吉田正尚(オリックス)の15打点、島内宏明(楽天)の13打点に次ぐ12球団3位だ。
また、交流戦では2本塁打を放つなど長打も目立ち、ここまでの7二塁打は森友哉(西武)と並ぶ堂々のトップ。交流戦での長打率.667も9位と、いい意味で「らしくない」数字を残している。
なかでも驚異的といえるのが得点圏打率だ。レギュラーシーズンでは規定打席に到達していない大和だが、その得点圏打率.464は、リーグトップである梅野隆太郎(阪神)の.400をしのぐもの。交流戦に限った数字はなんと「.700」と、まさに“得点圏の鬼”とでも呼ぶべき数字を残している。
大和の打撃爆発を呼んだ伊藤光の一軍合流
この大和の活躍の要因のひとつに、伊藤光の復帰があると見ることができる。今季開幕直前に左ふくらはぎを痛めて出遅れていた伊藤が出場選手登録されたのは5月18日。それまでのDeNAの捕手は完全な日替わり状態だったが、伊藤が今季初のスタメンマスクをかぶった5月21日のヤクルト戦以降、1試合を除いてスタメン捕手は伊藤に固定されている。
そして、伊藤を「バントや進塁打など細かいことができ、粘りもある」と評価する三浦大輔監督は、交流戦に入った5月25日の対オリックス戦から伊藤を2番で起用。それまで2番で起用されていた大和は8番、あるいは9番と下位で起用されることとなった。
大和からすれば、2番打者に求められる「細かいこと」から解放され、思い切りのよい打撃をすることができるようになったとも見ることができる。そのことも、大和の好調につながっている一因ではないだろうか。
大和と伊藤、ベテランの域に入りつつある移籍組ふたりの活躍によって、チームは中日と並んで交流戦首位に立った。もちろん、今季開幕から負けが込みリーグ最下位に沈むDeNAがここから上位進出を狙うのは、現実的に見ればかなり厳しいことだろう。
だが、DeNAには、交流戦で大失速してリーグ首位から陥落し、最終的に最下位に終わった2015年の例もある。難しいことではあるが、逆にいえば、交流戦での大躍進によって、借金13のリーグ最下位からの上位進出の可能性も「ゼロ」ではない。大和と伊藤の活躍が起爆剤になり、DeNAが奇跡的な巻き返しを見せてくれれば、ペナントレースもさらに盛り上がる。
※数字は6月6日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)