コラム 2021.06.18. 07:09

今秋ドラフトのキーワードに? 今年は大学生の「高速左腕」が大豊作!

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今秋の目玉候補?筑波大の佐藤隼輔 [写真提供=プロアマ野球研究所]

最速150キロ超の逸材が次々登場


 例年以上にルーキーの活躍が目立っている今年のプロ野球。

 即戦力が多いとされる投手の中で、早くから一軍デビューを果たして戦力となっているのが、早川隆久(楽天)や鈴木昭汰(ロッテ)、そして森浦大輔(広島)といった大学卒のサウスポー3人だ。




 早川は昨秋のドラフトで4球団が1位競合した逸材。期待通りに開幕ローテーション入りを果たすと、ここまで12試合に登板して7勝2敗、防御率3.30という好成績。7勝は堂々のリーグ単独トップである。

 また、その早川を抽選で逃したロッテが1位で獲得したのが鈴木。こちらも開幕ローテーション入りを果たし、そのまま定着とはいかなかったものの、リリーフでも起用されるなど早川と同じ12試合に登板。1勝3敗と黒星が先行しているが、ここからの巻き返しに期待がかかる。

 森浦は2人とは対照的に、スタートからリリーフでの起用。ここまで19試合に登板して6ホールド、防御率3.52と1年目からブルペンを支える奮闘を見せている。



 “左腕は何枚あってもいい”という言葉もあるように、やはりどの球団も左投手というのは毎年狙ってくるポイント。

 その中で、今年の大学生のドラフト候補を見てみると、上述した大卒ルーキーたちに続くような有力な左投手が非常に多い印象を受ける。

 そこで、現時点でプロからの注目度の高い大学生サウスポーと、これまでに確認できているストレートの最速を並べてみると以下のようになった。


【大学生のプロ注目左腕】
※球速順

152キロ 鈴木勇斗(創価大)
151キロ 佐藤隼輔(筑波大)
151キロ 山下 輝(法政大)
151キロ 黒原拓未(関西学院大)
150キロ 隅田知一郎(西日本工大)
150キロ 伊藤 稜(中京大)
150キロ 桐敷拓馬(新潟医療福祉大)
147キロ 三浦瑞樹(東北福祉大)
146キロ 長谷川威展(金沢学院大)
145キロ 井奥勘太(天理大)
143キロ 花村 凌(大阪商業大)


150キロ超が7人も!


 昨年の早川が8月のリーグ戦でマークした「155キロ」には及ばないものの、既に150キロ以上をマークしている投手は7人を数える。

 もちろん、スピードガンの数字がイコールその投手の評価ではないが、これだけストレートの速さがあるサウスポーが揃う年は非常に珍しいと言えるだろう。


 中でも1位の12人に入ってくる可能性が最も高いのは、やはり佐藤隼輔(筑波大)だ。

 この春は相手チームからかなり研究され、少し苦しいピッチングとなる試合も目立つが、それでもボール自体の威力と安定した制球力はさすが。総合力では頭一つ抜けた印象を受ける。

 昨年のドラフトで早川を逃した球団にとっては、第一候補と言えるだろう。


創価大・鈴木勇斗と関学大・黒原拓未が見せる直球の力強さ


 ストレートの力強さでは、鈴木勇斗(創価大)と黒原拓未(関西学院大)の2人が目立つ。

 鈴木は昨年秋の横浜市長杯で見せたピッチングが衝撃的で、一気に評価を上げた。この春は、チーム内に新型コロナウイルス感染者が多数出たため、残念ながらリーグ戦を途中棄権することとなったが、開幕戦では変化球を巧みに使った投球を見せている。昨年秋のストレートの勢いが戻れば上位指名の可能性は高い。


 一方の黒原は、故障明けの昨年秋こそ不安定な投球が目立ったものの、この春は見事に復調している。

 上背はないが、全身を使って投げるフォームは躍動感十分。現在の調子を維持できれば、もちろん上位候補になるだろう。


法大・山下輝は大型左腕、ほかにも逸材が…


 スケールの大きさが魅力なのが、山下輝(法政大)だ。

 190センチ近い長身から投げ下ろすボールの角度は圧巻で、腕を振って内角を突くコントロールも備えている。大学では故障が多く投げられない期間も長かったが、昨年から今年にかけて確実にレベルアップの跡を見せているのも頼もしい限りだ。


 その他の投手はいわゆる「地方リーグ」の選手たちだが、決して実力が劣るわけではない。

 隅田知一郎(西日本工大)はスピードだけではなく変化球のレベルも高く、試合を作れるサウスポー。桐敷拓馬(新潟医療福祉大)と伊藤稜(中京大)はこの春に打ち込まれる試合があったものの、ともに三振を奪えるサウスポーという魅力がある。

 また、三浦瑞樹(東北福祉大)の下級生の頃からの実績は申し分なく、長谷川威展(金沢学院大)や井奥勘太(天理大)、花村凌(大阪商業大)といったところは本格派というタイプではないが、リリーフで大成しそうな雰囲気が漂っている。


 社会人では、森翔平(三菱重工WEST)と山田龍聖(JR東日本)、独立リーグでは過去にコラムでも紹介した石森大誠(火の国サラマンダーズ)などの名前が挙がっているが、全体的にサウスポーの有力選手は多くない。加えて、高校生は有力投手の大半が右投手である。

 それだけに、左投手が不足している球団は、複数の大学生サウスポーを指名することも十分に考えられるだろう。10月のドラフト会議に向けて、今回紹介した選手たちの注目度はますます高まっていくはずだ。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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