◆ メジャーの新たなスター候補がベールを脱ぐ

 エンゼルス・大谷翔平の6戦6発で盛り上がるメジャーリーグに、新たなスター候補がやってくる…。

 現地時間22日(日本時間23日)にデビューを予定しているのは、レイズのトッププロスペクトであるワンダー・フランコだ。

 20日、メジャーリーグの公式サイトに掲載されたのは『MLB史上最も待ち望まれたデビュー』と題された記事。

 マット・ケリー記者がフランコのデビュー戦を迎えるにあたって、1908年以降に“最も待ち望まれた32選手”を独断で選定。そのうちの1人として、フランコの名前が挙げられた。

 ちなみに、それ以前の31選手には1936年にデビューしたジョー・ディマジオや、1947年のジャッキー・ロビンソンなどの往年の名プレーヤーも含まれる。ちょうど半数にあたる16人は2000年以降にデビューした選手で、このうちなんと日本人選手が4人も選ばれている。

◆ 対照的だったイチローとメジャーのデビュー前

 2001年はもちろんイチローだ。

 3度のパ・リーグMVP、7度の首位打者とゴールデングラブ賞を引っ提げ海を渡ったイチローだが、当初は自チームのルー・ピネラ監督(当時)すら懐疑的だったと記されている。

 しかし、1年目から安打を量産して見事に新人王とMVPを獲得。20年前の4月2日のデビュー戦は、日本だけでなく現地でも待ち望まれた“歴史的一戦”だったことがわかる。

 その6年後に海を渡ったのは、松坂大輔(現・西武)だ。

 西武からポスティングされたのは26歳という投手としてまさに全盛期。約60億円で独占交渉権を獲得したのがレッドソックスだった。

 さらにほぼ同額で6年契約を結ぶと、2007年4月5日のロイヤルズ戦でついにデビュー。いきなり10三振を奪い、期待に違わぬ好投を見せた。

 1年目は15勝を挙げ、ワールドシリーズ制覇も経験。翌年には18勝3敗という好成績も残している。

 2006年のWBCで名を上げ、現地での知名度はすでに高かった松坂のデビュー戦は、6年前のイチロー以上のフィーバーだったと記憶している。

◆ “5人目”の選手となるのは…?

 日本人3人目に選ばれたのは、ダルビッシュ有(現・パドレス)だ。

 松坂と同じくポスティングシステムを使っての移籍だったが、入札額・契約金ともに松坂を僅かに上回り、その期待の高さがうかがえた。

 松坂と同様に、WBCでその実力をすでに示していた右腕。2012年4月9日に行われたマリナーズ戦は、初回にいきなり4失点というある意味“衝撃”のデビュー戦となったが、打線の援護もあって初勝利。

 その後は故障を乗り越え、34歳で迎えた今季は新天地・パドレスでエースを務めている。

 最後に4人目は、もちろん大谷翔平(エンゼルス)だ。

 契約時はまだ23歳で、なんといっても“二刀流”が大きな話題に。しかし、オープン戦では投打ともに振るわず、開幕マイナーの声も聞かれた。

 それでも、マイク・ソーシア監督(当時)は2018年3月29日の開幕戦で大谷をスタメンに抜擢。初打席でいきなり安打を放つと、2日後には投手として初登板・初勝利も挙げた。

 ダルビッシュと同じように故障を乗り越え、今季の大活躍…についてはここで述べるまでもないだろう。

 今回の特集で紹介された日本人4選手は、ケン・グリフィーJr.やアレックス・ロドリゲス、ブライス・ハーパーなどと同列で語られるほど、現地でのデビューが待ち望まれていた。

 近い将来、5人目の日本人選手がこのリストに名を刻むことになるのだろうか。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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