前半のうちにゴジラ松井の記録に並ぶ
エンゼルスの大谷翔平は現地時間4日(日本時間5日)、オリオールズ戦に「2番・指名打者」で先発出場。
2打席目に今季31号のソロをバックスクリーンへ叩き込んだ。
この一発により、松井秀喜氏が2004年のヤンキース時代に樹立したメジャー日本人選手のシーズン最多本塁打記録に早くも並んだことになる。
前半戦は残り6試合…。オールスターゲーム前の記録更新にも期待がかかっている。
また、チームは1点ビハインドの9回裏に逆転サヨナラ勝利を収め、これで4連勝。今季の成績を42勝41敗とし、約2週間ぶりとなる貯金生活に突入した。
大谷もビックリ? もう一人の二刀流?
今季は打者としての活躍が目立つ大谷。しかし、投手としてもここまで12試合に先発し、3勝1敗で防御率3.60とチームへの貢献度は十分だ。
そこで、今季の大谷の貢献度を「WAR」という指標を用いて紹介したい。
WARとは、「Wins Above Replacement」の略で、打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価して、選手の貢献度を数字で表すもの。詳細は割愛するが、とにかくWARの数値が大きければ大きいほどチームへの貢献度は高いということになる。
WARには幾つかの算出方法があるが、今回は『Fangraphs版』を用いた。
【2021年・WARランキング(Fangraphs版)】
1位 5.3 ジェイコブ・デグロム(メッツ)
2位 4.9 大谷翔平(エンゼルス)
3位 4.7 ウラジーミル・ゲレロJr.(ブルージェイズ)
4位 4.4 ザック・ウィーラー(フィリーズ)
5位 4.1 フェルナンド・タティス(パドレス)
※現地時間7月4日現在
現在、大谷のWARは4.9。メジャー全体2位の好成績だ。ア・リーグでは、3位のゲレロを上回り堂々のトップである。この数字を見ても、リーグMVPの最有力候補であることは紛れもない事実といえるだろう。
WARの最大の特徴は、投手と野手を同じ土俵で評価できることだ。二刀流の大谷にとっては、打撃と走力に加え、投手としての貢献度も加味されている。
そんな大谷のWARの内訳は、打者として「3.7」、そして投手としてが「1.2」。打者としての「3.7」だけでも両リーグトップ10に入る数値だが、そこに投手としての貢献度が加わることで、順位を全体2位に押し上げていることになる。
その大谷を唯一上回る選手が、メッツのデグロムだ。
2018年と2019年にナ・リーグのサイヤング賞を受賞した男。つい先日まで0.50という驚異的な防御率を残していたが、直近2試合で5点を失い、0.95まで悪化してしまった。
そのデグロムのWARは5.3。実は投手としては4.8である。つまり、打者としても0.5を上積みしていることになる。
デグロムは大谷のような二刀流選手ではないため、先発登板時以外は打席に立つことはほぼない。しかし、今季登板した14試合中10試合で安打を放ち、打率は.387(31-12)。長打は二塁打1本のみだが、打点も「6」記録している。
デグロムはもともと投手としては打撃センスが高いことで有名な選手。それでも、これまでの自己最高打率は1年目の.217だった。
もはや、投手は投げるだけが仕事の時代ではなくなったのかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)