コラム 2021.06.21. 22:06

中日・大島洋平 怪物ではないプロフェッショナル【白球つれづれ】

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大島が右越えに勝ち越しソロを放つ

白球つれづれ2021~第25回・頼りになる男


 今年のスポーツ界ほど「モンスター」が話題になる年も珍しい。

 メジャーリーグでは大谷翔平選手(エンゼルス)が、日本時間21日のタイガース戦で6戦6発の23号本塁打を放ち、全米中を震撼させている。今や、驚きや賞賛の言葉すら見つからないほどのモンスターぶりだ。

 前日にはボクシングの井上尚弥選手が、聖地のラスベガスでダスマリナス選手を必殺の左ボディーで3ラウンドKO勝ち。こちらも紹介アナウンスでは「モンスター」が定冠詞になっている。

 テニスの大阪なおみ、ゴルフの松山英樹、国内野球なら阪神の黄金ルーキー・佐藤輝明選手らも「モンスター」と称される。その定義は様々だが、他を圧倒するパワーや超人的な働きと言ったところか。

 テレビや新聞、ネットなどで大々的に取り上げられる「モンスター」たちの対極には、プロフェッショナルな仕事を黙々と続ける職人もいる。その代表例として中日の大島洋平選手を取り上げる。


 日頃は主役に躍り出る事の少ない大島が、地元紙の1面を飾ったのは20日のことだった。前夜、神宮球場で行われたヤクルト戦で2回と4回に逆転打を放ち4打点の活躍。チームの神宮連敗を「4」で止め、交流戦後のペナントレース初勝利を挙げただけでなく、大島にとって4打点の荒稼ぎはプロ12年目で初の快挙となったのだ。

 人呼んで「尾張の安打製造機」。広角に打ち分ける打撃術には定評があり、21日現在(以下同じ)打率3割ちょうどで、セ・リーグ打撃成績の4位につける。安打数はトップの佐野恵太選手(DeNA)に次ぐ78本で、昨年、一昨年と輝いた最多安打賞に向けても視界は良好と言えるだろう。

 ともかく、好不調の波が少ない。今季64試合に出場して53試合で安打を放っている。2試合連続ノーヒットは2度だけ。好投手を擁し、これだけ1番打者が塁上を賑わしているにも関わらず、チームが目下4位に沈んでいるのは後続打者の不甲斐なさを指摘されてもしかたない。


“ミスター・ドラゴンズ”への道程


 大島が大きな注目を集めたのは「節目の時」だけかも知れない。

 社会人・日本生命からドラフト5位で中日入り。24歳、すでに妻子がいて家族連れで入団会見に臨んで話題を呼んだ。その後はコツコツと安打を積み重ねて14年にはシーズン186安打で福留孝介選手の持つ球団記録に並ぶ。昨年8月には1500本安打も記録、プロ11年目での到達はこちらも球団最速の偉業となった。

 最多安打のタイトル以外に盗塁王(12年)やゴールデングラブ賞8度受賞など、球界を代表する外野手に違いないが、モンスターには程遠い。周囲をあっと驚かせるほどの派手な輝きやインパクトがないからだ。

 直近の2年間はいずれも打率でリーグ4位。首位打者に届かないのは1番打者の宿命とも言える打席数が多いことが原因している。本塁打も少ないため、警戒されて四球などで歩かされることもほとんどない。首位打者を獲得するには、固め打ちの回数を増やして200安打に近づける事、もしくはもっと四球の数を増やして打数を少なくすることが絶対条件となる。

 地元・愛知愛は人一倍強い。19年に3年契約が終了した時、FA宣言せずに残留を決めた。次なる目標は「立浪さんのように40歳まで、野球を続けたい」と言う。“ミスター・ドラゴンズ”と呼ばれた立浪和義氏の持つ2480安打まであと814本は遠い道乗りかもしれない。だが、大島の直近2年の安打はシーズン174本ペース。計算上ではあと5年で追いつく。35歳の打撃職人が40歳まで奮闘すれば不可能な領域ではない。


 「これから夏場に向けて、どれくらい調子を上げていけるか。チームとしても夏場の戦いが一番大事だしね」。

 チームは目下借金6。Aクラスに加わるには巨人、ヤクルトに6ゲーム差と大きく水を空けられている。まさに夏場の戦いが正念場となる。

 中日には、残念ながらモンスター級の打者はいない。それならば、大島の打撃のようにコツコツと全員の力で白星を積み上げるしかない。12球団を見回しても安定感では屈指の1番打者。注目度ではスーパースターに一歩譲っても、巧みの技ならまだまだ負けられない。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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